ルイス・ブニュエル / 自由の幻想

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ルイス・ブニュエル、1974年の怪作……ブニュエルの映画で怪作でないもののほうが少ないかもしれませんが、ここまで突抜けて「え、なんなの?(楽しいから良いですけれども〜)」という映画を観てしまうと、もはや清々しさしかありません。ゴヤの『1808年5月3日、プリンシペ・ピオの丘での銃殺』のエピソードから始まり、もしかしてこれは社会派映画なのか、という予感を与えつつ、ストレートにそれが表現されるわけもなく、脱線と脱臼の連続、意表をつくイマジネーションの発露の連続によって戯画が描かれ、映画は循環するように最後のエピソードへ流れこんでいく。なぜ、いきなりSMプレイが始まるのか、なぜ全裸の女性がブラームスの《ラプソディー》を演奏するのか……。もし、集合的無意識が夢をみるとするのなら、ブニュエルの映画のなかに投影されるにちがいありません。

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Captain Beefheart & His Magic Band / Safe As Milk

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Captain Beefheart
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「人生のいつ時点でキャプテン・ビーフハートに出逢うかで、その後の人生が変わる」という至言はだれによるものだったのか、ついぞ思い出すことができないのですが、私の人生にもついに出会いの瞬間がやってきてしまったようでございます。1967年に発表されたキャプテン・ビーフハートのデビュー作『Safe As Milk』、いろいろと先駆け過ぎていて大変なアルバムでした。彼の特徴的な、人種がはっきりしない、風邪でもひいていらっしゃるのかしら、という嗄れた声は、フランク・ザッパのアルバムにゲスト参加しているので聴いていたわけですけれど、白っぽさと黒っぽさが絶妙なサイケデリアのなかでバンド名に則って魔術的に混合されている大名盤。パーソネルにはライ・クーダーの名前もあり、そこ繋がっちゃうんだ、という驚きもまた愉し。お蔵入りになっていたスタジオ・セッション音源も大充実。60年代末で、未来のルーツ・ロックやオルタナ、ポスト・パンクを予兆するかのような凄まじさにひれ伏すしかございません。

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ルイス・ブニュエル / 欲望のあいまいな対象

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欲望のあいまいな対象(1977) [DVD]
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ユニバーサルが版権を持っているらしい名作映画が軒並み安くなっている。そのなかにいくつかルイス・ブニュエルの作品があったので買い込んでちょっとずつ紹介しているところ。『欲望のあいまいな対象』は1977年、彼の遺作となった作品だったそう、だが、これが遺作ってブニュエルすごすぎ。よく「ひとりの人物のなかにふたりの精神が宿っているようだ」などという設定はあるけれど、ここでは「女性の二面性を一人二役ならぬ、二人一役で演じさせる」という思いついても誰もやらないことをやらせていて、その誰もやらないことを本当にやってしまう、と想定した以上の意味を醸し出してしまう、まさにイメージのマジシャンとも言うべき奇蹟のような作品。そして、遺作まで「欲望が充足されることなく生殺しのような状態で空回り・反復し続ける」というお話だというのは、ブニュエルは生涯に一本しか映画を撮っていないのでは、などと妄言を放ちたくなるほど。

キャロル・ブーケとアンヘラ・モリーナ
ヒロインのコンチータを演じる二人の女優、キャロル・ブーケ(痩せたボディに良いおっぱい)、アンヘラ・モリーナ(豊満なボディに良いおっぱい)も素晴らしく(主におっぱいが)、そこに欲情するフェルナンド・レイのエロ紳士っぷりはあまねくヘテロセクシャル男性諸氏が目標とべき、いやらしさ。鉄格子の隙間越しに髪の毛の匂いを嗅ぐ、などあからさまに変態感出すシーンが気持ちよいほど気持ち悪い。こんな風に太ったり、ヒゲをはやしたりしたいし、『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』もそうですけれど、ガチガチに高級感あるファッションも素敵。

序盤にでてくるあからさまにニセモノのネズミの死骸は、なるほど冨永昌敬の『パビリオン山椒魚』は、こういうところから……、まさかこの展開って……と匂わせつつ、本当にその展開を迎えるラストは、阿部和重の『シンセミア』を彷彿としました。良かった。

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Walter Isaacson / Steve Jobs

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Steve Jobs
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Walter Isaacson
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スティーヴ・ジョブズが亡くなって、半年が過ぎ、その名声と伝説は日に日に変な方向に向かいつつある昨今でございます。女性ファッション誌『VoCE』6月号には「もしスティーヴ・ジョブズがダイエット法を考えたら “もしジョブ”ダイエット」なる特集が組まれているなど狂気の沙汰が繰り広げられているのですから、私など「これが噂の『現実歪曲フィールド』ですか」と思わざるを得ません。しかし、これは疑いもない現実なのです。
VoCE (ヴォーチェ) 2012年 06月号 [雑誌]
以上は極端な例でしたが、こうした「変な方向」を死後のジョブズの聖人化と呼べましょう。その現象にはすでに反論が寄せられております。スティーヴ・ジョブズはヒッピーあがりのろくでなしであり、各種自己啓発本に取り上げられるような真っ当な人物ではない。にも関わらず、聖人化が止まないのは誰もスティーヴ・ジョブズを知らないか。それとも、このウォルター・アイザックソンによる伝記が分厚すぎて誰にも読まれていないか。原著では600ページ弱の大ヴォリュームですから、買ったのに投げている人も多そう(邦訳は上下巻の分冊ですが、原著の暴力的サイズを考えれば賢明な判断かと)。本書を読めば、誰もがジョブズがホントのろくでなしであることが理解できるはずなのに……。

伝記作者、ウォルター・アイザックソンによれば、スティーヴ・ジョブズの複雑な人間性は「養子に出された/養子に選ばれた」=「捨てられていて、かつ、選ばれている」というアンビヴァレンツのなかで育まれた、ということです。これではまるで『新世紀エヴァンゲリオン』の碇シンジくんのようなのですが、自分が特別であるからなんでも好きなことをやってやるし、都合の悪いものは無視するし、時にはメソメソと母性に泣きつくこともある……という行動は、惣流・アスカ・ラングレーのほうがしっくりくる。気に食わなかったら即座に罵倒するし、その攻撃性はグレートな製品とイノヴェーションのお題目の前で正当化される。こんな人をロール・モデルにしている意識の高い会社員や学生がいたら、煙たがられて村八分にされること請け合いです。

部下や友人を罵倒しながら無茶ぶりベースでの製品作りは、ワンパターンと言ってもよく、どうしてその方法で成功できたのかはなんとなくうやむや。「ホントに製品が偉大だったから成功したの?」と問いかけたくもなる。たしかにアップルの製品は良い製品だし、一度これに慣れちゃうとコレ以外には戻れない……ような中毒性や魔力がある。でも、近年のアップルの大躍進については、単に製品が手頃になって、みんながちょっと奮発すればMacBook Proなりなんなりを買えるようになったからじゃないの? と思わなくもない。もしかして、こんなろくでなしが成功できた、ということ自体が聖人化されてしかるべき現象なのでしょうか。

とはいえ「もう君はいないのか……」としんみりしてしまう本でした。暴君、天才、変人として語られる人物が、結婚20周年のサプライズ・パーティーで泣きながらスピーチをしたり、妻と出逢ったばかりの時にそのルーム・メイトに「彼女は俺のこと、どう思ってると思う?」と相談したり(そのとき既に億万長者で超有名人)、というような信じられないほどメロウなお話も面白い。そういう意外なエピソードが合間合間に挟まれてるので、読み続けられた気がします。英語もそんなに難しくないですし、英語の勉強ついでにはちょうど良かったです。

個人的に一番ツボだったのは、ジョブズの音楽の趣味についてのところで。彼のボブ・ディラン好きは有名ですが、その他にもビートルズやグレン・グールド、ヨーヨー・マ、U2とかを聴いてたんだって。このラインナップ、まるで『男の隠れ家』の愛読者層みたいじゃないですか?

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首都を歩こう《Tokyo Walkers》第4回 新緑と廃墟と飛行場と……の巻(東府中-調布)

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毎度御馴染み流浪の散歩サークル《Tokyo Walkers》の第4回イベントが2012年4月21日に開催されました。今回は東府中を出発、府中の森公園、浅間山公園、多磨霊園、野川公園、調布飛行場を通過して、深大寺で蕎麦を食べる! というコース。桜はほとんど残っていませんでしたが、新緑が萌えはじめるなかを進みました。

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出発後数分で、何らかのスタンド攻撃では、と思わせるほどのスゴい表面張力ラーメンを発見。今日は何かがあるのでは……という予兆のようでした。

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バグっている看板を横目に、府中の森公園へ。

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この桜並木。桜のシーズンにあたっていたら、散歩どころではない感じの人ごみだったでしょう。歩きやすいシーズン(あまり人がいない)を狙ってイベントを開催、あえて何も無さげなところを攻める、葉緑体? オオカナダモ? ハッ。っていうこのスタンス。

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その代わり八重桜はちょっとだけ見れました。

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府中市美術館では、現在『三都画家くらべ』という企画展を開催中。今回はスルーでしたが、ちょっと気になる展覧会。建物もカッコ良いですね。

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府中の森公園を抜けると、府中通信施設の周辺に出ました。柵に囲まれた広大な土地のなかに、さまざまな廃墟などが存在するこのスポットは、在日米軍が一部を現在も運用している施設だそうです。鉄条網と生い茂る木々に遮られて現れる廃墟は、都市のなかに存在する遺跡のようです。

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もちろん立ち入り禁止ですので、侵入したら通報されます。「報」の字を間違えて書く人が通報します。

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しかし、この巨大なパラボラアンテナは圧巻。

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廃墟周辺を離れ、浅間山公園に入っていきます。標高約80メートルとはいえ、それなりに山っぽい感じの公園。案内板などがあまり出ていないので、ちょっと迷いそうになります。

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アンテナはここからも見える。

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マイナスイオンが全開になっていそうなパワースポットに、ヴァイオレンスな雰囲気を醸し出す看板が。府中、怖い。

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頂上。頂上には小さな祠がありました。

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山を下って、獣道っぽいところを進む藤岡弘、探検隊風の一行。

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薮を抜けた瞬間に、目の前に広がるのは広大な墓地。そう、ここは50万の魂が眠る場所、多磨霊園。薮から突如、この光景になるのはかなり衝撃的。

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多磨霊園を抜けると、府中の免許センターの近くに出ました。近くには武蔵野公園があります。このあたり、公園ばっかり。

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スタートから約2時間が経過し、若干疲れてきているメンバー。ソフィア・コッポラっぽい。お腹も減ってきましたが、この周辺にはまったくお店がない。

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「歩けば、そのうちみつかるだろ」と投げやりに、野川沿いを進みます。結構肌寒い感じの日だったのですが、達人風の釣り人や水遊びをしている子どもたちがいっぱい。野川公園のほうに入っていくと、バードウォッチングをしている人やバーベキューをしている家族連れもいました。

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野川公園の売店にてようやく休憩。水や、命の水や!

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すぐ近くには調布飛行場があり、休憩中にはセスナ機が真上を飛んでいく爆音が体験できました。丘の上が滑走路を見渡せる絶景スポットになっています。ベンチもあるので、飛行機待ちにもピッタリですが、ひとりでベンチに座っていると、まるで文明の終焉を見届けるかのような物悲しい雰囲気がでてしまうので注意。

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飛行機の駐車場みたいなところ。遠くには味の素スタジアムが見えます。

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そして再び、野川沿いを進みます。菜の花が満開。川沿いを進めば、ゴールの深大寺周辺に辿りつけます。

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ゴール。お寺には行かず、手打ち蕎麦のお店「湧水(ゆうすい)」で9割蕎麦を堪能。おつかれさまでした。

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その後、さらにバスで調布へ移動し、鍋料理のお店「甲州屋」で鴨鍋を堪能。おつかれさまでした。結局、今回も歩いた分飲んでましたね……。

およそ10kmの道のり。今回もこのブログ記事を読んで参加してくださった新メンバーがいらっしゃいました。流浪の散歩サークル《Tokyo Walkers》では随時新メンバーの募集をおこなっております。職業・経歴・年齢などを問いません、普段は歩かないところを歩きながら和やかに会話したりすることに興味がある方、各イベントの参加はその都度任意ですのでお気軽にFacebookのグループに参加申請を出してみてください。システム・エンジニア、医学生、デザイナーなど、多様なメンバーでお待ちしております。次回は、時期未定ですが川越あたりか、羽田空港周辺を歩くプランを企画中です。

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