高橋メソッドで泳ぎが変った!

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クロールがきれいに泳げるようになる!
高橋 雄介
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 こちらの高橋雄介先生の本を紹介してから*1、当ブログのアフィリエイトリンクを通じて購入されている方がびっくりするぐらい多かった(ご購入いただいた方、ありがとうございました)。でも、この本買って絶対に損はないと思う(私のような水泳初心者方ならなおさら)。この本を読んで2回ぐらいプールに行ったけど、びっくりするぐらい変るんだよ……自分の泳ぎが……「あれ、俺の前世、カッパ?」ってぐらいにさ……。というわけで、本日は「高橋メソッドで何がどう変ったか」の報告。





スピードがあがった


 こちらの本で紹介されているのは「速い泳ぎ方」ではないのだけれども、本に書いてある「きれいな泳ぎ方」を試してみたら自然に泳ぐのが速くなった。自分では全然スピードを出しているつもりはないのに、気がつくと10メートルぐらい先にいる人に追いついていたりするのだ。一生懸命水しぶきをバシャバシャやってる人なんかより、ずっと速く泳げているのにはびっくりした。優雅な感じで泳いでいて、一生懸命バシャバシャやっている人をすっと追い抜けるのはなかなか気持ちいいものがある。





疲れなくなった


 最初は25メートルを1度往復すると結構息が切れて、後ろから泳いできた人に順番を譲る……みたいな感じだったのが、4往復ぐらい楽に泳げてしまう。スピードがあがっているのに、体力の消耗が減り、効率的な泳ぎができるようになっているということだろうか。きれいに泳ぐと無駄な動きや力を減らすことができるみたいである。きれいに泳ぐことを意識すれば意識するほど、連続して泳げる距離が増えていく実感がすごい。





泳ぐのが楽しくなった


 ちょっと試してみたぐらいであまりにも劇的に変っていくので、この本に書いてあることを全部体に染みこませたら一体自分の泳ぎはどれだけ上手くなるのだろうか……とドキドキしてしまう。こういうのは運動を続ける上で大変重要な事柄だと思う。水泳教室みたいに人と一緒にレッスンを受けるみたいな形式が大嫌いなタイプの人には(つまり私だけど)、この本がホントにありがたく感じるはずだ。





モテた!


 プールサイドのベンチで休憩してたら「きれいな泳ぎ方ですねー」とものすごい可愛い女の子に声をかけられて、プール後一緒に食事に行くという流れに。その後は……っていうのは、全部嘘だけど。マッチョだったり、ちょっときれいに泳げるぐらいでヤリまくれたら最高だよねー。そんな安易な世の中こないかな、マジで。来たらきたで寂しいのかな。






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堤幸彦監督作品『20世紀少年』

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映画「20世紀少年」オリジナル・サウンドトラック
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 浦沢直樹原作の『20世紀少年』を観た。初日のレイトショーで会場はほぼ満席。マンガ原作映画の動員力を改めて思い知らされるような感じがして「そりゃハリウッドもマンガばっかりネタにして映画作らせるよなぁ」と思った。


 映画は、結構ちゃんと作ってあるけれど(原作に沿うような形で)、悪く言ってしまうとちょっと散漫かな、という印象。登場人物が多いせいか、主人公の描かれ方みたいなものも希薄。「小学校のときの友達が死んだぐらいで、そんな風になるかぁ?(お前、むちゃくちゃ疎遠だったじゃん!)」みたいなところでひっかかってしまったりする。あと、ラーメンの湯気をCGで過剰に映しているところなどにも冷めてしまった。それ以上に文句をつけたいのは、映画のなかで流れる音楽の音量がものすごく普通な音量だった、という点だけれども。



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 劇中何度か流れるT-REXの「20th Century Boy」。これは肌が震えるぐらいの爆音で流してほしかったなぁ……。何のために劇場に行っているのかよくわからなくなる。常盤貴子っていやらしい体型しているなぁ……とか観ていて良かった点も多々あったけど、なんかなぁ……。「色んな役者がものすごく豪華に出ている」とか「マンガのキャラにそっくりな俳優がたくさん出てくる」とか、そんな映画見せられても「うわー、よくできてるなぁ」ってしか思えないじゃん。唐沢寿明の子ども時代を演じている子役が唐沢そっくり!とか「そんだけー……」みたいな。観終わってから「俺、続編観るのかなぁ」ってしばらく考え込んでしまったよ(次回も『よくできてる!』で終わったらどうしよう的な感じで)。


 そもそも「この原作マンガが連載じゃなくて、映画という一本の線でつながったときに面白くなるのか」という物語的な強度についても考えてしまう。いろんなところで言われている通り、原作はかなりグダグダな感じで終わっている。でも、面白かった、と私は思う。(休載が結構あったけど)一時期『ビッグコミックスピリッツ』は毎週かかさず、まず『20世紀少年』から読むぐらいだった。


 ただ、その面白さって「うわ!次の展開どうなるの?」って読み手をドキドキさせるような「引き」の上手さがすごかっただけで、それって物語の面白さとはまったく別のものなんじゃなかろーか。結局、原作も「うわ!次の展開どうなるの?」って思わせる「引き」を続けている間はめちゃくちゃ面白かったけど、その後の「解決」となると途端に面白くなくなっていた感じがした。「引き」だけは面白い。それはそれでとても良い。でも、それは映画にも還元可能な面白さなのだろうか。


 前半の「すげぇ、カットアップみたい」ってぐらいにザクザクに切ったカット割りは結構見ものかも。





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高橋雄介『クロールがきれいに泳げるようになる!』

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 最近、スポーツ・ジムに行き始めたのは今月の頭ぐらいに食あたりになって(たぶん原因はお昼ご飯に家から持っていっていたおにぎりだろう……)体調を崩したせいで体重が3キロほど落ちてしまったせいである。元々痩せてるほうではあったのだが、頬はこけ、あばらが浮いた外見は、いかにも貧弱に見える。これでは男性の筋肉に性的な魅力を感じる、というタイプの女性に見向きもされないのは明らかだ。鍛えて体を大きくしなければ……そう思った。


 近所にあるジムにはマシン・ジムとプールがある。ジムの受付の人に聞いたら、どうやら同じ料金でジムもプール使えるとのこと。それならば、と思いガシガシとマシーンの重りを持ち上げたりするのと同時に水泳もはじめることにした。


 しかし、何年かぶりにプールに入ってみると自分が無様なほどに泳げないことに気がついたのである。周りではすいすいと休みなく泳いでいる人がいる脇で、私はといえば25メートルを往復するともう息が切れ、休憩が必要になる。折角、太もも全体を覆うタイプのカッコ良い水着を買ったのに、なんたる体たらくだ……その晩、私は家に戻りベッドのなかでひとり泣いた。「このままじゃ、筋肉好きな女性とこのベッドに入るなんて夢のまた夢だ……」と。



クロールがきれいに泳げるようになる!
高橋 雄介
高橋書店
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 一晩が過ぎた。まだ、筋肉好き女性を諦め切れなかった私は、会社帰りにこの本を買った。ちょうど北島康介が金メダルを2つ取った直後だったせいか、平積みになっていて買うのが恥ずかしい感じのこの本を。書いたのは中央大学の水泳部を長年指導してきた先生だそうな。


 これはかなり面白い本だった。まず、著者の高橋先生は理工学部の先生らしく、ものすごく理詰めで「理想の泳ぎ方」を書いてくれている。しかもとても分かりやすい。水中において人はどのように水の抵抗を受けるのか、なぜ痩せている成人男性は水に浮きにくい(浮力だけの問題ではなくて、重心の問題らしい)のか。知らなかった知識が入ってくるので、私のような薀蓄大好き人間には読んでいるだけで楽しくなってくる。


 また、驚いたのはこの本に書かれた泳ぎ方と、私がプールサイドに置かれたベンチに座って「あの人、泳ぎ方綺麗だなぁ……」と惚れ惚れ眺めていたその姿がぴたりと一致していたことである。効率の良い泳ぎ方と美しい泳ぎ方は同じである、というこの理屈と美の整合性にちょっと感動してしまった。


 今後はこれをバイブルとして、仕事が早く終わったときにはすかさずプールに駆け込みたいと思っている。既にイメージだけは完璧だ!(童貞マインド)





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パガニーニの主題による……

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 ヴァイオリン奏者であり作曲家だったニコロ・パガニーニの《24のカプリース》をヤッシャ・ハイフェッツが演奏している映像。速いボウイングのときの鋭い音がとてもカッコ良い(指を離したら、そのまま2階席まで飛んでいきそうな速度である)。この作品は、後にさまざまな作曲家によって主題の変奏がおこなわれていることでも知られている。Youtubeを観てたらいろいろあったので折角なので貼っておこう。



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 エミール・ギレリスが演奏するヨハネス・ブラームス作曲の《パガニーニの主題による変奏曲》。ドラマティックなロマン派の調べが素晴らしい(この作品、ブラームスの作品のなかでもかなり華やかなものではないだろうか)のだが、この動画ですごいのはやはりギレリスの演奏である。「ピアノってこんな音だっけ……?」と思うほどパーカッシヴな強烈なタッチ。しかし、超エレガント。



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 すごいピアニストといえば、こちらのファジル・サイによる《パガニーニの主題による変奏曲》もすごい。高速テンポにジャズ風アレンジ――ただし、音色は全然ジャズじゃなくてクラシック。あと弾いている顔が最高。



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 もうひとつジャズ風なのはアレクサンダー・ローゼンブラット(ニコライ・カプースチンの弟子らしい)によるもの。なんかものすごい野蛮な感じ。ノッてるときのチック・コリアみたいだ。パガニーニの主題をガーシュインっぽくアレンジしたり、バッハっぽくアレンジしていて面白い。



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 ブラームスのものと並んで有名なのはセルゲイ・ラフマニノフによる《パガニーニの主題による狂詩曲》だろう。こちらの演奏は、ピアノがミハイル・プレトニョフ(この人は最近指揮活動ばっかりしている)。棒を振っているクラウディオ・アバド?現在とは比べ物にならない元気さなのが泣ける。この作品を聴いているとラフマニノフが、どれだけチャイコフスキーの影響を受けているかが分かる。



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 ポーランドの作曲家、ヴィトルド・ルトスワフスキの《2台のピアノのためのパガニーニの主題による変奏曲》も面白い。パガニーニの主題を思いっきり歪ませて、斬新な味付けをしているところにファジル・サイと似たものを感じてしまう。


 他にもリストのとか、ロッシーニのとかあるけど疲れたので終わり。





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ブルーノ・シュルツ『シュルツ全小説』

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シュルツ全小説 (平凡社ライブラリー)
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 ブルーノ・シュルツの作品は、先月に『肉桂色の店』と『クレプシドラ(砂時計)サナトリウム』からの抜粋を読んだばかりだが、せっかく全集版を買ったので頭から読んでみることにした。余程のことがない限り私は同じ本を読み返したりしないのだが、読んだばかりで再読しても「面白い!」と思う。以前読んだ「東欧の文学」シリーズに収録されていない作品も面白い。なかでも「年金暮らし」という短編――年金暮らしで暇をしている初老の男が小学校に再入学して幼児退行。最後は強風に飛ばされてどこかへと消えてしまう……という話が良いと思う。


 なんだかよくわからないが、とにかく面白い。しかし、その「なんだかよくわからない感じ」はちょっとした不安を呼び起こすものでもある(なんだかよくわからないから)。けれども、それこそがシュルツの作品の魅力であるように思う。伝わりにくいと思うけれど「やけにゆっくりと落ちていくジェットコースター」みたいな感じがする。前回読んだときより丁寧に読んだせいか、そういうのが一層感じられた。


 それから前回は2段組の本だったけれど、今回は1段組。これは結構印象が違ってくるものだなぁと思う。まず、ページをめくる回数と速度が必然的に異なってくる。当然、2段組の単行本サイズのほうが文字量が多いのでページをめくる回数は減り、1ページを読み終えるまでにかかる時間は長くなる。一方で1段組の文庫サイズでは逆のことが起きる。しかし「私が読んでいるスピード」にはほとんど変化はない。にも関わらず、文庫のほうが体感時間を短く感じる(ページをめくる回数が多いからだろうか。1ページを読む時間が短くなるからだろうか)。さらにそれに伴って文体まで「速い文体」に読めてくるのである。


 情報は同質であっても、伝達される内容が形式によって異なってくる感じ。こういう実感があると、読書って単に目と頭で情報を受ける/読み取る行為ではなくて、かなり身体的行為なのかな、と思ってしまう。





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ピエール=ロラン・エマール『メシアンへのオマージュ』

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メシアンへのオマージュ
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 先日の来日公演でも素晴らしい演奏を聴かせてくれたピエール=ロラン・エマール*1のメシアン作品集を聴いた。バッハがメインとなった今回の来日では、バッハ、そしてそれ以上にベートーヴェンの演奏が素晴らしかったので正直言ってメシアン作品についての印象があまり残っていないのだが、この録音を聴きかえしているうちにエマールが弾くメシアンのすごさが分かってきた気がする。


 エマールが弾くメシアンはとても自然なのである。そこで描かれる作曲家の姿は「鳥と戯れる神秘主義的カトリック信者」でも「音楽によって星を、宇宙を描こうとした誇大妄想家」ではない。演奏を聴いているとあくまで「独創的な形式を探求した20世紀の作曲家」としてメシアンを捉え、アプローチを行っているように思えてくる――これは音楽史上の作曲家たちの連なりに、メシアンを載せなおそう、という試みであるように思う。だからエマールの演奏には過剰なフォルテッシモや瞑想するかのような遅いテンポの選択は必要ではなくなる。


 それが顕著なのは、メシアンの初期作品である《8つの前奏曲》だろう。印象派や(おそらく)パリ時代のストラヴィンスキーの影響が窺い知れる楽曲に、メシアンが過去の作曲から引き継いできた「伝統」が浮かび上がるかのようだ。ルバートやタッチの息遣いは、まるで後期ロマン派の作品のように楽曲を聴こえさせる――エキセントリックな部分などひとつもない。そして、聴こえてくる伝統に紛れて「その後のメシアン」の響きを感じさせるものも登場してくる。この部分が本当に素晴らしい。エマールといえばまず「完璧なテクニック」について語られるが、それは単なる「道具」に過ぎず、エマールの演奏が「なにか」については、この解釈力/咀嚼力にあると思う。


 とはいえ、やはり素晴らしいテクニックが聴けるのも楽しい。《8つの前奏曲》の第8曲や、《4つのリズムのエチュード》から抜粋された「火の島I」、「火の島II」は思わずのけぞるような圧巻の演奏である。特に「火の島」シリーズにおけるポリリズムのすごさと言ったら、内臓がもだえるようなダンサブルな快楽である。






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ダニエル・ハーディングのマーラー(?)

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マーラー:交響曲第10番
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 ダニエル・ハーディングがウィーン・フィルを振った録音を聴く。曲はマーラーの交響曲第10番。これが18歳で指揮者デビューをし、29歳でウィーン・フィルにデビュー*1という華々しい彼の経歴において「ひとつのマイルストーンになるのではないのだろうか」というほど素晴らしいものだった。


 彼の指揮はいつも素晴らしく新鮮で、瑞々しい。それは他者からのセルフイメージを参照しながら(言い換えるなら『観客は、自分にこういう演奏を求めているのだろう』という予測をしながら)、戦略的にそういう演奏を行っているようなしたたかさを感じるほどである――その狙いは常に大正解だ。おそらく何年か、何十年か経てば新たなダニエル・ハーディング像が形成されてくるはずだ。「若き俊英」から「若き巨匠」と呼ばれるようになったときの彼の演奏が今から楽しみである。彼の音楽の変化にリアルタイムで触れることができるのは、この上なく幸せなことだ。


 ちなみにこれは彼が振ったマーラーの初録音でもあるのだが、最初から交響曲第10番というところがハーディングのすごさだと思う。マーラーの第10番から入ってくるなんて、初球からナックルみたいなものでちょっと前代未聞じゃないだろうか。マーラーの遺稿をもとにイギリスの音楽学者、デリック・クックが完成させたというこの作品は、言ってしまえば「マーラーの作品ではない」のだから。


 さらに言うとこれはクックの作品でもない……という音楽美学的には極めて微妙なものである(専門外の領域なので結構適当なことを言っているが、こういった補筆が入った作品は近代的な芸術家論からすれば少し異物のように扱われている、と思う)。


 しかし、クックの仕事自体は、ものすごく興味深いものだ。この作品は誰が聴いても「これはマーラーの作品だ!」という風に仕上げられているだろう。だが、現実には「マーラーの交響曲第10番」という作品は存在していない。これによって作品に触れた聴取者は「これはマーラーではないが、マーラーの作品である」という宙吊り状態におかれてしまう。


 クックがそういったポストモダンじみた問いの提示を狙っていたかどうかは知らないが、こういう風に考えてみるとこれはもう少し「問題視」されても良い作品な気もしてくる。「この作品は、誰のものなのか?」。《答えのない質問》のようだけれども、これを問うことによって作品の論じ方/評価の仕方は随分変わってくる。もしかしたらベリオの《シンフォニア》よりも大きな問題として扱えるかもしれない。


 個人的な印象を言ってしまうと「第9番を書いたあとに、これはないんじゃないかなぁ」という思いもある。クックによって仕上げられたこの第10番はちょっと後期のマーラーにしては音楽的な整理がされ過ぎているような気がするのだ。まるで「第4番の軽い筆致で、第6番のスケールの作品を書いた」みたいな趣がある。そこには第9番で聴くことのできる絶妙な狂おしさが存在しない。そこまで精巧に模写できたら、クックも単なる補筆者ではなく「もうひとりのマーラー」みたいに扱われたかもしれない。


 それにしてもウィーン・フィルの音が素晴らしいこと!近年稀にみるほどの響きがこの録音には収録されている。とくに弦楽器が素晴らしい音色を聴かせてくれるのが嬉しい。演奏のタイプはまるで違っているけれども、カール・ベームがこのオケを振っていたときのような煌びやかな音色には思わずうっとりとしてしまった。ポルタメントの「ギリギリ不健康な感じにならない感じ」加減が最高だ。




*1:今回取り上げた作品は、初めてウィーン・フィルを振ったときにも取り上げられている





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ヘルムート・ラッヘンマン《ヌン》

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『ヌン』 シュテンツ&アンサンブル・モデルン・オーケストラ、ほか【CD】-ラッヘンマン(1935-) 発売国:Europe|クラシック|音楽|HMV ONLINE CD、DVDの通販-ゲーム、書籍、 タレントの写真集も


 現代音楽関連のエントリが続いているため興味がない方に「もううんざり。このブログ、アンテナからはずしちゃおうかな」と思われても仕方がないのだが、性懲りもなく現代音楽についてのエントリを書く。ルイジ・ノーノの最新録音と一緒にほかにもCDを注文していたのだが、そのなかにヘルムート・ラッヘンマンの《ヌン》という作品の録音も入っていた。こちらも発売が今年の5月でほとんど新譜と言っても良い……にも関わらず入荷に2ヶ月ほどかかってしまったのが不思議(しかも、届いたデジパックのCDケース、ブックレットが入る部分がちょっと壊れていた)。「現代音楽がどれだけ今厳しい状態におかれているのか」みたいなものをなんとなく感じてしまう。ラッヘンマンの新録音が出ても、ノーノの新録音が出てもどこにも取り上げられないし。本当に悲惨。


 演奏はアンサンブル・モデルンの2005年のライヴ録音。これがライヴ録音なのか……と驚くほどにキマりまくった演奏が素晴らしい。声楽アンサンブル、独奏トロンボーン、独奏フルート、そしてオーケストラというかなり大きな編成にもとづく作品なので、録音が残されていて良かったと思う(たしか他にも録音はあるはずだけど、以前に出ていたものは改訂前のものだろうか。この作品は1997年から1999年に書かれ、2003年に改訂がおこなわれているようだ)。ラッヘンマンのアイデアが40分超にわたって炸裂しているのが聴いていてとても楽しい。特殊奏法の嵐、嵐、嵐……で、弦楽によるハーモニクスや管楽器のフラッタータンギングが巻き起こしたパルス状の土台の上で、独奏トロンボーンとフルートが大暴れするところなど痺れてしまう。


 声楽アンサンブルのほうも、普通にテキストを発声するところなどほとんどなく「口をパクパク言わすだけ」とか「歯の隙間から息が漏れただけ」みたいな音を出す楽器として用いられている。かと思えば急に「ウ゛ェ!」とか叫んだりするので本当に面白い。次に何がおこるのか予想できず、ドキドキしながら作品を聴いてしまう。


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 当の本人は、江戸時代の人が見たら「天狗だ!」とびっくりしそうな恐ろしい顔をしているのに、こういったユニークな作品を書いているのがとても興味深い。この顔で「ピアノをギロに見たててみよう。よし、ピアノの色んな部分を擦って音を出す作品を書こう」とか考えているのかと思うと「ドイツ人ってどういう人間なんだろうな」と考え込んでしまう。





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ルイジ・ノーノ《死の間近な時 ポーランド日記第2番》

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 昨日に引き続き*1、ルイジ・ノーノ作品の最新録音を。何度か聴きかえしているのですが、この録音はやはりヘッドフォンで聴くと音の処理の仕方のすごさが手に取るように分かって面白い。マルチチャンネルのソフトなので、ちゃんと環境を整えて聞いてみたくもなった。作品内容/演奏内容ともに素晴らしいから、現代音楽に興味がある方には是非買って聴いてほしいCDである。違法DLとYoutubeでばっかり音楽を聴いていると、鼓膜と精子と羊水が腐るよ!


 CDの2枚目に収録された《死の間近な時 ポーランド日記第2番》、こちらも《冷たい怪物に気をつけろ》と同様、声楽と器楽とライヴ・エレクトロニクスのための作品である。どちらの作品にも全体の雰囲気が静謐で、音数をものすごく絞ってある印象を受けるのだが、《死の間近な時 》のほうがずっと厳しく、鋭い音が並んでいる。《冷たい怪物に気をつけろ》が不気味なほど美しい音響作品であるのに対して、こちらの作品で聴かれる4人の女性による声は悲痛な叫びのようだ。

 ちなみにどちらの作品もテキストは、イタリアの哲学者マッシモ・カッチャーリによって書かれている*2。これについて私はイタリア語をまったく知らないため、CDに付いてくるブックレットを読んでも何を歌っているのか把握することは不可能だ(英訳なし。イタリア語解説を英語に移したものには、政治的な意味合いを含むテキストであることが少し書かれている)が、個人的にはテキストが理解できなくとも問題がないと思う。ノーノの作品はテキスト以上に何かを伝える方向へと向かっているのだから。




*1ルイジ・ノーノ《冷たい怪物に気をつけろ》 - 「石版!」


*2:ルイジ・ノーノとマッシモ・カッチャーリの交流については、浅田彰による浅田彰【音楽・政治・哲学――ノーノをめぐって】に詳しい





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ルイジ・ノーノ《冷たい怪物に気をつけろ》

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 先月に発売されたルイジ・ノーノ作品の最新録音(たぶん)のCDが届いたので早速聴いている。これは南西ドイツ放送の実験スタジオで「むちゃくちゃに音質にこだわりました」というのが売りとなっているらしくSACDと通常CDとのハイブリットCD2枚組で約6000円、と近年のクラシック音楽におけるCDの価格破壊に慣れた感覚でいえば「高!」という感じなのだけれど、ルイジ・ノーノのようなサウンドのテクスチュアに重みがある作曲家の作品はできるだけ良い音で聴いたほうが良い。

 CDには《冷たい怪物に気をつけろ》と《死の間近な時 ポーランド日記第2番》が収録されている。どちらも1980年代、作曲家のほぼ晩年に書かれ、ライヴ・エレクトロニクス(リアルタイムで電子的に音を変調させるシステム*1)を使用した作品である。まずは《冷たい怪物に気をつけろ》のほうから紹介していきたい。


 もうまずこのタイトルからして最高なのだが、内容も素晴らしい。全体で約45分と長大な作品のなかを極度の緊張感が一本の線になって貫いているような静寂な作品である(作品の大部分が弱音で、ごく限られた部分で鋭い不協和音が現れる)。また、2人のアルトが中世の聖歌のような旋律を歌う部分があり、ここは背筋が凍るほど美しい。かなりの集中力を要求される作品だけれども、もしかしたらノーノの作品のなかでも最も聴きやすい作品かもしれないとも思う。


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 ものすごくどうでも良いけど、ノーノとモリッシーは似ている。




*1:どういう機材が使われているのか不明。ライヴ・エレクトロニクスを使った作品で、その点がまったく語られないのは少し不思議な気もする





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トークボックスが大好きすぎて頭がおかしくなった男

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 大爆笑した映像。クリス・メイヘムさんという男性が、自分の部屋にて、全力でRoger & Zappのカヴァーをやっている。クローゼットのドアが開きっぱなしなのが最高。きっと良い人に違いない……。



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 元ネタはこちら。ライフル型のギターにヘルメット、そしてセーラー服と極度の変態スタイルでパフォーマンスを行うのは、1999年に実兄に射殺されて非業の死を遂げたロジャー・トラウトマン。「こんな大人になりたい」って人を狂わせる魅力をもっているよ……。



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アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ『狼の太陽』

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狼の太陽―マンディアルグ短編集 (白水Uブックス)
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 生田耕作の訳文が妙に恋しくなってフランスの作家、アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの短編集『狼の太陽』を読む。「狼の太陽」とは何か、本の冒頭には「狼たちの太陽――月」と書かれている――月は何を示しているのか、それは「狂気」だ、ってわけで狂気が目一杯に詰まった怪奇的幻想小説だった。幻想小説の類は、結構苦手とする分野なんだけれども、これは「悪夢度」がハンパではなくて(正直言ってボルヘスよりもすごいと思った)ドキドキしながら読まされてしまった。生田耕作の訳文も素晴らしい。日本語でこれだけ禍々しい感じが出るのであれば、原文はどういう風なんだろう、と興味を持たせてくれるような名訳である。不健康で美しい日本語が全篇に渡って展開されるところには、思わず感動してしまった。


 収録されている6つの短編のなかでは、最後に載せられた『生首』(なんてタイトルだよ……)が一番恐ろしい。話は森の中に住む狂女が物語の語り手に「自分がなぜこんな風に狂ってしまったのか」を語るというものなんだけど、その原因となった悪夢のような情景描写がホントに怖いんだよ……。今までそれなりに色んな本を読んできたと思うけど、この『生首』が一番怖かった!ってぐらいに。これは寝る前にベッドのなかで読んでは絶対読んでいけないと思った。なぜなら自分がベッドのなかで読んでいて死ぬほど恐ろしい気持ちになったから……。寝る前に読んだらトイレになかなか行けなくなったり、「と、戸締りしたっけ?」とか心配になったりすること請け合い。



人間の小粒というよりは、犬か、猿か、それとも小熊に近い子供たちが、浜砂利の上で遊んでいる。八人の男の子が四本の古いゴム管の口にそれぞれ小さな性器を差し込んで、四つの組に結ばれ、この弾力性のある縄を使って、女の子に挑みかかるのだった……



 かといってマンディアルグが真性の変態ホラー作家なのか、と言えばそういうわけでもなくて、唐突に上に引用したような「なんだかよくわかんないけど面白いな(ほっこり)」描写もたくさんあるので面白い。白水uブックスからは他にもこの作家の翻訳が出ているので読んでみよう。





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マキシマム・ザ・ホルモンにもびっくりした

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 あとこっちはid:acidtankさんに教えてもらってびっくりしたマキシマム・ザ・ホルモンの新曲。「恋のメガラバ」の頃から、ポップなのにデス声のヴォーカルが入っててすげぇバンドが出てきたなぁ、と思っていたけど、デス声の度合いが増してて「こんなのが売れてるってすごい世の中だ!どうなっちゃってんだよ」と思いました。このバンドに関しては「マキシマム・ザ・ホルモンとPerfumeは繋がる」というすごい批評をacidtankさんが書いてくれると思うので、乞うご期待。こんなにデスっつーかスラッシュっつーかヘヴィ・ロックなのに、歌メロっぽい部分はJ-ROCKになっているのがすごいなー。



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 これ聞いてて、思い出すのは当然パンテラのことで(ギターヴォーカルの人、ダイムバッグ・ダレルみたいだし)「マキシマム・ザ・ホルモンもこれくらいバスドラがパタパタ言ってたらもっと好きになるのになぁ」って思っています。あと、パンテラのことを無性に悲しい気持ちになります。どれだけ願っても、もう二度と観れないんだな……って。


ダイムバッグ・ダレル一周忌。 - スキルズ・トゥ・ペイ・ザ・¥


 故ダイムバッグ・ダレルのことを知りたい方は↑のエントリがためになると思います。





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PENDULUM『In Silico』

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In Silico
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 先日、id:Dirk_Digglerさんにお会いしたときに「プログレばっかり聴いてると精子が腐るぞ!これ聴け、これ!」と男気溢れるセリフとともにペンデュラムの音源を渡されたので聴いています。2枚目のアルバム『In Silico』は、爆笑しながら聴きました。


 まず「ハードロック+ドラムンベース」っていう発想がほとんど中2。音も知能指数が限りなくゼロに近い感じがして最高だと思いました。「21世紀型のメタル・ヒーロー爆誕!」って心の中の伊藤政則が言ってます。ロックの人がやたらとアーティストぶっている感じとか、何かといえば「テロがあって僕らは考えたんだ……」とか発言する態度に「なんだかなぁ。いつからロックの人は、考える人/悩む人じゃなくちゃいけなくなったんだ?」と感じてしまって嫌なんだけど、こういう人たちがいると少し安心する。もっとこういうの見習えば良いのに。


 これを聴いていてふと頭に浮かんだのはAC/DCのことだった――その後、「オーストラリアの人たちだよ」って聞いて妙に納得した。このふたつのバンドは「微妙に難しいところをシンプルになるようにそぎ落としている」っていうところで共通するものがある気がする。AC/DCも「ツェッペリンの『黒い部分』を削ぎ落として、もっとスクエアに演奏したらポップになるんじゃないのー?」っていうところから始まっていそうだし、ペンデュラムもギター・リフと絡み合ってるリズム・トラックは正直「プリセット音源じゃねーのか」ぐらいのものに聴こえる。で、先ほどは「知能指数がゼロに近い感じ」っていうのは、このシンプルさが起因しているように思うんだよな。もちろん、AC/DCもペンデュラムも戦略的に、したたかにやってるんだろーけども。



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 (何故か米軍のヘリの映像にAC/DCの『Thunderstruck』をかぶせた映像)この曲なんか、ホント、リズムをドラムンベースに置き換えたら、そのまま「これペンデュラムの新曲」で通じそうだ……。ということで、今評価されるべきなのはAC/DCなんだよ!(来日してくれたら、泣いちゃうね!!)



Highway to Hell
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Klaus Schulze『Mirage』

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Mirage
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Klaus Schulze
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 あと東京タワーではシンセサイザー・ミュージックのオリジネイターであり、喜多郎にシンセを教えた男……と呼ばれるクラウス・シュルツェのこちらのアルバムも購入した。『Mirage』は77年のアルバム。この人はあんまり芸風にブレがなくて大体どれを聴いても「ニューエイジすれすれの幽玄なシンセ音楽」が聴ける。シュルツェの音楽はクラシックっぽく構成がしっかりしているところが、タンジェリン・ドリームなんかとは全然違う。っていうか、シュルツェも元タンジェリン・ドリームなんだけど……と考えると、やはり「ドイツのアカデミックではない電子音楽」の源流にタンジェリン・ドリームを置くことができ、やたらとありがたい名前のように感じてくる。



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CLUSTER『’71』

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’71(紙ジャケット仕様)(PAPER SLEEVE)
クラスター
CAPTAIN TRIP RECORDS キャプテン・トリップ・レコーズ (2007-09-20)
売り上げランキング: 101314



 先日東京タワーに行った記念に、クラスター(ドイツの電子音楽ユニット)のCDを買ってきました。あまり知られてないかもしれないけれど、東京タワーの蝋人形館に併設されたレコード&ロックTシャツショップは、日本で有数の「クラウトロック専門店」なのです。すごいよ、品揃えが。いわゆる70年代ぐらいからドイツで活動していたバンドの名盤といわれる作品がほぼ全部揃っていることに感動しちゃう。


 今回購入したのは『’71』は、KLUSTERからコンラート・シュニッツラー(ex.タンジェリン・ドリーム)が抜けて、ハンス・ヨアヒム・ローデリウスとディーター・メビウスの二人組となりバンド名がCLUSTERになってからの一枚目。テクノの先駆みたいにに捉えられ評価されている時期とは音楽性がまったく異なる初期のアルバムも素晴らしい。


 タンジェリン・ドリームほどドロドロとしたサイケデリックな音像が展開されるわけではないのだけれど、初期クラスターも志向するところは「自由で新しい電子音楽!」っていうところな気がする(それはシュトックハウゼンの電子音楽とはまったく別物だ)。シンセサイザーと生楽器を組み合わせて、即興主体で広がっていくところがとにかく気持ち良い。



D


 『’71』に収録された音源の抜粋と当時の写真などが観れる映像。なんか機材がものすごく物々しい感じで、今の感覚からするととても「音楽をやっている」ようには見えない。





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サム・ペキンパー監督作品『ワイルド・バンチ』

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ディレクターズカット ワイルドバンチ 特別版
ワーナー・ホーム・ビデオ (2008-07-09)
売り上げランキング: 85670



 観ていて気持ちよくなるぐらい「これは、私とは違う人、相容れないような他者によって撮られた映画だなぁ」という感じがして面白かった。そもそもサム・ペキンパーって言う人は、私がこれまで観てきたような映画とは違った「映画」を持っていたんじゃないか、なんて錯覚する。それらは同じ名前で呼ばれているけれど、ペキンパーの映画はまるで違う、みたいな。冒頭の「大量の蟻が蠍を襲っているシーン」とか「ほとんど無意味に人がバタバタ死ぬシーン」なんか、ちょっと物語的な枠組みで捉えられない感じだ。地方の特別なお祭を観ているような気分になる。



ミスティック・リバー
ワーナー・ホーム・ビデオ (2007-04-06)
売り上げランキング: 9806



 どうでも良いけどジャケットがこれとそっくり。





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古川日出男『アラビアの夜の種族』

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アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)
古川 日出男
角川書店
売り上げランキング: 15007



 傑作との誉れ高い古川日出男の『アラビアの夜の種族』全3巻を読み終える。面白かった……が、個人的には今ひとつハマれない作品だったというのが正直なところ。ものすごく丁寧に書かれていて「どれだけ資料(史料)を集めたら、これぐらいのモノが書けるのだろう」というところは驚きに値したけれど、逆に丁寧に書かれているからハマれなかったのかもしれない。特に「ストーリーの了解のしやすさ」だとか「主人公の心情などの理解のしやすさ」の部分が、ちょっとスムーズ過ぎるかな、と思ってしまう。とくに小説を読み慣れた人にとっては結構先の展開が読めてしまって、実際予想したような展開が先に書かれている。これでは少し退屈だろう。


 セルゲイ・プロコフィエフという作曲家が「私はいつも聴衆を驚かすことばかり考えている」というようなことを言っていたのを思い出す。結局のところ「趣味の問題」という話になってしまうけれど「私はこういうのを、あまり求めていない。読みたいのはもっと別な、理解も共感もできないような小説なのだろう」ということである。理解が容易であるということは、読み手の想像力に作品が収まってしまうに他ならない。こういうのは少しつまらない――と少なくとも私は思う。



アラビアの夜の種族〈2〉 (角川文庫)
古川 日出男
角川書店
売り上げランキング: 19580



 とはいえ、これを読んでいる間、とても楽しかった点もある。それは「よくわからないけれど、とても響きがカッコ良い言葉」がたくさん書かれているところだ。例えば、以下に引用する文章など肌がビリビリするほど良かった。



この若者はコーカサス地方のチェルケス人の貧農から買いあげられたとして、齢十一のときにイスマーイール・アリーの面前につれてこられた。イスマーイールはカイロの城壁の外側、イズベキーヤ貯水池の東岸に豪奢きわまりない私邸をかまえるベイである。



 「コーカサス地方!」、「チェルケス人!」、「イズベキーヤ貯水池!」など読んでも何一つ具体的なイメージがわかないところが素晴らしいこのとき言葉は「意味を伝える文字」ではなく「音を伝える文字」としての性格が剥き出しになる。そして、そこで伝えられた音声は痺れるほどカッコ良い――全然関係ないけれども「ビルトインスタビライザー!」も意味不明な言葉でカッコ良い。


 また、このときから古川日出男は、かなり音声的な作家であったんだな、と思ったりした。最近、朗読活動などをやっていたせいか、この点に注目が集まっているみたいだけれど、当初からかなり意識的に「物語ること」、「発声すること」に意識は向いてたのかなぁ。あと舞台をアラビアとしているのも、結局、名前の響きが最高にクールだったからなんじゃないか、などと邪推してしまった。



アラビアの夜の種族〈3〉 (角川文庫)
古川 日出男
角川書店
売り上げランキング: 17670






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『スカイ・クロラ』における超越的視点の扱い

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 劇中、草薙水素は「とびきりのエースだったせいで、人より長生きし」、ゲームから脱却した人間として描かれる。死に続ける人間から、いき続け、死に続ける人間を観察し続けるへと立場が変化する。それはリアリティが覚束ない現世から脱却し、超越的な視点を持ったことを意味する。このように超越的視点を持つことは『Avalon』でも『攻殻機動隊』でも描かれてきた。『Avalon』の主人公、アッシュは最後にゲーム的世界から脱却する(そしてそれを承認することによって物語は閉じられる)。『攻殻機動隊』においても。また、『イノセンス』ではネットの世界へと超越した草薙素子はバトウを見守り続ける、観察し続ける存在として登場する。つまり、『スカイ・クロラ』と『イノセンス』における2人の別な「草薙」はほとんど同じ視点を持った存在だと言える。


 しかし、『スカイ・クロラ』での草薙が、その視点に立つことに耐えられない。自ら死を求めるようにして戦闘機にのり、もう一人の主人公、死に続ける存在、現世に留まり続ける存在である函南から殺されることを望む。『イノセンス』での草薙が平然とネットの世界へと留まり続けるのとはここは対照的である。ふたつの映画は世界における「リアリティの不在とその不安」を描いている。しかし、超越的な視点を得、さらにリアルを観察することが可能になった人物の描かれ方はまるで正反対であるのはとても興味深い。これを押井守の変化と同一視して良いものかはわからない。だが、『スカイ・クロラ』における草薙は、「リアルを観続けることのしんどさ」のようなものを表しているように思う――ワインを飲み続ける行為は、そのしんどさからの逃避なのだろうか?





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クリント・イーストウッド監督作品『ミスティック・リバー』

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ミスティック・リバー
ワーナー・ホーム・ビデオ (2007-04-06)
売り上げランキング: 9806



 またすごい映画を観てしまった……。


 3人のこどもがいて、そのうちの1人の身に事件が起こる。被害者に選ばれたその1人の人生は、そこで大きく変る。選ばれなかった2人の人生もそれぞれ進んでいく。その進行はまったくの不可逆である。一度進んだ時計は2度と戻らない。しかし、被害者に「選ばれた」のは、運命でもなんでもなく、まったくの偶然によってなされている。この偶然性の描かれ方がものすごく深刻で良かった。とにかく、選ばれた人の落ち方がハンパじゃない。なんか知らないけど、家族巻き込んでドン底まで落ちているし、全然ハッピーエンドじゃない(のに最後はやたらとハートフルな音楽が流れる。音楽はイーストウッド自身によるもの。この演出狂ってるよ!)。


 それから「もしかしたら、選ばれたのはアイツじゃなくて俺だったかもしれない」という問いを作品のなかで、選ばれなかった2人が行う場面もある。これも興味深かった。「こうもあり得たのではないか」と2人は問う。しかし、その問いは選ばれなかったからこそ可能である。ここでイーストウッドが提示する問題は、ほとんどデリダだ。が、イーストウッドはデリダと違って「こうもあり得た」という(あり得ない)問いに留まらず、「まぁ、選ばれなかったから良いじゃん」と開き直る。選ばれなかった2人に訪れるラスト・シーンはそういった風に解釈できる。


 観終わってから「やっぱりクリント・イーストウッドという人は生きる奇跡みたいな、理解不能な存在なのだ」と思ってしまった。こんな作品が「なんかものすごいインテリの人」ではなくて「元西部劇俳優」が撮っている、なんてちょっとすご過ぎる。でも、ほとんど誰も「異常だ」と言わない。私にとって、これはやはり混乱してしまうような事実である。ここまで後味が悪い映画なかなか無い気もするし――なのに、まさかの感動モノ扱い。


 あと、一番不可解なのは「なぜ、こういった作品をイーストウッドが撮らなきゃいけないのか。そして撮り続けるのか」ということなんだけれど、全然分からない。かなりクレイジーな人が、常識人扱いされているようなねじれすら感じる。まったく、なんなのだろう……今後も私は悩み続けるのだろう……「クリント・イーストウッドとはなんなのか」と……。





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夏はやっぱりバルビエリ

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 夏になるとなぜだかしらないが猛烈にガトー・バルビエリが聴きたくなる瞬間がある。アルゼンチン出身のサックス奏者。



チャプター・ワン
チャプター・ワン
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ガトー・バルビエリ ラウル・メルケード(ケーナ) アマデオ・モンジュス(インディアンハープ) リカルド・ルー(g) クエロ・パラチオス(g) アダルベルト・セヴァスコ(b) ドミンゴ・キューラ(perc)
MCAビクター (1998-02-21)
売り上げランキング: 421917






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M・ナイト・シャマラン監督作品『レディ・イン・ザ・ウォーター』

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レディ・イン・ザ・ウォーター
ワーナー・ホーム・ビデオ (2008-07-09)
売り上げランキング: 17955



 先日『ハプニング』を観た後にid:acidtankさんと会って「シャマランの作品ってこれが初めてだったんだけど、いっつもあんなテイストなの?」と聞いたら「あんな感じ。『レディ・イン・ザ・ウォーター』だと本人が『世界を救う作家』の役で出てくる」と教えられたので観ました――「世界を救う作家!なんだよそれ!!」って観たくなるじゃん、やっぱり。で、ものすごく面白かった。画面に映ってるシャマランの顔をずっと観ていたらスリラーの頃のマイケル・ジャクソンの顔を思い出してしまってね……肩が変な風になっている赤いジャケット着て欲しいな……って感じだった。インド映画とか観なれてる人ならそうは感じないかもしれないけれど、ものすごい重要なキャラクターとしてインド系の人が画面に出てくる、ってそれだけでインパクトがデカい気がする。


 さりげなく、っていうか気がつかない間に伏線の種みたいなのが蒔かれてて、それらの種が気がつかない間に一気に成長して、伏線が回収達成される!みたいなところが多々あり、それは観ていて快感だった。「うわ、そこつながんのかー!」みたいな。「え!?コイツかよ!!」みたいな。こういうのってなんか好きなスポーツ観戦してるときの感覚に近い。前に似たようなこと書いた気がするけど。物語の運動量に驚愕する、っつーか。97年の伊藤智仁(ヤクルト)が投げた高速スライダーを観たときと私の中では同じ感覚なのね。



D


 でも、その驚きってやっぱり一回性のものだし、反復されてしまうと「何度見てもすごいなー」って思うけど、最初観たときの「腰が抜けるかと思った!」みたいな感覚に変ってしまう。この作品での点が線になって繋がって伏線が回収されるときの気持ち良さは、伊藤智仁の高速スライダーがもってる気持ち良さと同じぐらいの強度だ、と私には感じられる。まだ一度しか観てないけど。きっと、次観ても「やっぱ、ここすげーなー」って思う、たぶん。


2008-08-10 - 真魚八重子 アヌトパンナ・アニルッダ


 真魚八重子さんが書いたこの文章を読んでから少し考えてたことと、ここまで私がダラダラ書いてきたこととは繋がってる気がする。私が思ったのは



「オチがすぐわかったから面白くなかった」「オチがたいしたことなくてつまらない」という人は、オチだけを確認するために2時間も映画館に毎回毎回通ってるのかと不思議でしょうがありません



 という態度も映画を観る態度として、正しい態度なんじゃないかな、ってことだったんだけども。

 「シャマランっていうすげースライダー投げるヤツがいるらしいぞ。しかも左のサイドスロー。去年まで台湾で投げてたらしい*1」みたいに期待して球場に行くのって、ものすごく自然に思われる。映画は野球と違う、と言われたらそれまでなんだけどさ。「オチがすぐわかったから」「たいしたことない」っていうのは、きっと観た人の想像の範囲に収まってしまった、ということであって、だから「つまらない」と言ってしまうのもすごく自然なことなんじゃないかな、って思う。結局、なんで驚くかって観察の対象が自分の想像力を超えて目の前に存在してる、ってことだと思うから。


 そういう見方は批評的な態度、批評に近い態度とは到底言えなくて、むしろ評価的な態度と呼ぶべきものかもしれない。オチにこだわる人は「オチー」っていう新しい単位を作って、オチがどれだけ想像力を超えてたかを尺度に点数表を書いた方が適当な気がする。「10オチー=地球じゃないと思ったら地球だった!」みたいな。それまでの演出とかの話を抜きに、オチだけで評価するってかなり雑な映画の見方だと思うけど、ニーズ(びっくりしたい症候群的な)はありそうだ。




*1:うわー、そんなピッチャーいたら観てぇ……





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いらない本を処分するよ、のその後

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いらない本を処分するよ - 「石版!」


 こちらについてはすでに締め切りました。さきほど、ご連絡くださった方々全員に返信をしました。予想外にたくさんの方々からメールをいただけたので、残念ながらすべての希望に応えることはできなかったのですが、リストにあげた本のすべての貰い手が決めることができたので良かったです。


 しかし、こういう風に一度本を処分しはじめると本棚を眺めていて「あれ、これもいらねーんじゃねーの?」と思う本がたくさん出てきたりする。とくにブログ論壇(もはや死語か)で一時期流行ったメディア論関係の本なんか(キットラーを除いて)一様にいらねー、とか思ってしまう。面白い本が結構多かったんだけど。ナム=ジュン・パイクが文章寄せてる本とか。


 あと、ピンチョンも新しい全集が出ちゃうから、いらねーんじゃねーの、とか思ったり。さすがにこれは売ったほうが良いのかもしれないけど。「自分、本好きだなぁ」って思ってたのが、案外全然思い入れなくてびっくりしたり。あと、処分した先から本が増えてるのも問題だ!





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最近聴いた新譜っぽいものいろいろ

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Seeing Sounds
Seeing Sounds
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N.E.R.D.
Universal Japan (2008-06-10)
売り上げランキング: 1152



 「賢い黒人って恐ろしいよねぇ……」と思いながら何度も聴いていた。なんかこの人たちがどういう人なのかとか、全然知らないんだけど、ピンと背筋が伸びるような、一本筋が通っているような、凛としたカッコ良さ(?)みたいなものを感じる。こういうのを聴いちゃうとロックの人なんかが、いかにもだらしない、という風に思う。



STRENGTH IN NUMBERS
STRENGTH IN NUMBERS
posted with amazlet at 08.08.09
THE MUSIC
POLYDOR UK (2008-09-16)
売り上げランキング: 6950



 だらしない人たち代表がこれ。打ち込みの導入とか「まさかそっちにいくとは」という驚きがあったけど、いかんせん中途半端だし、正解にたどりつけていない感じ。自分が高校生ぐらいのときにデビューした、ちょっとだけ思い入れがあるバンドなので、ファースト以降パッとしないのが残念。ロックはもうダメなのか……と思ったりもした。



Beautiful Future
Beautiful Future
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Primal Scream
WEA Int'l (2008-07-29)
売り上げランキング: 779



 プライマル・スクリームの新譜は異様な聴きやすさで、思いっきり肩透かしを食らった感じだったけど、何度か聞き返すうちに「あ、良いアルバムじゃん」と思うようになってきた。25年もバンド続けてるってすげー。





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最近聴いたレコメン系とかそのへん

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Hopes & Fears
Hopes & Fears
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The Art Bears
ReR (2005-02-08)
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Winter Songs
Winter Songs
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The Art Bears
ReR (2005-06-21)
売り上げランキング: 206032



 会社の上司がニューウェーヴ/ポストパンクのリアルタイム直撃世代かつプログレ大好き人間で「気になっていたけれど、機会がなくて聞いていなかった音源」をよく貸してくれます。で、最近はアート・ベアーズなんかを聴いている。ヘンリー・カウがスラップ・ハッピーを吸収した後、なんか色々あってフレッド・フリスとクリス・カトラーとダグマー・クラウゼによってバンドから切り出されたみたいにして結成された歌モノのバンド。一枚目(『Hopes And Fears』)はほとんどヘンリー・カウ&スラップ・ハッピー体制で録音されてて、さらにアクサク・マブールの人が地味に参加してるんだけど、異様なポップさが最高。なんか、ザ・フーみたいな展開の曲とかある。クリス・カトラーがキース・ムーンみたいなドラムを叩くんだよ……。フレッド・フリスはピート・タウンゼントみたいになるし。それ以外はインプロヴィゼーションよりもカッチリと作曲するようになった頃のヘンリー・カウとほとんど同じ感じがするけれど。


 セカンド、サードは一転してものすごい暗黒化。ずっと聴いてるとダグマー・クラウゼって歌が上手いのかよくわからなくなってくる。



Deceit
Deceit
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This Heat
Rer (2006-11-27)
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All’s Well
All's Well
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Camberwell Now
Rer (2007-01-15)
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 あとチャールズ・ヘイワードの関連作なども聴く。ディス・ヒートのアルバム・ジャケットってカッコ良いなぁと思いつつ、何を思ってこんな暗い曲ばっかり録音してたんだろう……とかは不思議になる。歌も全部お経みたいだし。チャールズ・ヘイワードのドラムも木魚がダンスビート化したみたいに聴こえる。暗い曲ばっかり聴いていると「まだまだ自分大丈夫だな」って思う。


 ディス・ヒート解散後に結成されたキャンバーウェル・ナウはお経がスッキリしてポップになった!みたいで楽しい(あとベーシストがすごい)。





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押井守監督作品『スカイ・クロラ』

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オリジナル・サウンドトラック 「SOUND of The Sky Crawlers」
サントラ CHAKA
VAP,INC(VAP)(M) (2008-07-25)
売り上げランキング: 49


 押井守の新作。「この作品で新境地を……」と聞いていたものの、物語はこれまでの押井作品と同様のテーマを変奏したものであるところに変わりはない。ゲームのような現実と、現実のようなゲームの繰り返しのなかで生まれる実存的不安――これらは『パトレイバー』にも『甲殻機動隊』にも見られた主題だから、目新しいものを期待してしまうとがっかりするかもしれない。個人的には『AVALON』に最も近いのでは、て思う(結末はほとんど正反対だが……*1)。


 そういえば、『スカイ・クロラ』のなかでポーランドらしき街並みが登場するが(レストランで分かりやすくショパンが流れていたりする)、『AVALON』もロケ地がポーランドだったはずだ。どうでもいいけど。

 映画の感想としては、こちらのエントリを書かれたacidtankさんと概ね同じ。とにかく主演の2人、加瀬亮と菊地凛子がひどすぎて、観ていてすごく辛かった。あまりに違和感がありすぎ「コイツらだけが特別な存在(キルドレと呼ばれる『永遠に老いることのない子どもたち』)だから、あえてこういう演出なのか……?しかし、それは正解なのか?」と思ったけれど、中盤あたりで「え!?コイツらも全員キルドレなの!?」という悪い驚きもあったぐらい。この2人、押井守極右派のファンに戦犯扱いされても当然だと思った。誰が彼らをメインキャストに選んだか、については色々と難しい問題が絡んでいそうである*2


 あと「他人に干渉をしない」、「自己主張をしない」型の主人公ってなんか飽和感があるよなぁ……って思ったりした。


 しかし、子どもが娼館に行ったり、タバコを吸ったり、ワインをガブ飲みしたり、ポルシェ911をぶっ飛ばしたり、そして戦闘機に乗って人殺しをおこなったり……っていうおおよそ子ども的とは呼べない行動を取っている映像はなかなか印象深いものがある。




*1:ただ草薙水素を中心に据えてみれば、正反対ともいえない


*2:「やっぱ、メインは話題性がある人じゃないとねぇー」とか主張する悪いプロデューサー的な人がいたりとか





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はてな夏っぽい昼ごはん出し

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IMG_2749


 そうめん、ゴーヤチャンプル、烏龍茶。デザートにはスイカ。見事に夏だね。





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