伊丹十三 『女たちよ!』

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女たちよ! (新潮文庫)
女たちよ! (新潮文庫)
posted with amazlet at 14.03.28
伊丹 十三
新潮社
売り上げランキング: 9,714
我が家の伊丹十三特集はまだ続いている(たまたま仕事で松山にいったのだが、そのときにちょうどこの本を読んでいた。伊丹十三記念館には行ってません、仕事なので)。このエッセイにあらわれた伊丹十三のホンモノ志向・軽妙洒脱ぶりは『ヨーロッパ退屈日記』と変わらず。ビシッと「あなたたち、美しくないですよ」「カッコ悪いですよ」と指摘しているところがカッコ良いのだなあ。解説では1968年に本書が初めて世に出た当時の衝撃について池澤夏樹が記している。これは明治維新以来成長とともに身につけた「ニセモノっぽい西洋」を鋭く指摘した挑戦的な書であったのだ。『ヨーロッパ退屈日記』の感想にも書いたけれど、そのスゴさは時代を超えて伝わってくる。実に、実にカッコ良いぞ、伊丹十三。

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『いくえみ男子 ときどき女子 Bitter Sweet Voices いくえみ綾 名言集』

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ツラい読書だったが15分で読めたので良しとする。

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ルイジ・バルツィーニ 『大陸横断ラリー in 1907: 北京〜パリ 限界を超えた1万マイル』

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大陸横断ラリー in 1907―北京~パリ 限界を越えた1万マイル
ルイジ バルツィーニ
マール社
売り上げランキング: 911,897
ロード・ムービーのように各地を巡り、秘密結社やらシャンバラ帝国やらがでてくる奇想天外な小説、つまりトマス・ピンチョン的な話をいつか書きたいな、と思っていた。1907年に北京からパリという途轍もない自動車レースが開催されたことを知った瞬間に、これこそ自分が書きたいと思っていた題材じゃないか、と閃いた。

北京から、どのルートを選択しても、どんな手段を使ってもとにかく早くパリに到達した者が優勝というバーリトゥードなレースで勝利の栄冠を手にしたのはゴビ砂漠を抜け、シベリア鉄道の線路上を走り抜けたイタリアの貴族、ボルゲーゼ公爵だった。彼らの軌跡に、ロシアの無政府主義者やシャンバラ帝国の秘密を守る騎馬民族、あるいは義和団やイエズス会なんかが無数にでてきてややこしい陰謀が絡んできたらきっと楽しいだろう……と思って優勝チームの車に同乗し取材にあたっていた記者、バルツィーニの本を読んだ。

これがとんでもなく面白い本で、ピンチョン的な脚色なんか不要なぐらい素晴らしいドキュメントなのだった。ボルゲーゼ公爵(ボルゲーゼ家はボルゲーゼ美術館で有名な『あの』ボルゲーゼ家。教皇パウルス5世を輩出した名家だ)の冒険心と冷静沈着な強いリーダー・シップと、優秀なメカニック兼ドライバー、エットーレのキャラクターは『ドン・キホーテ』に匹敵するナイスな組み合わせで、彼らがさまざまな困難を乗り越えていく光景が緻密に描かれている。

「大陸横断ラリー」というと自動車が砂煙をあげて荒野を爆走していく様子を想像してしまうが、当時の自動車はそこまでパワフルなものではない(優勝チームの車は、それでも最高時速は95km/h、道が良ければ60km/hぐらいで長時間走行できた)。シベリアの大地は雨が降るとぬかるみがひどく何度も泥にはまって走行できなくなったり、山越えする際は馬や大勢の苦力に引っ張られなくてはならなかった。悪路が続くあいだはレースというよりは、本当に難儀する旅という感じである。

イタリア・チームの車が35〜45馬力、これに対してライバル・チームの車はその半分以下のパワーしかない車だった(その代わり車両の重さはずっと軽い)。このレースはオフロードを進むには、重量級の車が良いのか、軽量級の車が良いのか、という闘いでもあり、結果として重量級が圧倒的な勝利を収めた結果となっていた。

こうしたレースの様子ばかりがこの本の魅力ではない。むしろ、中継地点で出会う各地の人々の描写が素晴らしいのだった。清人やモンゴル人、シベリアに住む農民たち、実にさまざまな人々が本書には登場するが、モンゴルの平原で出会う正確なドイツ語を話す青年だとか、独学で学んだラテン語で話しかけてくるシベリアの職人だとか、驚くべき人物もでてきて楽しい。これは20世紀初頭の「辺境の人々」のドキュメントでもあるのだ。シベリアの農民が初めて出会ったイタリア人と自動車を見て「日本人のスパイ」と勘違いした、というエピソードなど思わずニコニコしてしまう。

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菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール / 戦前と戦後

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戦前と戦後
戦前と戦後
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菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール
TABOO (2014-03-19)
売り上げランキング: 313
菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールの『戦前と戦後』を聴く。また世相的にすごいタイミングでのリリースとなったな、と思ったが、菊地成孔自身が立ち上げたレーベルの第一弾ということである。ペペ・トルメント・アスカラールは前作『New York Hell Sonic Ballet』はイマイチ乗り切れなかったのだが、これは近年の菊地成孔のなかでも最も優れた一枚ではないだろうか。初期のクセナキスのようなリズム・クラスターが強烈な「エロス+虐殺」、文字通り呪術的にダンサブルな「Voodoo/Fruits&Sharks」といったカラい楽曲も素晴らしいし、ヴォーカル曲の甘さと、菊地成孔の諧謔と風刺の効きまくった歌詞のバランスがとても良い(とくに標題曲『戦前と戦後』の歌詞は『普通の恋』ぐらいグッとくる……)。

キップ・ハンラハンの「CARAVAGGIO」のカヴァーにはキップ本人が朗読で参加。その内容は『戦前と戦後』というタイトルに合わせたもののようなのだが、なんか「戦前の沖縄はヘルシーな飯を食ってたが、戦後はマックばかりに」とか「戦前の日本には尺八音楽が満ちていたが、戦後はジャズやアメリカ文化が……」とか、あまりに19世紀末のエキゾチズムなのではないか……と思わなくもない。ただ、ニューヨーク生まれのプロデューサーがそのように日本を語るおかしみは、男性が女性ヴォーカルの曲をカヴァーしているおかしみ、日本人が発音するフランス語詞・英語詞のおかしみに通じているようにも感じる。

しかし、これホントに「ストレンジ・ラテン・オーケストラ」であるなあ、と思う。ラテン・パーカッションにストリングス、ピアノ、ベース、ハープ、サックス……楽器編成的に南米の音楽にこんな組み合わせはない(ハープをアルパに置き換えれば、一番ベネズエラの音楽に近い……かもしれない)。歌についてもシャンソン、歌謡曲、ラップ、ジャズなどなんでもアリになっている。けれども、雑多な感じがしない。すごい。

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Real Estate / Atlas

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Atlas
Atlas
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Real Estate
Domino (2014-03-04)
売り上げランキング: 1,677
Real EstateはUSニュージャージー州出身のバンドで、Dominoからでている本作『Atlas』は3枚目のアルバムとのこと。全然知らないバンドであったが、いつものようにtdさんのブログで熱く語られているので手に取った。氏の言う「ギターポップと言えばギターポップ、になるのだろうけれどもTelevisionからテンションの高さを抜いたような、どことなく浮遊感ある音の印象的なギターフレーズ」という表現が気になりまくり「Televisionからテンションを抜いたら、何が残るのか!?」とYoutubeで視聴してみたら「これは言い得て妙、ってか最高じゃんか」と思って即購入したのだった。アルバムの1曲目「Had To Hear」、ギター、ベース、ドラムのインタープレイがめっちゃ『Marquee Moon』っぽい(ただし、ユルい)。
全体としてはYo La TengoやThe Sea & Cakeを彷彿とさせる音なのだが「60年代のアイドルっぽいロック・バンドやサイケを今っぽく演奏している」ようにも聴こえて、そういうの好きにならないわけがないじゃないか、と思う。あとネオアコっぽかったりね。Bell & Sebastianっぽい感じもあるんだよ。基本リヴァーブ過多な、柔らかい音で小さな世界が構築された箱庭っぽい音楽(DominoよりもThrill Jockeyっぽい感じがする)なんだけれど、音の積み重ね方が巧みで飽きない。急にリヴァーブが薄い、シングル・コイルのギター・ストロークが聴こえてきたりして。ツボを突いてくるんだよなあ……。

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伊丹十三 『ヨーロッパ退屈日記』

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ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)
伊丹 十三
新潮社
売り上げランキング: 4,939
「テレビが面白くないから映画のDVDを借りてくる」という習慣ができた。それで最近、伊丹十三の監督作品を集中的に見ていたのである。『マルサの女』、これは変拍子のテーマ・ソングが最高ですね〜、『たんぽぽ』、面白いですね〜……といった具合にはまっていたのだがエッセイも面白くて、伊丹十三ってホントにスゴかったんだな、とひどく感心してしまった。役者としては『家族ゲーム』や『北の国から』に出演していたのを見ただけだけれども、大変カッコ良い人だな、と思った(特に『北の国から』出演時、田中邦衛と比較対象にあがってしまうのだけれど、そりゃあ伊丹十三のほうがカッコ良いに決まっているのである)。

『ヨーロッパ退屈日記』は60年代の外国暮らし経験を元にしたエッセイだが、時に辛辣で、時にナンセンスで、ほとんど嫌味に近い「ホンモノ志向」が展開されているところが良い。こんな具合である——「やっぱり手袋はペッカリがいいでしょう。コートは、やっぱりカシミヤがいいでしょう。眼鏡はツァイス、ライターはダンヒルの純銀(……以下略)」。初出から半世紀ほどが経ち、日本でも「ホンモノ」に触れられるようになった今なお、面白さは色あせていないのではないか、と思われる。嫌みに近いが、嫌味ではないのは、そこに文化へのリスペクトというか、敬愛を感じるからなのかも。しかし、カッコ良いよなあ……。天才は時代を超えるんだな、と思った一冊。

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Pharrell Williams / G I R L

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Girl
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Pharrell Williams
Sony (2014-03-07)
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昨年はDaft Punkとのコラボレーション「Get Lucky」で大ヒットを飛ばし、グラミー賞の授賞式のパフォーマンスも話題を読んだファレル・ウィリアムスの新譜を聴く。ジャスティン・ティンバーレイクやら、アリシア・キーズやら、Daft Punkやらが参加ミュージシャンに名を連ねる豪華なアルバムだが、内容も最高。全体的にモータウン/AORみたいな陽性のサウンドに包まれた大変ソウルフルなアルバムである。そして、ラグジュアリー(それはガウンを着たあからさまにセレブ感漂うジャケット写真からも伝わってくるけれど)。好きなもの全部詰め込んだコドモ感と、ラグジュアリーなオトナ感を両立させた希有な作品なのではなかろうか。

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編集協力した本が出ましたよ! 『知のミクロコスモス: 中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』

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さきほど帰宅したら恵投いただいた本が届いておりました(ありがとうございます!)。ヒロ・ヒライさんと小澤実さんの編集による『知のミクロコスモス: 中世・ルネサンスのインテレクチュアル・ヒストリー』は、2011年の夏に立教大学でおこなわれたシンポジウムをもとにした論文集。この本、わたくし、編集協力で関わっております。
スペシャルサンクスにもこの通り、名前が載っております。
編集段階で12本の論文にはほぼすべて目を通させていただきました。自分が本作りに参加したから贔屓しているわけではないけれども、この本、すごく面白いです。

全体は4部にわかれている。説教理論、記憶術、ルーン学、プロフィール肖像、怪物、聖餐論、スピノザ主義(とその反対者たち)、アリストテレス主義者、霊魂論、ベイコンの健康法、南蛮時代の霊魂論、キリシタンにおけるパライソ……論文の主題となっているテーマは非常に多彩でありながら、時にはセクションをまたいで関連しあっているのがとても魅惑的なのです。しかも、3700円という信じられないお値段。400ページ近くある学術書がですよ。値段を聞いたときにちょっと信じられなかったですね。

教科書的・入門書的な本ではないのだけれど、これだけ一本一本が面白いと「インテレクチュアル・ヒストリーってなんでちゅか〜?」という人でも、歴史上にこんな面白い知的世界があったのか、そして、こんな世界を研究している人たちがいるのか! という驚きに出会ってしまうハズ。なので、研究者の方々に限らず、いろんな人に手にとっていただければ良いな、と思います。わたしへの協力要請も「研究者じゃなくても読みやすい本を作ろう!」という意図からでした。そういうわけで本書は、新しい知の世界が開かれまくった本なのです。

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瀧波ユカリ・犬山紙子 『女は笑顔で殴りあう: マウンティング女子の実態』

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女は笑顔で殴りあう:マウンティング女子の実態 (単行本)
瀧波 ユカリ 犬山 紙子
筑摩書房
売り上げランキング: 1,076
つらい読書……。

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パオロ・ニコローゾ 『建築家ムッソリーニ: 独裁者が夢見たファシズムの都市』

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建築家ムッソリーニ―独裁者が夢見たファシズムの都市
パオロ ニコローゾ
白水社
売り上げランキング: 651,213
ムッソリーニの名前を知っていても、彼がどんな人物だったのか思い浮かべられる人は多くないと思う。同じ枢軸国の独裁者でもヒトラーは強烈にアイコニックな顔と、ユダヤ人を絶滅させようとしたなどの残虐行為があるから、瞬間的に「悪人だ!」と言い出せる。けれども、ムッソリーニにはそういう分かりやすさがない。もちろんこれは「少なくとも日本人にとっては」の話なので、イタリア本国では全然違う評価を受けているだろうけれども、ムッソリーニと日本人は疎遠な関係にある、と言える。そこで『建築家ムッソリーニ』は、彼がおこなった都市改造計画・建築計画から、ひとりの独裁者の人物像に光を当てる貴重な一冊になるはずだ。

ヒトラーがお気に入りの建築家、アルベルト・シュペーアと組んで首都ベルリンを「世界の首都」として誇るべき都市に改造しようとしたのと同様に、ムッソリーニもまたイタリア各地に自らの意見を設計に取り組んだ建築物を作り、また都市の開発をおこなっていた。ファシズムのイデオロギーを国民に照射するための装置として、それらの建築物は機能する。その機能をさらに高め、建物から放たれる威光を自らに紐づけるために、ムッソリーニはイタリア全国を巡り、建築現場を視察したり、落成式や起工式に出席したというエピソードは興味深い。「全体主義」は、国民全員が全体に統一されようとするイデオロギーだが、ムッソリーニは国民全体が自らの意志に統一するために建築に取り組んでいたのだ。

建築は、ムッソリーニの威光を高める舞台としても作られる。表紙にも使われている船主上の演説台はわかりやすい例だろう。ここでは古代ローマの鷹の紋章も用いられているが、彼はイタリアが誇るべき建築美を古典主義に求めている。しかし、ムッソリーニは当初から古典主義を賞揚していたわけではなかった。むしろ、当初は機能主義・モダニズムにも理解を示していた。彼が古典主義 = ファシズム様式とし始めるのには、ヒトラー・シュペーアによるナチズム建築との競争が大きく関与している。ふたりの独裁者が「どちらが世界一の都市を造るのか」を競い合っていたという事実はとても面白く読めた。

しかし、ヒトラーにはシュペーアという専属建築家がいたのに対して、ムッソリーニにはそうした存在が希薄だったそうである。懇意にしていた建築家の存在は複数確認できる。建築家をひとりに絞らないことによって、建築計画の最終決定をする自らの権限をなおさら強めようとしたムッソリーニの戦略はとても巧妙に思えた。しかし、だ。なんでもかんでも自分で決定しようとし、自らを一流の建築家のように思い込み、自らの判断が常に最良の者だと信じてやまないムッソリーニの働きぶりは「独裁者」の型にハマりすぎ、いささか滑稽にも思える。こういう上司、いるよね、と思ったし、それについていく側近や建築家たちの大変さをリアルに想像してしまうのだった。

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Steven Shapin & Simon Schaffer 『Leviathan and the Air-Pump: Hobbes, Boyle, and the Experimental Life』

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Leviathan and the Air-Pump: Hobbes, Boyle, and the Experimental Life
Steven Shapin Simon Schaffer
Princeton Univ Pr
売り上げランキング: 93,251
『リヴァイアサンと空気ポンプ(Leviathan and the Air-Pump: Hobbes, Boyle, and the Experimental Life)』を読む。なんとも言えない不思議なタイトルの本だが、1985年にスティーヴン・シェイピンとサイモン・シャッファーによって発表された科学史の本で、先日とりあげた科学哲学の入門書でも大きくページを割いて言及されている。ざっくりと内容を紹介すると、1660年ごろにイギリスでおきたホッブズとボイルによる「真空論争」が詳細に検討したもの。

ボイルといえば「近代化学の祖」として評価されている人物。一方のホッブズは本書のタイトルにもある『リヴァイアサン』を書き上げた「政治哲学者」として知られている。前者が科学史の本で取り上げられるのはすんなりと納得がいくけれど、ホッブズが自然哲学にも強い関心をもっていたことはホッブズ学者にもあまり注目されていない事実だ。そういうわけでボイルとホッブズのあいだの対立は「忘れられた論争」だったのだろう。しかし、本書はそこに哲学の領域から近代科学がテイクオフする瞬間を捉えている。

近代科学に通じる手続きが、ボイルらの実験哲学には含まれていた。それは理論一本ではなく、実験によって得た経験的なデータを元に記述するスタイルだ。多くの人が実験結果の「目撃者」になることで、その正当性は保証される。そのために、実験に関する記述は読み手が仮想的に実験を目撃することを目指して詳細におこなわれたという。

これに対して、ホッブズは実験データをいくつ集めても自然の理解はできない、という立場からボイルらの実験哲学を批判していた。ホッブズ曰く、自然は神によって作られたものであり、その法則性を人間が理解するのは不可能である、という。ゆえにデータを集めても無駄である……とボイルとホッブズのあいだには「真空の有無」だけでなく、根本的な自然観から違っていたのだ。

また、当時のイギリスは清教徒革命がおこった直後、1660年には王政復古があり、政治的にもかなり慌ただしい状況だった。ボイルとホッブズだけでなく、当時の神学者・哲学者たちも政変の影響は大きく受けていた。そんななかボイルら実験哲学者たちがどのように自分たちの活動を危険思想視されないよう考慮したかについての記述もとても面白かった。

わたしが読んだのは2011年にでた新しい版で、このヴァージョンにつけられた序文に関してはすでに坂本邦暢さんが詳しくとりあげている。科学・哲学・宗教・政治などさまざまな分野について本書は当初、科学史業界では「なんだかよくわからない本」だと思われて、評価されるようになるまで長い時間を要したんだって。

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Bombay Bicycle Club / So Long, See You Tomorrow

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So Long See You Tomorrow
So Long See You Tomorrow
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Bombay Bicycle Club
Vagrant Records (2014-02-04)
売り上げランキング: 908
ロンドン出身の4人組、Bombay Bicycle Clubは、2009年にでたシングル「Always Like This」を聴いてそれっきりだった。当時平均年齢19歳で、え、そんなに若かったんだ、と思ったが、本作で4枚目のアルバムというのもビックリした(リリース・ペースの早さがプリンスばりである)。というわけで、これまでのアルバムや彼らの音楽がどういうものだったのかはまったく知らない。「Always Like This」は、ケンカが弱そうな感じのヴォーカルが印象的だった。どっから声出ているんだよ、と問いたくなる震えるようなヴォーカルは本作も健在。しかし、すげえ良い。グッとくるメロディ・センスには、The Bugglesな的なものやU2的な壮大な盛り上がりを感じて、ものすごく素敵なのだが、ギター・ポップであったり、ダブ・ステップであったり、ネオアコであったり、さまざまな音楽的要素が複雑に入り込んでいながら、異様にスッキリとまとまっている。最近のUSインディーで名前を聴く頭良さそう(かつ、ケンカ弱そうな)なバンドも、雑多にいろんな音楽を取り込んでいるけれど、彼らがさまざまなテクスチュアの音を切り貼りして音を作っている感じがするのに対して、これはひとつの平面で統一されてる感じがする。

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Beck / Mornig Phase

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Morning Phase
Morning Phase
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Beck
Capitol (2014-02-25)
売り上げランキング: 38
Beckの新譜を聴く。シャルロット・ゲンズブールやサーストン・ムーアのプロデュース仕事は逐一チェックしていたので久しぶり感はないけれども、本人名義の作品は前作『Modern Guilt』から6年ですか、意外に久々であった。ナイジェル・ゴッドリッチのプロデュース作品からのBeckはほぼゴッドリッチと同化しているように思われ、深いリバーヴでドリーミーな音作りが特徴的になっているのだが、Beck本人プロデュースの本作でもそのへんは継承されている。それにしてもこれ『Sea Change』以来の大名盤なのではないでしょうか。なんでも2005年から録音ははじまっており、その後長い中断を経て完成したのが本作。『Sea Change』でも参加していた父親、デイヴィド・キャンプベルもストリングスのアレンジで参加しており、『Sea Change』との連続性を感じるアルバムとなっている(参加ミュージシャンには、元Jelly Fishのロジャー・ジョセフ・マニングJr.が。ジェイソン・フォークナーは不参加の模様)。カントリー&フォーク色がとても強く、Beckの歌心と言いましょうか、メロディ・センスをガッツリと堪能できる一枚である。もちろん単なる『Sea Change』の焼き直し、ではなく、骨太感が増しているのが素晴らしい。なんかとてつもなく新しいものを見せられる感じはないけれど、落ちついて何度も聴きかえしてしまうし、嫌いになれるわけがないのだった。

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Volcan / Volcan

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Volcan
Volcan
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Volcan
CD Baby (2013-11-04)
売り上げランキング: 134,336
キューバ出身のピアニスト、ゴンサロ・ルバルカバを中心に、ドラムはオラシオ・エル・ネグロ・エルナンデス、パーカッションにジョヴァンニ・イダルゴ、ベースはアルマンド・ゴラというラテン・ジャズ界の有名ミュージシャンで結成されたスーパー・バンド、Volcanのアルバムを聴く。この組み合わせ、Stuffみたいなもの、と考えれば良いんだろうか。とにかくテクニックがすごい人たちの集まりなので、出てくる音も非常に密度の高いアンサンブルが楽しめる。かなりハードです。ただ、ゴンサロ・ルバルカバはピアノとともにシンセも弾いているんだけれど、それはそこはかとなくダサい。このダサさは、先日聴いた渡辺香津美のNew Electric Trioにも通じている気がする……(もっとも渡辺香津美のアルバムは10年ぐらい前のものだが)。そこも含めて嫌いじゃないんだけれど……。

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『道端3姉妹スタイル』

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道端3姉妹スタイル ALL ABOUT MICHIBATA SISTERS
道端 カレン 道端 ジェシカ 道端 アンジェリカ
講談社
売り上げランキング: 640
いろいろ訳あって『道端3姉妹スタイル』を読んだのだった。カレン、ジェシカ、アンジェリカのモデル3姉妹のライフスタイルを紹介する本である。こんなの一般人はマネできねーよ、というライフスタイルが紹介されていて、一体誰がこれを買うのか、という感じはあるのだが「ボディ」編は良いですね……。単なる性癖の告白になってしまうけれど、エクササイズ・ファッションやランニング・ファッションってすごく好きなんですが(下着姿とはまた違った良さがあるんですよ……)、ここでは3姉妹の素晴らしいバディが存分に楽しめます。とくにアンジェリカさんのタンクトップ + ショート・パンツのランニング姿のカットは最高に良い。

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Fernando Silva / Miro Por La Ventana

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近年のアルゼンチン音楽シーンでもっとも注目されている音楽家、カルロス・アギーレはShagrada Medra(シャグラダ・メドラ)というレーベル運営もおこなっている。アギーレと長年共演を続けてきたチェロ/ベース奏者、フェルナンド・シルヴァのソロ・アルバムもこのレーベルからの出ているもの。日本では2013年の暮れに入ってきたようだけれど、最近になってようやくわたしも手にすることができた。収録されているのはシルヴァ自身による作品を中心に、アギーレの作品のカヴァーなど(もちろん、アギーレ本人も録音に参加している)。シルヴァのフレットレス・ベースは、Weather Report在籍時のジャコ・パストリアスを彷彿させもするのだが、だからといってテクニカルなベースを中心に音楽が構成されているわけではない。アギーレのアルバムにも通じるオーガニックなサウンドとモダンな歌モノフュージョンが違和感なく調和した素晴らしいアルバム。

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