キリンジファン必携! オーディオ・コメンタリーを含めてフル・ヴォリュームのライヴ作品!(キリンジ / KIRINJI TOUR 2013~LIVE at NHK HALL~)

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KIRINJI TOUR 2013~LIVE at NHK HALL~ [DVD]
日本コロムビア (2013-09-25)
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2013年のツアーを最後に堀込泰行が脱退したキリンジ、そのツアー千秋楽を記録した映像作品である。いやあ、これはもう素晴らしい。「最後だから兄の楽曲を多く選曲した」とは映像特典のドキュメンタリーでも語られていたが、MCはほぼすべてカットになっていても3時間超というむちゃくちゃ濃密な音楽的空間をお茶の間で楽しめるのだから、ファンのみならず、初めてキリンジを聴く方もね、ここから「おお、こんな難しい曲をよくライヴでやっているな……」と驚いたりしながら観てほしいものである。

楽器が上手いおじさんと、歌がギリギリなおじさんが、ハチャメチャに難しい楽曲を演奏しまくる……という渋い内容ではあるが、そこが良い。こんなに難しい曲ばかり(実の兄に)歌わされてたら、脱退したくもなるのでは……という感じもするし、そのあたりが、理屈で音を組んだ結果、主にヴォーカルだけれども肉体的な限界ギリギリまで使ってライヴをやっていたのだなあ、と感心する。

ライヴ副音声のオーディオ・コメンタリーも超重要。ライヴ本編が3時間超なので、まず主音声で観て、それから副音声も聴くとなると合計7時間近くかかるというまるで間章のドキュメンタリー映画のごとき長さだが、むしろわたしはこのコメンタリーが聴きたくて買ったぐらいである。ここでは堀込兄弟とツアー・バンドのメンバー、それからスタッフがビールを飲みながら語っているのだが、最後だし、ミュージシャン同士で楽曲について様々な解説をするのかと思ったら、音楽・楽器好きのおじさんたちがほぼダラダラ話しているだけ……という最高っぷり。

弾いているギターの製作年だったり、ゲイリー・ムーアのピッキングだったり、兼業ミュージシャンについてのトリビアだったり、リットー・ミュージックが出してる雑誌読者が好きそうな話ばかりが展開され大爆笑しながら観てしまった。ツアー・メンバーとともにDVDを観ている気分になれるし、あと、楽曲のアレンジの苦労話も面白い。「コーラスをどういう風に分けるかも難しかったよねえ」とか、そういう話のほうがコメンタリーらしいんだろうけれども、マジメな話の方がオマケっぽい。でも、やっぱり最後はしんみりしちゃうのだから、また良い内容になっているのだなあ。

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儀式的体験としてのライヴ鑑賞(Metallica / Through the Never)

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Metallica Through the Never (Music from T
Metallica
Blackened Recordings (2013-09-24)
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Metallicaの新譜はこれから公開されるという3D映画のサウンドトラックとしてのライヴ盤。この映画、なんかバンドのスタッフが世界を救うとかなんとか、というストーリーとライヴ映像によって構成されたものだそうで、まあ、Metallicaのファンしか喜ばないであろう作品になりそうだが、映画館で爆音で彼らの音楽を聴けそうなのはちょっと楽しそうではある。

メタリカ 真実の瞬間 [DVD]
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン (2006-09-08)
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アルバム『St. Anger』製作時のドキュメンタリーであるこちらの映像作品を超える面白さになったら奇跡。

で、今回のライヴ盤だけれども、ヘヴィ・メタルというジャンルのなかでも最も成功したバンドのひとつであろう彼らのパフォーマンスが悪いわけがなく、巨大なスタジアムっぽい感じの場所で観客が『Master Of Puppets』を大合唱しているところなど、祝祭的な楽しさがあるんだろうな、彼らのライヴには、と思えて楽しい。今年の夏フェスでの来日ライヴを友人が観にいったらしく「みんな歌ってて、もはや誰の歌を聴きにいったかわからん」と苦言を呈していたが、おそらくは演奏を聴くとかそんなんじゃなく、儀式的な体験を楽しみにいってるんだろう、アッツいファンは。

地味な聴きどころとしては『St. Anger』製作後からのメンバー、ロバート・トゥルージロ(トゥルヒーヨ)のバンドへの馴染み具合が一層高まっているところだろうか。ツイン・ギター編成のメタル・バンドにおけるベースの存在感ってなかなか難しいところだと思うが、旧作の演奏でもしっかりとぶっといベースを聴かせてくれて、大変カッコ良いのであった。

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Philip Melanchthon 『Orations on Philosophy and Education』

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Melanchthon: Orations on Philosophy and Education (Cambridge Texts in the History of Philosophy)
Melanchthon
Cambridge University Press
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以前からブログでちょいちょい言及していたメランヒトンの演説集を読了。収録されているのはタイトルにもある通り、彼の哲学と教育に関する演説で、主に教育やリベラルアーツ、応用学科がなんの役に立つのか、という話が繰り返されている。

聴衆は主に大学で神学を学んでいる学生だったと思うけれど、神学者が例えば応用学科のひとつである薬学とかを学んでなんか良いことあるのか? こういう疑問に対して、メランヒトンは基本的に「神に接近するためにこういう学問が必要」という態度を取っている。学ぶことによって「支配者として客観的自然を変えていくというよりは、神の体系、すなわち世界の一要素としての人間が他の事物と有機的な対応関係を結び、自己啓発しだいで救済の道が開けるあの神の体系を理解せよ」(エヴァンズ『魔術の帝国』上巻 P.33)ということなのであろう。かつては現代における科学のあり方とは違った目的で、学問の探求がおこなわれていたことを改めて意識させられるところが面白い。

また、本書にはプラトンやアリストテレス、ガレノス、アヴィセンナといった過去の偉大な思想家の生涯についてあれこれ説明している演説も収録されているのだが(盟友ルターへの追悼演説も!)超ビッグネームのなかに、ルドルフ・アグリコラヨハンネス・レギオモンタヌスという「誰、それ……?」的な人物も含まれている。どちらも15世紀に活躍したドイツ生まれで、前者は人文主義者として、後者は天文主義者として活躍した人物である。

なんでこの人たちが、取り上げられているかというと、おそらくこの二人がドイツに初めてイタリアの進歩的な学問を持ち込んだパイオニア的な人物だったからなのだろう。アグリコラの例が分かりやすいと思うんだけれど、彼が生まれた頃のドイツでは人々は喋り方とかめちゃくちゃで、論理的に話したり、書いたりする習慣すらなかった、つまりは文化的に超遅れていた地方だったわけである。そんな野蛮な地方に生まれながらも、イタリアまで学びにいき、ラテン語やギリシャ語、ヘブライ語を習得し、人文主義の種をこの土地に撒いたのだ! アグリコラ、エラいぞ!……的な感じである。

メランヒトンは語学について「ラテン語・ギリシャ語・ヘブライ語を習得すべし!」という話をしている。ここから読んだり書いたりする能力を鍛えることが、論理的な理解力をも養うんだよ、という教育観がうかがえるんだけれども、なんか現代の外国語教育の話とかと比べてみたくもなるポイントだ。なお、彼は「演説に定評があるメランヒトン」として当時はかなり評判を呼んだそう。他の演説家が言葉を過度に飾り付けて大げさに表現して人を惹き付けるスタイルとっていたのに対して、彼は話の筋道をちゃんと立てて説明的に表現をおこなうのが人気だったとか。そのせいか、この演説集、英語になってももちろん読みやすかった。

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恩寵から計算可能な社会へ (コンドルセ 『人間精神進歩史』)

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人間精神進歩史 第一部 (岩波文庫 青 702-2)
コンドルセ
岩波書店
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人間精神進歩史 第二部 (岩波文庫 青 702-3)
コンドルセ
岩波書店
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フランス革命期に活躍した思想家・政治家、ニコラ・ド・コンドルセ(1743-1794)による「人類史」とでも言うべき著作。コンドルセの政治闘争での敗北からの逃亡生活のなかで書かれ、彼の逮捕と自殺によって未完におわったが、ここでは原始社会からの人間社会の発展が通史的に描かれている。フランス革命期にはキリスト教が弾圧され、その代替として理性を信仰する動きがあったことは知られている。この著作でもそうした時代の反映が見てとれるだろう。コンドルセが描く人間社会は、神によって設計された世界ではなく、理性によって発展・進歩をしてきたものなのだ。

言葉や火は神によって与えられたものではない。それらは理性によって開発された人類の「道具」として描かれる。過去の人間たちも、我々と同じ「理性」を持っていたはずで「こうすればもっと便利なのでは?」、「これ使うと良いんじゃない?」なんて利便性や得なことをを選択しながら生きていたハズである、という人間観があるだろう。コンドルセにとっては宗教もある種の社会的機能を果たす道具である。こうした合理的な選択をする生き物として描かれた人間や社会の機能の描写には、経済学や社会学の源流を読み取れる。

人類史を10期に区分したコンドルセは、その最後の第10期に「人間精神の未来の進歩」を置く。これはコンドルセが考えた未来のユートピアについての記述だ。理性によって、社会的な善が計算され、そして人間はその善が最大となる選択をおこなう。この選択を可能とするために彼は教育を重要視する。

コンドルセがこのなかで女性も男性と同じように教育すべきであるとしている点も興味深い。「女性は男性と同じ能力をもってはいるが、その程度は低く、あらゆる能力のうちで第一のもの、すなわち天才に育てられることはできないし、男性とすべて同じ才能をもってはいるが、発明の才能はないと考えられて来た」(第2部 P.358)。コンドルセは、こうした「女性は男性よりも劣っている」という説に異議を唱え、教育によって女性も男性と同様に社会の発展に寄与する発明ができるようになるだろう、と言う。功利主義的フェミニズム、とでも言うべきだろうか。女性の社会進出が、社会的な善に寄与する、という意見を持っていた思想家が18世紀に存在していたことは、ちょっとした驚きだった。

翻訳は戦後間もない頃におこなわれたものだが、日本語はそれほど古くなっておらず、旧字体の漢字が使用されていることを除けば、読みにくい部分はない。読んでいて、我々が生きる現代の「社会観」であったり「人間観」との強い連続性を感じることができるし、面白いですよ。

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忘れられた学者たちによる進化論史(荒俣宏 『大博物学時代: 進化と超進化の夢』)

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大博物学時代―進化と超進化の夢
荒俣 宏
工作舎
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1982年に刊行された『大博物学時代』は荒俣宏の膨大な仕事のなかでは初期のものになる。「進化」といえば「ダーウィン」とまるで合い言葉のように覚えられがちなのが常識の世界であるが、本書はダーウィン以外の分類学者、生物学者、博物学者たちをとりあげ、言わば「忘れられた学者たちによる進化論史」を作り上げる、驚異的な著作。もちろん通史的な研究書ではなく「好事家が雑誌に書いていたコラム」をまとめたものでしかないけれども、学術的な厳密さや習慣を離れた自由さが、その幻視力を一層引き立てている。本書のなかにアルゼンチンの作家、ボルヘスへの言及があるけれど、この仕事はボルヘスの仕事とも並べて捉えることができるだろう。哲学や科学に関する知識から小説のなかでファンタジーを展開するボルヘスに対して、荒俣は歴史のなかにファンタジーを作ってしまうかのよう。

近代の科学者たちが、我々が生きる生物界や地球をどのように捉えてきたのかをオムニバス的に読める「科学史」の本として、刊行から30年以上経っていても現役の魅力を持っているのもスゴい。というか、30年前に日本の研究者でもない人がこれだけ科学史の研究書を読んでモノを書いていたことに驚かざるを得ない(やっぱり荒俣『先生』だなあ……と素直に感服した)。図版や魚類に対する筆者の愛情を感じさせる雑記的な記述から、ズバズバと歴史の話に入っていき、高いテンションで読ませ続けてくれるので全然飽きない。18世紀の博物学的著作から様々な図版が引用され、目にも楽しい本である。こうした図版を古い本から切り出したものをちょうど先日パリの蚤の市で売っているのを見ていて、本書を読んだら「アレ、買っとけば良かったかなあ」とちょっとだけ後悔してしまった。

個人的な関心としては、山田俊弘さんの博士論文『17世紀西欧地球論の発生と展開』とのつながりも感じた。本書で扱われているのは18世紀以降の話だが、それは山田さんの博論で論じられる時代のちょうど「後の話」として位置づけられるだろう。石を形成する成分を含む古代の海水からの結晶作用によって大地ができたと唱えた「水成説」と、地下の熱の作用によって大地が地上に噴出したと唱えた「火成説」とのあいだにおこった論争や、大地が複数回の天変地異によって作り替えられていったとする「激変説」と、天変地異ではなく水の浸食作用によって徐々に変化していったとする「斉一説」との論争が、簡潔にまとめられていて地質学史的な記述もちゃんとあるし、化石の話などはステノの業績への言及がないのが不自然な感じにさえ感じられる。この博士論文をもとにした本が出版されたら、もう一度本書を開いてみるのも面白いかもしれない。

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Kristoff Silva / Deriva

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Deriva
Deriva
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Kristoff Silva
Ais (2013-09-03)
売り上げランキング: 292,546
アントニオ・ロウレイロ、ハファエル・マルチニなどブラジルのミナス・ジェライスで活動する新進気鋭のミュージシャンへの注目が静かに……しかし、熱くなっている昨今でございます。この密かな熱の高まりは、彼ら「ミナス新世代」が「アルゼンチン音響派」に続く南米大陸発のムーヴメントとして受容されつつあるのではと思わせてくれるところです。今回聴いたクリストフ・シルヴァは、ミナス新世代よりも年長の世代のミュージシャンだそう。セカンド・アルバムとなる『Deriva』には、ロウレイロやマルチニらも参加しています。はっきり言って大名盤。「さっすが、年長さんだ……」と思わず唸りたくなるアルバムだと言えましょう。ロウレイロやマルチニらが聴かせてくれるジャズのテクニカルな要素ももちろん共有されているのですが、打ち込みの使い方やクラシックの室内学的な編曲が、年下世代よりも更なる音楽的な多彩さを印象づけています。久しぶりに未聴感ある音楽と出会えたなあ、と感激さえしてしまう。それにしても人材の豊かさがハンパなさすぎるぞ、ミナス・ジェライス……。

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読み物としての都市、パリ (鹿島茂 『パリ時間旅行』)

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パリ時間旅行 (中公文庫)
パリ時間旅行 (中公文庫)
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鹿島 茂
中央公論新社
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3度目のパリ旅行の予習として。

「3年連続でパリにいく」と言うと「他のところには興味ないの?」と訊ねられる。パリ以外の都市、フランス以外の国にももちろん興味はある。ただ、パリに繰り返し旅行したい気持ちはなかなか説明しにくいものがあった。「街並みがキレイで」、「ルーヴルやポンピドゥーがあるから」、「ご飯が美味しい」。こうして街の魅力を並べられるけれど、その魅力の核心を説明できない感じが残る。そうした「説明しきれなさ」の濃度を鹿島茂による『パリ時間旅行』は少し薄めてくれるような気がした。

文学者によって描かれた都市の風景や、パリの文化史・生活史に関するエッセイ集である本書は、この都市の上に、まるでミルフィーユ状に重なったオーラを一枚一枚解きほぐして見せてくれるような本である。この都市は、19世紀半ばにナポレオン3世の構想の下、ジョルジュ・オスマンの主導によって大改造された「作られたマチ」だ(本書では『作られる前のパリ』にもフォーカスが当てられている)。その点の意識をするなれば、重層的なイメージ・記憶・記録を含めて、都市自体を「読み解く」ことが可能だろう。

もちろん、読解可能な都市はパリに限らない。そもそも都市に歴史がある以上、どの都市も読み解くことが可能であろう。では、なぜ、パリなのか。

「ヴェネチアのように過去がそのまま手つかずの状態で残っているわけでもなく、かといって東京のように過去が痕跡もとどめていないというのでもなく、いわば過去と現在が幸福に絡み合って、過去再構築の欲望を喚起してやまない時間のモザイク都市であるから」。

筆者があとがきに記したこの一節ほど、パリの「読者」を惹き付ける所以を適切に言い表したものはない。ヴェネチアの保存された過去が、あまりにフィクショナルであり(そしてディズニーランドを想起せずにはいられない)、東京はいくらに華やかであろうとも近さすぎて普段着で接するようにしか見れないのに対して、パリへの距離や過去と現在との混合度は、絶妙なのだ。


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斎藤環 『生き延びるためのラカン』

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生き延びるためのラカン (ちくま文庫)
斎藤 環
筑摩書房
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大学を卒業したのが2007年だから、もう卒業して丸6年が経ってしまっている。このブログで書いていることとか普段のものの考え方って、基本的には学生時代に読んだ本(大学のゼミの先生とかアドルノとかベンヤミンとか、あとルーマンとか、その他日本の社会学者の本)の延長線上にあることだ。何度も同じことを考えているうちに学生のときよりも、もっと説明できるようになっている気がするけれど、会社に入ってから新しく身につけた「語り口」「考え方」ってほとんどない。あるとすれば、山形浩生経由での経済学の知識とかぐらいで。「なんか新しい語り口を身につけないと、ずっと同じことを考えているだけで面白くないのでは……」というやんわりとした危機感と「今28歳で、これから新しい語り口を身につけるとしたら結構難しいかなあ……」という諦めとがあるなかで、ラカンについての本を読んでみた。

この本を手にした理由にはもうひとつ、この前、Twitterでゼミの先輩がラカンの術語を使ったコメントをもらったこともある。わたしのまわりだと他にアダム高橋さんからたまにラカンの術語を使ったコメントをいただくことがあった。本書は、そうした交流のなかで「まったく意味が分からなかったラカンの術語」を整理してくれる本として良書だった。まず、ラカンの有名な「現実界・想像界・象徴界」という世界の分類が、階層構造を示したものではないことが(実はまだうまく飲み込めていないものの)わかったし、なぜ彼らがラカンの言葉を使ってなにかを説明しようとするのか、その理論の強力さというか魅力がわかるような気もした。

サブカルチャーや一般的な事例、そしてフロイトの臨床例などを引きながら語られる、斎藤環のラカン案内は「あ、たしかにそういうことってあるかも」と思わせてくれるわかりやすさがある。全然知らない用語系が、自分の生活にここまでスポッとハマってきて「なんか言われてる感じ」、「なんか分析されている感じ」がする理論って他にないのでは……と思う。例えば、フロイトの臨床例(それが怪しげなものだったとしても)と自分たちのあいだに「そういうことってたしかにあるかも」と思う共通項、理解可能なものがあると、ラカンの言葉によって示されたなら、患者の例にある何やら剥き出しになった感じの、異常(に見えるもの)が自分にも共通しているかもしれない……と思ってしまうわけで。この強烈に、なにかをぶつけられる語り口は身につけたいと思わせる魅力があるんだよ……。わかってないながらに。

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この夏買ったCD(2013年)

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以下に、この夏買ってよく聴いてたCDや最近買って良かったものを並べます。

Super Ape
Super Ape
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Lee Perry & The Upsetters
Universal I.S. (2009-03-24)
売り上げランキング: 9,009
ダブのレジェンド的存在、リー・ペリー先生の代表作(1976年)。レゲエ〜ダブにはまったく明るくなく、ウチにあるCDでもこれが唯一のその手の録音物(The Policeを含めていいなら枚数増えるけども……)なのだが、すっげえ音するなあ……とニコニコしながら聴いてしまう。年代的にはもっとハイファイのパリッとした音が録れたハズだけれども、15年ぐらい遅れた音質。それを錬金術的な音響操作で、マジカルに響かせてしまう。まさに中南米の魔術。良い音とはなんなのか、とも問いかけられるよう。

サマー・サンバ
サマー・サンバ
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ワルター・ワンダレイ
ユニバーサル ミュージック クラシック (2013-06-19)
売り上げランキング: 82,708
ブラジルを代表するオルガニスト、ワルター・ワンダレイ(ジャケットにも"Brazil's No.1 Organist"と書いてある!)が渡米後に製作した大ヒット作(1966年)。手元にある名著『ボサノヴァの真実: その知られざるエピソード』によれば、この頃すでにブラジル本国でボサノヴァ・ムーヴメントはフェイドアウトしている頃だが、米国に渡った著名ミュージシャン(トム・ジョビンとかジョアン・ジルベルトとか)が60年代末ぐらいまでブイブイ言わせていたそう。「ラウンジ・ミュージックとしてのボサノヴァの極地」とも言える大変ソフィスティケートされた演奏が聴けて、思わず気持ちがユルくなる。こういうのも大好き。

The Complete Recordings
The Complete Recordings
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Robert Johnson
Camden (2008-04-14)
売り上げランキング: 63,828
言わずと知れた初期ブルースの伝説的音楽家(a.k.a "悪魔と契約した男")。悪魔と契約しているからもっと禍々しい感じを想像していたのだが、もっと気持ちの良い音楽だった。菊地成孔がブルースについて言う「悲しい音楽なのか、楽しい音楽なのかよくわからない」というフィーリングがとてもよく表されているアルバム。どんな風にギターを弾いているかもよくわからないし、突然声がファルセットになってビックリしたり、謎めいていて楽しい。すげえ良い。

Radio Ethiopia
Radio Ethiopia
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Patti Smith
Sbme Special Mkts. (2009-08-04)
売り上げランキング: 162,361
パンクと呼ばれる音楽にはあんまり惹かれない自覚があるのだが「あ、俺もしかしてニューヨーク・パンクならすごく好きなんじゃないか!?」と思った一枚(Television大好きだし)。シャキッ、ジャリッとしたギターの音が好きである。

As One
As One
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久保田利伸
ソニーレコード (2000-09-27)
売り上げランキング: 105,803

LA・LA・LA LOVE THANG
LA・LA・LA LOVE THANG
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久保田利伸 ナオミ・キャンベル
ソニーレコード (1996-12-02)
売り上げランキング: 41,185

Neptune
Neptune
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久保田利伸
ソニーレコード (1992-07-01)
売り上げランキング: 117,198

SUNSHINE MOONLIGHT
SUNSHINE MOONLIGHT
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TOSHI KUBOTA
ソニーレコード (1995-09-10)
売り上げランキング: 93,495

BUMPIN’ VOYAGE
BUMPIN’ VOYAGE
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久保田利伸
ソニーレコード (1995-01-28)
売り上げランキング: 74,830
久保田利伸が過去に製作したデモテープ「すごいぞテープ」(下記動画はテープに収録された洋楽メドレー集)をYoutubeで聴いてしまい、久保田利伸ってすげえ、ハンパねえな、と思い、手当たり次第中古で見つけて聴きまくった。そして、最高だと思いながら、シャウエッセンを食べたくなっていた。音楽にもはや「パリッ」とソーセージを食べる音を脳内でミックスしてしまうぐらいに、久保田利伸がシャウエッセンと紐づいている。


SUNNY SIDE OF ORIGINAL LOVE
SUNNY SIDE OF ORIGINAL LOVE
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オリジナル・ラヴ
EMIミュージック・ジャパン (1998-09-23)
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Desire
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オリジナル・ラブ
ポニーキャニオン (1996-07-19)
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RAINBOW RACE
RAINBOW RACE
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オリジナル・ラブ ORIGINAL LOVE
ポニーキャニオン (1995-05-19)
売り上げランキング: 102,797
邦楽ではオリジナル・ラブの旧譜も聴きまくっていた(久保田利伸も田島貴男も聴いていると顔が濃くなっていきそうな感じだが、実際には外回りの営業によって、東南アジアからの留学生みたいな顔になっていっている)。この人も天才肌の音楽家だが『Desire』に収録された「少年とスプーン」で本格的にズッパマりそうな感じであった。フォーク・ロックとギター・ポップがプログレ的な展開で構成されている……というか。この前出会ったピチカート・ファイヴが好きなスペイン人(エラスムス研究者)にもグイグイ聴かせたい。

Chocolate City
Chocolate City
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Parliament
Island / Mercury (2003-04-15)
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P-Funk Earth Tour
P-Funk Earth Tour
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Parliament
Island / Mercury (1990-06-30)
売り上げランキング: 48,716
あとParliamentも初めて買って聴いた。ファンクという音楽もよく知らないわたしだが、70年代のいわゆる「アガ・パン」期マイルスのなかに含まれているファンク的な要素と機器比べると、ずっとParliamentのほうが音楽的に洗練されて聴こえる。マイルスはあくまで「ファンクっぽいなにか」だったんだろうなあ……。純なファンクを聴いてしまうと『アガルタ』に収録されている演奏も、ギンギンにワウ・ギターが鳴っている速いテンポのところよりも、チル・アウトしている(ただし、いつ盛り上がるんだろう……みたいな異様な緊張感があって落ちつかない)静かな部分のほうが面白く聴けてしまう……など、Parliamentを聴いてもマイルスについて考えてしまう、自分のなかのマイルス史観を認識した。

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