はてな9時に仕事が終わっても作れるおつまみ出し

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 金曜日。フライデーナイト。世のサラリーマンたちの抑圧された感情が、よくシェイクした炭酸飲料から噴出した泡のように吐き出される夜ですが、私も例に漏れず、そのようなしがないサラリーマンでございます。今夜は9時ごろ仕事が良い感じで切り上げられたので、ささやかながら家でビールでも飲みながら楽しく夜更かしでもしようと思いました。


 写真はビールのおつまみに作った「エリンギのバター炒め」。フライパンにバターを溶かし、薄くスライスしたエリンギをふちの辺りが軽く茶色くなるぐらいまで炒めてできあがり(味付けはクレイジーソルトがバツグンの相性)。この間、約2分。この短時間で至福の時間を過ごすことができます。まだエリンギが熱い間に口に入れた瞬間、立ち昇って来るアッパーな多幸感!これとキリン一番搾りさえあれば、私にはマジックマッシュルームなんていらないのであります。



テキサス・ハリケーン
スティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブル スティーヴィー・レイ・ヴォーン
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 この幸せは、同じようなアッパーな音楽とともに愉しみたい。そうだとしたら、もうスティーヴィー・レイ・ヴォーンがしっくりときます。彼のまったく湿っぽさがないプレイ、極太の音色、ザクザクと空間を切り刻んでいくような高速のフレージング。これがさらに気持ちを煽っていきます。この躁感覚は黒人的なブルースとは真逆のものかもしれません。スクエアかつタイトなリズムに基づき演奏される「白っぽさ」は、「黒っぽさ」から最も遠いところにあるのですが、逆にそれこそがスティーヴィー・レイ・ヴォーンが「ホワイト・ブルースの頂点」である証なのでしょう。



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 それではスティーヴィー・レイ・ヴォーンによるジミ・ヘンドリックスのカヴァーをどうぞ(「Voodoo Chile」)。こんなのになれたら悪魔に魂売っても良いよ……。





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様々な左翼の音楽ファンに捧ぐインターナショナル

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 こちらのエントリに触発されてYoutubeで「インターナショナル」の映像を集めてみた。武満徹編曲によるギター版「インターナショナル」はなかった。



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 中国語ヴァージョンの「インターナショナル」。



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 中国(では有名らしい)のメタルバンドTang Dynastyによる「インターナショナル」。



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 イタリアの伝説的ジャズ・ロック・バンド、AREAによる「インターナショナル」。



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 トルコの民族楽器、サズによる「インターナショナル」。



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 47ヶ国語と一つのインストによる「インターナショナル」(マッシュアップ)。 





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僕が考えたギター・ポップ、トップ3

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 22世紀に残したい20世紀の(俺がギター・ポップだと思った)「ギター・ポップ」のトップ3を選んでみました。上から渡辺香津美「UNICORN」(いつの映像かわかんないけど、渡辺香津美が細い!)、高中正義「サンダーストーム」(天龍!)、ピート・コージー(マイルス・デイヴィス・バンド)「Ife」。このなかではやはりピート・コージーのギターが一番強烈で、ピッチ・シフターかなんかをかけてると思うんですが、過剰すぎてよくわからないことになっているところが最高です。



アガルタ
アガルタ
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マイルス・デイヴィス ソニー・フォーチュン レジー・ルーカス ピート・コージ マイケル・ヘンダーソン ムトゥーメ アル・フォスター
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 74年の来日公演の模様を収めたライヴ盤でもピート・コージーがギターを弾きまくっていますが、こちらはファズかけすぎでギターの音がホワイト・ノイズ化しているところが痺れます。このライヴ盤、今でこそ前衛ファンクとして捉えることが可能ですが、当時の日本のジャズ・リスナーはどのように受け止めたのか……。「驚愕どころか恐怖感すら与えたのでは?(ほとんど黒船状態)」と思えるほど壮絶な演奏です。





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『メタリカ――真実の瞬間』

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メタリカ 真実の瞬間
メタリカ 真実の瞬間
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 メタリカのドキュメンタリをとても面白く観る。“メタル・オブ・ゴッド”の異名をロブ・ハルフォードと分け合っていることで有名な音楽評論家、伊藤政則も2回ぐらいカメラに映っているあたりもポイントが高いのだが、メタルという音楽のイメージとその実際との間にある深い溝を目にすることができる点が素晴らしい。『メタル稼業はつらいよ』という邦題がピンと来そうな内容である。


 おどろおどろしいイラストが描かれているような黒いTシャツに、長髪のダサい格好の男たちが激しいパフォーマンスをおこなう――こういうところから、メタル系のミュージシャンに与えられるイメージとは「男くささ」というか「マッチョイズム」と強いつながりを持っている(勝手な予測だけれど、南米で未だにメタルやハードロックが大きな人気を保っているというのも、アルゼンチンにおける“ガウチョ”のような男の理想像がメタル・ミュージシャンに投影されている結果ではないだろうか)。


 しかし、このドキュメンタリで映し出されるメタリカの姿は、リスナーから求められる“男臭さ”や“力強さ”とは真逆な方向に突っ走っている。ロックの殿堂入りを果たしたモンスター級のメタル・バンドのこの弱さとは、リスナーからの要求と無関係に存在しているものではないだろう。


 特にバンドのフロント・マンであるジェイムス・ヘットフィールドはひどい。不安から逃避するためにアルコールに逃げ、まんまとアル中になり、そして厚生施設へ入るため1年近くバンドを離れるところがこのドキュメンタリでも大きく取り上げられているのだが、他にもヴォイス・トレーニングをやってたりするところなんかも映されている。ステージの上では攻撃的な言葉を吐き出し続ける男が、テープにあわせてマジメに発声練習をしているところは思わず苦笑したくなってしまう。


 ただ私がこの映画を見ていて少し感動してしまったのは、彼らのそういう生真面目さにある。街で見かけたら思わず距離をとってしまいそうな厳しい風貌の男たちが、極めてストイックに音楽に打ち込んでいる、という裏表の様子の違いにはおかしみがあるけれど、そこで感動してしまうのは真夏の高校球児の姿に感動してしまうのと同じ理由だろう。「あれだけ速くギターを弾くには、相当練習してるんだろうなぁ」というのはよく考えたら分かる。しかし、彼らはその努力を表面上に見せない。このプロフェッショナリズムは、もっとずっと評価されて良いように思う。


 率直に今の気持ちを言ってしまうと「メタルが一番偉い!」ということである。「メタル?あんなの中2が聴く音楽だろ」と馬鹿にする輩は、レスポールでぶん殴られて頭蓋骨を割られても仕方がない(高校球児は好きだけど、メタルは嫌い、という論理は通用しないのである)。でも、イングヴェイはちょっと……っていうのは、OK(なんとなく)。


 他に興味深かった点は、過去にメタリカをクビになったデイヴ・ムステイン(メガデス)と、ジェイムス・ヘットフィールド以外のメタリカのメンバーが対面するシーンだった。ここで典型的なメタル/ハードロックの人っぽい髪型をしているムステインと、短髪で小ぎれいな格好をしたラーズ・ウトリッヒとセレブリティ風の格好のカーク・ハメットの対比が画面上に現れる。これに私は「メタリカはちゃんと時代に合わせたやり方をしているのだなぁ」ということを感じた。メタリカがロックの殿堂入りを果たせた理由もこういうところの上手さにあるんだろうな、とも思う。





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はてな試される男のディナー出し

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 「ねー、これ食べたい」と言われたのは先日『SMAP×SMAP』を観ていたときのこと(その日は麻生太郎がビストロ・スマップに出ててなんか美味しそうなパスタを食べてた)。「この一言は「試練」だ。過去に打ち勝てという「試練」とオレは受け取った(ジョジョ第5部)。この期待に応えてこそ、一介の男料理人なのでは……」と思ったので、今週はおぼろげな記憶を元に麻生太郎も食したという「グラタン風パスタ」を作りました。


 適当ににんにくとひき肉炒めて、そこにきのこたくさん投入して炒めて、ホワイトソース投入して……みたいなソースに茹で上げたパスタ絡めて、チーズ載せて焼く!っつーいい加減さで作ってみましたが、美味しくできました。微妙に麻生太郎が食ってたモノとは違かったけどな……。


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 サラダには「なんかこういう料理、創作ダイニング居酒屋とかにあるよな……」と思って作った「アボカドとマグロとシャキシャキサラダ」を提供。“シャキシャキ”部分については水菜とレタスです。サラダとか、適当にちぎって盛り付けるだけで、食卓が華やかに見えると思うんですけど、これって得な料理ですよね。


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 今日はデザートも付けました。平野レミのデザートレシピ(会社にきてる保険のおばちゃんが置いてったパンフレットにのってた)を参考に作った「イチゴのアイスケーキ」。これは、とても美味しかった!結構感動ものだったので以下に作り方も紹介しておきます。




  • いちご(1パック)

  • クリームチーズ(250g)

  • 砂糖・生クリーム(各2/3カップ)


 これを全部フードプロセッサーにぶち込んで、スイッチオン!トロトロになったら容器に移して凍らすだけでできます。天才チンパンジーアイちゃんレベルの知能でも充分作成可能で、こんなに美味しいレシピを公開している平野レミは偉い!(トライセラトップスのヴォーカルの母、ってだけじゃないんだね!)





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『センチメンタル・アドベンチャー』(クリント・イーストウッド監督作品)

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センチメンタル・アドベンチャー
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 よく考えたら鉄砲をバンバン撃ってないイーストウッドの映画を観るのはこれが初めてのような気がする……。『センチメンタル・アドベンチャー』(原題は“Honkytonk Man”。ものすごい邦題の四次元殺法である)。1982年公開のイーストウッド主演・監督作品。現在はジャズ・ベーシストとして活躍しているカイル・イーストウッドとの親子共演――という時点で評価を下げる人がいそうな気もするけれど(長嶋一茂がムカつくのと同じ原理で)、結構面白い映画だと思う。


 「才能はあるが肺病で体を壊したカントリー歌手が最後の希望をかけてオーディションを受けに行く」という過程を描いた割合ベタなロード・ムービーで、大した起伏もなく進んでいく。その代わりに速いテンポで話が進んでいくので、私のようなヤワな映画視聴者にも易しい。かなりぼんやり観ていても話が理解できる。映像の撮り方もイチイチ決まってるのだが、そういうところからも既知感であったり、記号性みたいなものを感じるのかもしれない。


 『ペイルライダー』が「なんかよくわからんが人知れぬ過去を持つ無茶苦茶強いガンマンが大暴れ!」という記号で出来上がった映画なのだとしたら、『センチメンタル・アドベンチャー』は「ものすごくしみったれてるけど『夢って大事だよね』的アメリカン・ドリーム演出型の“ええ話”」の記号で出来上がってるようにも思う。あまりにもベタで、あまりにもキマっている。ホントに絵に描いたみたいな「映画」なのだ。「ありえること」の過剰によって映画が「ありえないもの」と化してしまう。そこでは当然リアリティが希薄なものとなっている。


 これを「凡作!」と言い切ってしまってもたぶん全然OKなんだけど、それでも面白いと思うのはやっぱりイーストウッドという人の存在感というか特別さが関わってるんだろうと思う。


 とにかく、主演の彼の「ありえなさ」がすごいのだ。映画のなかで何度かむちゃくちゃにビルドアップされた彼の上半身が映るんだけど「こんなムキムキな結核患者いねーよ!」と全力でツッコみたくなるし、あと歌手の役なのに映画のなかで2番目ぐらいに歌が下手なのもひどい(脇役的に出てくる歌手がことごとくイーストウッドより上手い)。周りが必死で「ありえるように」取り繕っているのに、イーストウッドひとりだけ「ありえない人」で出てきている。だからと言って「ありえること」と「ありえないこと」のバランスが取れてるわけではなくて、ちぐはぐさが増しただけである。でも、そこが面白い。畸形っぽい感じさえする。そして、この気味の悪い映画を受け入れてしまっている自分も不思議なんだけど……。


 以前映画好きの友人が「最近のイーストウッド作品がやたらと重くて暗く思われてるのは、自分が主演じゃないからだ!きっと自分で出てたら観客も割と普通に観れてるはずなんだ!」とか言っていたのを聞いて、最近の作品一本も観てないからしらねーよ、とか思ってたんだけども、友人の言葉と『センチメンタル・アドベンチャー』に感じたイーストウッドの「強引さ」はかなり関係がある気がする。


 あと、イーストウッドってやっぱりテンポの速さで説明が不足してく点をベタな記号(とても受け手と共有可能なキーみたいなもの)で埋めてくところが目立つなぁ、と思った。この映画だとド田舎に来たらそこの住民はほとんど英語には聞こえない訛りすぎな言葉を喋ってたりするんだけど、これもかなり過剰な演出で、ほとんどドリフの域である。でも、そういう記号の組み方がすごくクールに機能しているところはホントに良い。特に冒頭から5分ぐらいはほとんど完璧な流れだと思った。ここは「あ、これ名画かも!」と思わせるパワーがある箇所でした。





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テオ・マセロ死去

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 マイルス・デイヴィスとの仕事で知られる音楽プロデューサー、テオ・マセロが亡くなったそうです(映像はマイルスとの仕事について語るテオ・マセロ。マイルスのモノマネも披露しつつ楽しげに話す姿が印象的です。Youtubeでは既に『安らかに眠れ』とのコメントがついています)。



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 Youtubeでは他にテオ・マセロ関連のものとして74年に発表されたチャーリ・バード&アルデマロ・ロメロの『ONDA NUEVA』から音声のみの動画がありました(テオ・マセロはプロデュースを担当)。これを聴くだけでも、テオ・マセロが色あせない斬新さを提示し続けた奇才を持つ名プロデューサーであったことが伝わる気がします。


 どうやら今年も20世紀の終わりを感じなければいけない、そういう年になりそうです。





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ソ連の伝説的演奏家たちによるフォーレ

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 レオニード・コーガン、エミール・ギレリス、ムスティラフ・ロストロポーヴィチ、そして現在も指揮者として活動するルドルフ・バルシャイ(彼は元々優れたヴィオラ奏者である)によるフォーレのピアノ四重奏曲をYoutubeで見つけました(音声のみ)。銀河系カルテット、というか……なんというか……あまりにメンバーが豪華すぎて名前を見るだけでクラクラしてしまいそうですが、演奏内容も実に素晴らしいです。豊かに鳴る3本の弦楽器とギレリスの凛々しいピアノの対比はちょっと他では聴けない……。どこか物憂げな初期のフォーレ作品の味わいとは少し異なる演奏ですが、こういう風に一本太い線が入ったフォーレというのも面白いと思いました。





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武満徹『武満徹著作集(1)』

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武満徹著作集〈1〉
武満徹著作集〈1〉
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武満 徹
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 新潮社から刊行されている武満徹の著作集の第1巻を読了。一冊のヴォリュームと内容がとても多い本なので、読み終えるにはずいぶん時間がかかってしまったが、とても面白かった。武満の音楽が強く、深く言葉と関係しあっている、というか音楽と言葉が同一化されていることを意識させられる、そういうタイプの本である。


 音楽と言葉、それは音と文字という二つの異なったメディアに属する別々のものに思われるかもしれない。しかし、この作曲家はもっと始源的な部分、音楽が記譜される前の、言葉が文字になる前の音声的な部分を見つめているようにも感じる。


 音楽が記譜され、紙の上に保存される。言葉が文字になり、紙の上に保存される。この紙のなかへの保存によって、両者は「音」を失い、音楽と言葉は別々の存在となった。そして、音を失った両者は音楽家あるいは小説家によって作品として構築されるための素材へと変化した。武満はその歩みを逆さまに辿ろうとする。ロマン派のようにも読める「音楽と感情のつながり」や、「音を構築するという観念を捨てたい」という言葉は、そのような「プリミティヴな音」への回帰を思わせる。


 第1巻には『音、沈黙と測りあえるほどに』と『樹の鏡、草原の鏡』の2つの著作を収録しており、前者では友人や好きな芸術家/音楽家/詩人に対する論評、あるいは前述したような音と言葉に対する武満の考えが綴られている。後者も同じスタイルの文章が収められているのだが、そのなかでも『Mirror』というインドネシアを訪れたときの旅行記が興味深い。


 フランスの作曲家たちとともにインドネシアを訪れた武満はそこでガムランやケチャを聴いている。フランスの作曲家たちにも武満にもこれは新鮮な体験だったようで、武満は自分の感じた感動とフランス人たちの喜びようをこの文章で綴っている。


 ただ、ガムランの「新しさ」に大喜びし、一生懸命それを楽譜に起こそうとするフランス人を見つめる武満の視線はかなり批判的である。逆に武満はフランス人たちのようにガムランを取り入れようとする態度を取らず、インドネシアの音楽と自分の音楽との違いを意識した。この他者との出会い方がやはり武満の独特な感性なのだろうな、と思わされた。


(なお、この本と、これに続く著作集の第2巻はid:kakanekoさんのご好意によって手に入れることができました。その節は本当にありがとうございました)





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アントン・ブルックナー

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ブルックナー:交響曲第7番
ショルティ(サー・ゲオルグ) ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ブルックナー
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ブルックナー:交響曲第8番
ヴァント(ギュンター) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ブルックナー
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ブルックナー:交響曲第9番
マタチッチ(ロヴロ・フォン) チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 ブルックナー
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 アントン・ブルックナーという作曲家は、私にとってベートーヴェンやバッハといった古典、あるいはブラームスやマーラーやショスタコーヴィチといった近代の作曲家ほど親しみのある名前ではない。例えば「どの曲も似たような感じがする」という特徴はそれだけで少し敬遠したくなるタイプのものである。それに一時間超にわたって執拗なほどに同じ展開を繰り返すあの長大さを、慌しい日常のなかで楽しもうとするとそれだけで腰が重くなってしまう。


 とはいえ、じっくりと腰を据えて聴く時間を作って聴いてみるとなかなか面白い。クラシック音楽のファンのなかに(比較的少数ではあるけれども)、熱狂的なブルックナー・ファンが存在するのはなんとなく理解できる。


 しかし、やはり玄人向け風の音楽である、という印象はぬぐえない。ベートーヴェンやブラームスやマーラーやバッハなどと違って、ブルックナーはハマる人でないとハマらない、そういった性質があるように思う。


 私はやはりハマれない人なのだろう。どの曲を聴いても同じように聴こえてしまうし、「この作曲家がこの音楽で何を目指していたんだろうか」というポイントがさっぱり把握できない。もうちょっと突っ込んで言うとブルックナーの音楽と結びつく「何か」が上手くイメージできないことに、この音楽の理解の難しさがあるようにも思う。


 ここで逆に、音楽と「何か」が強く結びついているものを考えてみる――ドヴォルザークの交響曲第8番や、チャイコフスキーの交響曲第4番を聴くと「スラヴ的な体臭のキツさ」や民謡的な主題の「泥臭さ」がイメージできる。マーラーであれば「退廃的な甘美さ」や「悪戯じみた狂気」、バッハやベートーヴェンなら「硬い石で築かれた建築物」、ブラームスはとにかく「秋」だ――とこんな風に次々と(個人的な)例をあげることができる。


 でも、ブルックナーにはそれがない。荘厳なアダージョと野蛮染みた金管のファンファーレの組み合わせが同じ交響曲のなかでちぐはぐに同居しているこの不思議さに苦笑しながら、毎回「なんだかわかんないけど、おもしろい曲だなあ」などと思って聴いている。有名な音楽評論家が「ブルックナーの音楽は宇宙だ」と言っていたけれども、この「なんだかよくわからない感じ」というのは確かに宇宙的である。



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 あと交響曲第8番の第4楽章は、ジャンル的にはメタル!(嘘)





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愛用バトン

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 id:mistycoralblueさんからバトンをいただきました。これまで小難しく、かつちっとも面白くない地味系ブロガーとして活動してまいりましたが、リア充ブロガーへと華麗に転進するために、謹んでバトンをお受けいたします。






  • 携帯


auのW41CA(オレンジ)。就職活動中に携帯を落とす、というアクシデントに見舞われ急遽購入したものですが、カメラが割りと使える点が気に入っています。ただ、気に入っている割にはよく落としたり、友達に大外刈りを鮮やかに決められた際にポケットに入っていたりと使い方が荒っぽいため、ボディにひびが入っています。基板にもダメージがあるようで、アプリがダウンロードできない……満身創痍!




  • 財布


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 ポール・スミスの、内側一面にミキサー卓がプリントされているかなりアシッドなデザインのもの。「気持ち悪い!」と女の子からは評判ですが、私は一目惚れで購入しました。店員さん曰く「一番売れてないです」とのこと。






 免許はあるけど持ってません。でも、父親が元自動車整備工で、幼少時によく工場に遊びに行っていたせいか、車全般が好きです。デザインではベタにヨーロッパのクラシカルなもの、特にフィアット500やシトロエン2CVに憧れています。いつか乗る……と夢を抱くほど物好きではないけれど。


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 ちなみに今年のバレンタインにはフィアット500のミニカーがついてくるチョコレートを所望しました。




  • 眼鏡


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 手前がジャポニズム(フォーマル用)。奥がアランミクリ(遊び用)。結構目が悪いのですが、普段視界がクリアだとなんか緊張してしまうのでかけずにぼんやりとした視界のなかで暮らしています。眼鏡をかけるのは映画を観るときと、仕事がしんどくなってきたとき。ヒヨコの雌雄判別師という仕事柄、目を酷使するのですが、夕方になってくると目がかすんできて上手にヒナの性器を判別できなくなるんですよね……。性別を間違えると工場長から怒られちゃうので眼鏡をかけるようにしています。


 ……と必要なくどうしようもない嘘を書いてしまいました。こうしてみると財布といい、眼鏡といい、かなりきわどいデザインが好きなんだな……俺。




  • 香水


 普段はまったくつけませんが、最近ボディ・ショップのホワイト・ムスクという商品を試供品でもらったので試しに使っています。女の子がつける香水だと、バーバリーの甘い匂いがするヤツとか好きでした。どうでも良いですが街中で昔付き合ってた子がつけてた香水の匂いを嗅ぐとせつなくなるよね……(プルースト現象)。




  • シャンプー


 パンテーンのダメージヘア用のヤツ。




  • ボディソープ


 ダヴ。




  • 洗顔料


 ダヴにしてから肌の調子が悪いので、弱酸性ビオレに戻したいです。






 アディダスのスニーカーが3足、ランニングシューズが1足。コンバースのスニーカーが2足。リーガルの革靴が1足。適当に買った革靴が1足。ドクターマーチンのブーツ(赤革)が1足。


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 今はルドルフ・ダスラー(プーマ)のハイカットが欲しい。




  • 帽子


 持ってない。




  • 歯磨き粉


 PCクリニカとか。




  • リップクリーム


 メンソレータムとか。




  • 釣竿


 高校のころ、学校の池にいる真鯉を釣った記憶を最後に釣竿を握った覚えがありません。




  • ファンデーション


 使ってません! 




  • バイク


 持ってません。






 偏頭痛の薬をたまに飲む。母親が薬関係の仕事についているので、家にカゼ薬は大抵常備。




  • マフラー


 バーバリーの濃茶色いヤツ。




  • 自転車


 ローバーの自転車を持っていましたが、人に貸してます。学生時代、真夏に乗り回してたら真っ黒に日焼けしたかわりに、アスリートみたいな肉体を手に入れました。




  • マスカラ


 マスカラを塗った自分の顔のあまりのディザスター具合がトラウマとなっています。 




  • 指輪


 もってません。オロナミンCのキャップを指にはめて「指輪!」とか言うことによって、場の空気を格段に盛り下げるのは好きです。




  • ストラップ


 つけてません。






 なんか適当に買ったやつ。




  • 腕時計


 スウォッチのオートマティック。学生時代に初めて出たバイト代で買ったもの。夏になるとベルトからハードコアな匂いがする。




  • タバコ


 ずっと両切りのピースをカートン買いするような喫煙者だったのですが、最近禁煙してました。2週間ぐらいまで。1週間に1箱吸ったり吸わなかったりする。禁煙は気合でなんとかなる!と思ったので、ムダにガマンしないようにしました。吸わない人の前で吸わないことを心がけています(自分が吸っていなかったとき、とても嫌な思いをしたので)。




  • コンビニ


 帰り道にないし、最寄のセブンイレブンは家から歩いて往復20分以上かかるのでいかなくなりました。




  • お茶


 コーヒー派でしたが、禁煙してる間に緑茶派になりました。緑茶はカフェインとビタミンCを同時に摂取できる素晴らしい飲料であります。カテキンをとっているせいか、今シーズンは大きなカゼをひいていません。




  • 飲料水


 クリスタルガイザーとか飲んでました(安いから)。




  • 恋してる?


 一人暮らしでさびしいので、脳内に黒い子犬を飼うことにしているのですが、最近はプリンス(犬の名前)にベタ惚れです。




  • 手帳


 持ってません。




  • ピアス


 あけてません。




  • 下着の色


 最近、ユニクロでカラフルなボクサーパンツを買いだめしています。






 実家でお米を作っているため、ほとんど福島県産コシヒカリしか食べたことがありません。




  • 理想の人


夕陽のガンマン (ベストヒット・セレクション)


 リー・ヴァン・クリーフとクリント・イーストウッド。




  • お酒


 ずっとビール派でしたが、昨年の夏ごろからワイン派に移り変わり、今は焼酎・ウイスキー派です。だんだん嗜好がハードリカーへと移り変わっている。ちなみに焼酎は黒霧島、ウイスキーではジャック・ダニエルが飲みやすくて好きだ!




  • サングラス


 持ってません(かけると東南アジアのインチキな売人っぽくなる)。






 特にないです。




  • ゲーム


 上京してからまったくやらなくなってしまいました。




  • 好きなタイプ


 落ち着いた人。






 周囲からは「嫌味なほどインテリだ」と揶揄されますが、実際には使い物にならない知識しかはいっていないため、今から公文などに通うことによって自分探しをしていきたいな……と思っています。




  • 愛用品を知りたい5人を指名


 乙女っぽい人にやってもらったほうがこういうのは楽しいと思うので、私が思うオトメンたちにまわしてみたいと思います。


 id:xavi6のひと(はてなを代表するオトメン)


 雅山関(角界を代表するオトメン)


 西村修(プロレス界を代表するオトメン)


 3人あげた時点でネタが尽きました。





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テオドール・アドルノ『否定弁証法講義』(第11~25回講義メモと『精神的経験の理論について』について)

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否定弁証法講義
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 1ヶ月半ほどかけてゆっくりと読み進めていた『否定弁証法講義』を読了。講義を録音していたテープが存在しない11~25回目の講義についてはアドルノが講義の際に参照していたメモ書きがその補完的役割を果たしているのだが、さらにそれを補うためにメモ書きの余白に書かれていた文章も収録されている。これが編者のロルフ・ティーデマンによってタイトルがつけられた「精神的経験の理論について」という文章である。


 おそらく、アドルノは講義全体のスケッチとしてこの文章を書いていたのだろう。アドルノ自身によるメモは、普通に読むとアフォリズム的に読むしかないような、ひどく抽象的なものなのだが、「精神的経験の理論について」とメモ書きを照らし合わせることによってある程度、どのような講義をおこなったかを想像することができるように思う。


 そこで想像できる内容は、10回までの講義や『三つのヘーゲル研究』あるいは、マックス・ホルクハイマーとの共著『啓蒙の弁証法』とかなりかぶる部分があるので、ここで特に書いておこうというものはない。ただ、以下の引用部は非常に興味深いものだった。



自由を口にしながらも全面的に自由でないもの、それがもたらすのはもっぱら自由の戯画であって、それは現実の自由に誹謗中傷をくわえる。だからこそ、この戯画的な自由は自分の自律性を理論において体系にまで高めねばならない。その体系は同時に、そういう自由の強制メカニズムと類似している。(P.190。第14回講義メモより)



 これについてはピエール・ブーレーズの「音列の選択の自由という豊かな自由があるではないか」と対比して考えられた(この発言についてははてなキーワード、ピエール・ブーレーズを参照のこと)。アドルノ自身の文章では「即興的で自由な音楽と言われているジャズは、実は入念なリハーサルに基づいた『出来試合』でしかない(大意)」という批判や、12音音楽時代のシェーンベルクへの批判あたりが思い出される。これらは、アドルノにおける「自由」、または「自律」の概念を検討する際に、重要になってくるポイントであるように思う。


 アドルノは『新音楽の哲学』においてシェーンベルクとストラヴィンスキーという二人の20世紀を代表する作曲家をとりあげ、親シェーンベルク派的な立場から音楽論を展開している――と思われがちだが、実のところアドルノが全面的にシェーンベルクを礼賛しているというのは間違いである。アドルノが評価しているのは無調時代のシェーンベルクであって、12音音楽のシェーンベルクではない(これは『新音楽の哲学』の役者である龍村あや子も指摘している)。その批判の元となっているところにおそらく先で引用した「自由の戯画」というものがあるのだろう。


 このあたりは、かなり独特な評価のポイントである。ハンスリック的な観点からすれば、シェーンベルクの12音音楽は「絶対音楽の完成した形」のひとつとして評価されて良いものかもしれない。しかし、アドルノはそのような評価をおこなわない。なぜ12音音楽は批判されなくてはいけなかったのか。たぶん、これは『啓蒙の弁証法』でなされた道具的理性への反発とも関係している(……とかなり適当に書いてしまったが、もうちょっと落ち着いたらこの辺、がっつりまとめてみたいと思っています……)。





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はてなかなりインドっぽいご飯出し

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 今月に入ってから激務、激務の毎日でメンタルとフィジカルのバランスが弱り目だったため、本日は有給休暇を取得しひたすら家でダラダラする……という具合に過ごしていました。で、ひたすら寝てたんですが、良い感じにエネルギーが溜まってきたところで金曜の夜に作ったカレーを飽きずに美味しく食べるため、チャパティーを作りました。カレーと一緒に食されるものと言えばナンが有名ですが、本場では手軽に作れるチャパティーの方がポピュラーなのだとか(ウィキペディアに書いてありました)。


 レシピはこちらを見て作りました。死ぬほど簡単でびっくりしましたが、米と一緒に食べるよりカレーが一段と美味しくなったのにもびっくりです。





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『ペイルライダー』(クリント・イーストウッド監督作品)

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ペイルライダー
ペイルライダー
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 先日友人と「ルイス・ブニュエルの映画をひたすら見ながら鶏団子鍋を食う」というよくわからない催しをおこなったとき、全然関係ないところでイーストウッドの話になり(正月の深夜になぜかイーストウッドの関連作品を一挙放送してたせいだと思う)「『ペイルライダー』観た?」、「『ペイルライダー』観た?」、「『ペイルライダー』観た?」と3回ぐらい聞かれたので『ペイルライダー』観ました。ビックカメラ行ったら「『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』公開記念」とか言って、一枚1500円でイーストウッド関連作品が投げ売られてんの。その隣りでしっかり『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』も1500円で売ってましたからね、眩暈がしました。


 映画はすっごい面白かった。テンポ良し、映像良し、美少女も出てくるし、私の好きな「歯が汚い感じの悪役」もたくさん出てきて最高に楽しい映画でした。冒頭から「こういう映画ってなんかあるよね、これってなんかのパスティーシュなの?」と既知感バリバリで終始気になっていて、調べたら『荒野のストレンジャー』の実質的なリメイクとのこと。まあ、この作品も未見なので「へえ」という感じでしたが「勧善懲悪のウェスタン」を作ろうとすれば、必然的に何かの焼き直し的な意味合いを含んでしまいそうな気もして、その過去の作品の拝借/言及(意図していたにせよ、していないにせよ)がこの映画における速いテンポを生み出しているように思います。作品を見る前から、作品が観客と作り手の間である程度共有されている――ゆえに、理解の速度がアップする、というような。「あー、コイツ殺されるんだろうなー」ってヤツがちゃんと殺されて、意外性みたいなとこあんまり突かれないし。


 あと「えー、なんかこれ綺麗さっぱり行ってなくない?」と後味の悪さ(オノマトペで表すなら「じーん……」じゃなくて「じょわぁぁん」という感じ……)も好きなんですけど、イーストウッドが画面に出てるだけで「うーん、まあ良いか」という感じで納得してしまうところがあるのですごい。





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早稲田大学交響楽団第183回定期演奏会@東京芸術劇場

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 早稲田大学交響楽団(通称、ワセオケ)の定期演奏会に高校生のときに参加していた地元のジュニア・オーケストラの後輩が出るというので、同じオケに入っていた高校の同級生と一緒に聴きに行った。ワセオケは、慶応大学のワグネル・ソサィエティ、東京大学交響楽団と並び都内でトップ・クラスの実力を誇る大学オーケストラとしてアマチュア・オーケストラ界では有名な団体なのだが実際に聴きに行くのは初めて。



J.S.バッハ=シェーンベルク/前奏曲とフーガ 変ホ長調より前奏曲


ブラームス/交響曲第3番 へ長調 作品90


ワーグナー/歌劇《ローエングリン》より抜粋


ワーグナー/楽劇《神々の黄昏》より抜粋



 本日のプログラムはこんな感じ。ブラームスとワーグナーという後期ロマン派の大物をとりあげつつ、ドイツ-オーストリア音楽の父的存在であるバッハの作品をその末裔ともいうべきシェーンベルクの編曲で送る――という一晩で18世紀から20世紀前半のドイツ-オーストリア音楽史を俯瞰するような気合の入った内容である。こういうコンセプチュアルなプログラムを組んでくるあたりに楽団の質の高さが伺えるのだが、演奏もやはり高水準だった。


 「アマチュア離れしている」との噂はかねがね耳にしていたものの「学生にこのレベルの音楽ができるのか……」と驚いてしまった。どのパートも腕達者揃いで「大きな穴」と呼べるところがない、という時点ですごいのだが(アマチュア・オケにおいてそのような各パートに均質さをもたせることはかなり難しい。とくにホルン)、これが楽団の規模のなせる技といったところだろうか。実質的なメイン曲であるブラームスは、大事なところで弦楽器が裏拍を待ちきれず突っ込みがち、というアマチュアらしさが垣間見れる箇所がいくつかあったが、鳥肌が立つぐらい素晴らしい演奏であったと思う。特に第4楽章は良かった。


 あと、トランペットにひとり「何者だ!テメエ!楽器も上手くて、高学歴って反則だぞ、コラ!」という感じの人がいて、その人が目立つフレーズを吹くたびに世界が変わる感じがした。ブラボー、おお、ブラボー、である。


 残念だったのは、指揮者の解釈が微妙すぎた、という点ぐらいだろうか。バッハ、ブラームスでは一般的な「硬質な音楽」のイメージとはちがって、柔らかく甘い音楽として演奏しようとするところがいくつか認められた。このような解釈の方法について「こうでなければならない」というファシズムは持ち合わせていないけれども、どうもやりたいことと実際の演奏との間に大きな落差があったのでは、と思う。


 一言で言えば統合不全的な解釈。特にコントラバスパートが終始ゴリゴリと力強く引き続けさせたこと、また何人かの腕達者な木管楽器奏者がオーケストラの和を乱すぐらい歌おうとしていたこと、これが統合不全感をより一層強く感じさせた。ワーグナーに関しては、やりたいことがなんなのかすらわからないほど散漫。聴かせる実力を持っているオケだったので余計にもったいなかったと思う。


 アマチュア・オケを振る指揮者にこんなことを言う人がよくいる――「これはあなた方の演奏会なので、私は主役ではありません。なのであなた方の意見を大事にしていくつもりです。好きなように演奏してください。楽しくやりましょう。音を楽しむ、と書いて音楽なんですから云々」。この方針は、基本的には正しい。アマチュアの音楽家は、自分が楽しむために自主的に練習をおこない、演奏会を主催している。指揮者が全面的にイニシアチブをとり、団員にある音楽を強制する、ということはあまり好ましい事態ではない。また「好きなように演奏する」、これができるということはアマチュアにとってはとても楽しいことだと思う。


 しかし、楽しく音楽をやることと、音(楽)を楽しむこととは少し話が違ってくる。楽しく音楽をやること、ではなく、良い音楽をやることのほうが音楽を楽しむことに対して直接的に絡んでくるのではないだろうか、と個人的には思うのである。この考えからすれば必然的に、団員に好き勝手やらせるタイプの指揮者は「音を楽しませること」からズレた仕事をしていることになる(仕事を放棄している、とさえ言えるかもしれない)。


 この日の指揮者は、そういうタイプの人に思われた。実際、どんな指導をしていたのか想像するしかないけれど、もっと厳しくやったほうが良かったんじゃないか、演奏技術が高いというだけでS席3500円のチケットの対価に見合う音楽はできてなかったんじゃないか、などと偉そうに言ってみたくなる。


 (実際には貰ったチケットで聴きに行ったので「結構良いモノが聴けたなぁ」とちょっとホクホク顔で帰れたので良かったです。上手いアマオケを聴くと自分も演奏したくなりますね)。





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問い続けるための技法

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バッハ:フーガの技法
バッハ:フーガの技法
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 相変わらずエマールが演奏するバッハの《フーガの技法》を聴き続けている。ここまで聞き返すことができる(聞きごたえがある)録音は、年に一枚あるかどうか……。極めて端正に整えられたこの演奏の造形を追っていくと、音楽の道のりを一歩も踏み誤ることが出来ないような緊張感を味わうことができる。特にラストの「未完のフーガ」については、ちょっと気が違いそうになるくらいだ。ほとんど放棄されたように中断されるこの曲のラストについて、私は知っている。しかし、この演奏ではその中断がまるで見えない。この見えなさが、一層中断の衝撃を強めている。


 演奏とは関係ないところでは、バッハの「技法の用い方」についても考えさせられた。ごく大雑把に言ってしまうと、この作品は第一曲の冒頭主題の変奏/発展によって作り続けられた「問い直し」の作品である。これをバッハがおこなった「この主題は、この(あの・その)ような対旋律/この(あの・その)ようなハーモニーをあてても綺麗に響く……」という検証の結果と考えても良いかもしれない。これは「あるひとつ」の確定をおこなうための技法とは性格が異なっている。


 これを技法と技術との違いとして置いてみると、少し面白いと思うのだが……時間がないのでまた今度だ……。なお、《フーガの技法》についてはこちらのサイトがすごすぎる。バッハが主題を書き直していくところを、読み直していく試み、というか。こういう暗号を読み解いていくような愉しみもバッハの魅力のひとつなのだろう、と思う。





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はてな深夜の本気カレー出し

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CA330007


 いやあ……ハードな一週間が終わり、やっと金曜の夜がやってきました。そう、週末のはじまりです。二週連続で美味しいものを作っていたら自分のなかでの料理熱が再燃しまして、今週はいろんな意味でガマン汁大会って感じでしたよ……(普段の食事はビタミン剤とふりかけご飯とかなので……)。


 と私の身辺雑記はどうでも良いとして、まだまだ寒い日が続きます。本日は体が温まる料理が衝動的に食べたくなったのでカレーを作りました。写真をご覧いただければわかるように、一般的に日本の家庭で食されているカレーライスとは違い、インド人が食ってそうな雰囲気漂うカレーです(あんまり美味しくなさそうに撮れてしまってスミマセン)。



黒船 (Cue comics)
黒船 (Cue comics)
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黒田 硫黄
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 作り方は黒田硫黄のマンガに載ってました。「本格派」という響きだけで腰が引けてしまう方がいらっしゃるかもしれませんが、死ぬほど簡単なのでざっと作り方をご紹介いたします。必要なものは……。





  • たまねぎ3個

  • 鶏肉

  • クミン大さじ2

  • コリアンダー大さじ3

  • ターメリック大さじ2

  • にんにく・しょうが・唐辛子

  • トマトの缶詰

  • 鶏がらスープの素

  • シナモン・カルダモン・ナツメグ各小さじ半分



 たったこれだけ!みじんぎりにしたたまねぎをクミン、コリアンダー、にんにく、しょうが、唐辛子で炒めて飴色になったら、肉投入、肉に火が通ったらトマトの缶詰と鶏がらスープの素を適当にぶち込んで煮込み、最後にシナモン類を混ぜてもう少し煮込む……と簡単にできます。シナモン類をいれるのは、意外に思われるかもしれませんが、辛さのなかに爽やかな香味が加えられとても良い感じになります。


 にんにく、しょうが、唐辛子は、各々の好みで分量を変えて良いと思います。ハードコアな辛さと濃さを求めるならたくさん入れれば良いでしょうし、マイルドで良いや……という感じなら少なめで良いでしょう。私は、にんにく2かけ、しょうが1個、唐辛子2本(種を取り除いたもの)入れています。水は使用しません(トマト缶の水分と、たまねぎの水分があるので)。簡単なのでインドっぽい音楽を聴いている間に完成し、食べ終わります。



On the Corner
On the Corner
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Miles Davis Collin Walcott Jack DeJohnette John McLaughlin Chick Corea Herbie Hancock Dave Liebman
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 本日食べながら聴いていたのはマイルス・デイヴィスの『On The Corner』。タブラもシタールも入っているマイルスのアルバムのなかで最もインド風な一枚。ジャケットもターメリック色でインドっぽいですが、インドのカレーは唐辛子を使用しないそうで、唐辛子を使用するとスリランカ・カレーになるそうです(美味しんぼで得たムダ知識)。奇才プロデューサー、テオ・マセロによる悪戯染みた編集によって完成したアルバムとして知られる本作品の秘密は、最近になって編集前の音源を収録したボックス・セットが発売されるなどで、解き明かされつつありますが、そのような種明かしを前にしてもなお斬新に響き渡る名盤であります。デイヴ・リーブマンが吹くソプラノ・サックスをフレーズの途中で左右のチャンネルに振っていく処理などは、思わず「プレーヤーが壊れた!」と錯覚してしまうほど。


 とか言ってる間に、出来上がってしまうほど簡単で美味しい料理なので、11日間カレーを食べ続け「もうしばらくカレーはいいや……」と思っている方にもオススメです。





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料理とモテとこどもの心性

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CA330007


 写真は、私が使ってる包丁類。左から、ヘンケルスの万能包丁、チーズを切る用のナイフ(ギザギザしてるのでパンとかトマトとか切るのにも使っています。たぶん本当はダメだけど)、あと果物用のナイフです。この3本にヘンケルスの牛刀も加わる予定です(昨日、肉を切ろうとしていたときに万能包丁だと上手く切れなかったので)。包丁のトップ・ブランドであるヘンケルスのナイフはどれも高級ですが「ライン」というシリーズは割りと手ごろの価格帯。あと軽くて使いやすい。



Zwilling ライン シェフナイフ
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 さて、昨日のエントリについたブクマ・コメントを眺めつつ「まだまだモテ/非モテの文脈というホッテントリ資源(俺造語。適当にその資源について語っておけばそれなりにブクマがついてしまう……という便利なサムシング)は枯渇してないのだなぁ」と思ってしまいました。また、「料理が出来る男=モテ」という回収のされ方は果たして妥当なのか(あるいは、料理が出来る男は本当にモテるのか)、これも大変興味深いテーマだと思ったので少しこれについて書いておきます。


 個人的には「飾らない感じで、ごく自然に美味しいものが作れる人は男女問わず好ましい」と思ってしまいますが「なんか張り切ってる感が出ちゃってる人」は逆に浅ましさ、嫌らしさが出てしまってよくないようにも思います。いわば「料理と一緒に君もいただいきます感」が出てしまうとダメです。


 とはいえ、そこまで露骨な男性はなかなかいないでしょう。そもそも露骨な男性においては「料理は口実でホントのメインディッシュはワタシにちがいない!」と見破られ、料理を提供する以前の問題として片付けられてしまいます。相互に好意がある場合に限って「美味しい料理を食べさせてもらう代わりに、ワタシを……」というWin-Winな関係が築けるのかもしれませんが、いずれにせよ現実的にモテるためのツールとして料理を用いるのは難易度が高く、せいぜい「モテ感」を演出するためのツール程度に収めておくのが妥当でしょう。


 しかし、そのように現実的なモテとは無関係であっても、料理を「頑張る」男がいるのはなぜか――私はこの要因に、こども的な心性が大きく関連しているように思うのです。具体的な例をあげるならば、こどもがテレビマガジンの付録や、プラモデルを頑張って作って、それを誰かに見せびらかしたい、というような事象が適当でしょうか。何かをうまい具合に作って、誰かに褒めてもらう。このときに他者の側から送られる承認を男性は求めている――などと言ってしまうともっともらしいですが、料理を頑張る男性にはこのような幼児性が備わっているように感じられます。


 「料理好きな男ほど、道具にこだわる」という傾向も「男の子は乗り物と武器が好き」という傾向と並べてみると理解しやすいのかもしれません(単なる自己分析に過ぎませんけれど。今度はル・クルーゼの鍋が欲しいなぁ)。



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はてなモテそうな男的昼食出し

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 先週、自分で焼いたステーキの写真を掲載したところ、思いのほか評判が良かったので再度料理写真を掲載してみます。最近、ウィークデイの仕事が忙しく食事に気を使えないため、週末ぐらいは料理をするようにしているのですが、ストレスが溜まれば溜まるほど週末に美味しいモノが食べたくなる傾向にあるようです。


 本日のランチはイタリアン。前菜にはほうれんそうとカリカリベーコンのサラダを作りました(サラダほうれんそうを適当にちぎって、オーブンでカリカリに焼いたベーコンをふりかけ、粉チーズ、塩、オリーブオイルで味付けておしまい)。


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 肉料理として、豚ヒレ肉のはさみ焼きを作りました。こちらは薄く切った豚ヒレ肉で、チーズとピザソースを挟んで、コショウを振って焼くだけの料理。これもシンプルで美味しくできます。


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 パスタはオーソドックスなトマトのパスタ。肉料理を作るときにあまっていたチーズを、パスタ・ソースに投入しています。ホールトマトからソースを作ると楽しい(真夜中に煮込み料理とか作るのって楽しいですよね……魔術的な気分というか……)。


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 料理が出揃ったところの写真。どうよ、このリア充っぷり。そして、そこはかとなく醸し出されるモテ感(やーねー!)。今後、当ブログはこういったモテ感を演出する料理を紹介することで人気を集め、時折「35歳過ぎると精液が腐る」的な失言をうっかりしてしまうことでブログを作為的に炎上、一躍人気ブロガーの仲間入りを目指していくつもりです。嘘です。



決定版 ケンタロウ絶品!おかず (主婦の友新実用BOOKS) (主婦の友新実用BOOKS)
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 ちなみに本日はイラストレーター、ケンタロウさん(小林カツ代さんのご子息)監修によるこちらの料理本にあったレシピを参考にしながら作りました。至極簡単で、人に出したら「お!なんか美味しそう!!」という印象を与えられそうなキラー・レシピが充実しています。


 あと、デザートにはこちらであざけり先生が紹介しているチーズケーキを作りました。


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 神々しい……。





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エロ音楽師たち……。

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D


 少し筆の勢いが余りすぎて、ながながと小難しいエントリを書きすぎてしまったので、下のエントリを書きながら聴いていたアストル・ピアソラの動画でも紹介してお茶を濁しておきます。ここ10年ほどの間に、ヨーヨー・マやギドン・クレーメルなどによって取り上げられたこともあり、ピアソラの人気はかなり高いものになっております。「アルゼンチン=タンゴ=ピアソラ」というイメージは、ハードコアなアルゼンチン音楽ファンからすれば怒髪天モノらしいのですが、やはり素晴らしい。タンゴの発祥は「飲み屋でお姉ちゃんとダンス兼ペッティングするときの伴奏音楽」らしいのですが、その起源どおり、こんなにエロい音楽は世界的に考えても稀でしょう。



D


 ピアソラのバンドで私がもっとも好きなのは、ヴァイオリンのパートです。こういうカサカサとした木片を擦りあわせたような太い音はクラシックの世界ではまず聴けません。弦楽器には女性のイメージが与えられているそうですが、このヴァイオリンの音色を女性に喩えるならば確実に熟女です。それも少しだらしない感じで肉がついちゃってる淫靡さを持つ40代……といった感じでしょうか。一度で良いからそんな女性に暗がりで「ボウヤ……」って呼ばれてみたい。実際に演奏している人はガウチョ臭のするオッサンなのですが……。



D


 日本人バンドネオン演奏家、小松亮太も人気が高いですが、やや淫靡さに欠けますね。清潔感があるピアソラなんかピアソラじゃないよ……とか思ったりするんですが、これはこれでカッコ良い。



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