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1981年のマイク・オールドフィールド、他




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 1981年のマイク・オールドフィールドのライヴがとても面白い。これ、なんとモントルー・ジャズ・フェスの映像。この年は他にジェームス・ブラウン、ウィントン・マルサリス、ディジー・ガレスピー、エラ・フィッツジェラルド、オスカー・ピーターソン……とすごいメンツが集まってるところに彼が登場している。この事実からして爆笑ものなんだけれども、有名な「チューブラー・ベルズ」のライヴ・アレンジがさらにすごい。原曲の進行に即していながら、ハイテクなハードロックに仕上げている。カッコ良すぎ。


 他の曲もすごくてマイク・オールドフィールドって「ニューエージの先駆者」なんかじゃなくて「ケルトでカルトなミニマルなAORの人」だったんじゃなかろーか、と認識を改めました。ものすごくクセのあるフレーズ作りが堪らないです。


 「マイク・オールドフィールドって『エクソシスト』のあれで一発屋の人でしょ?」とか言ってる人はマジで見直したほうが良い。たしかに「チューブラー・ベルズ」を4回ぐらい焼き直してるのは、一発屋っぽい売り方だけども……。



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 「チューブラー・ベルズ」の最新版はこちら(2003)。元々が「ケルトでミニマル」だったのが「ケルトでサイバー・トランス」という具合に進化を遂げていてとんでもないものになっている。最高ですね!



Tubular Bells
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Mike Oldfield
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Hergest Ridge
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Ommadawn
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Mike Oldfield
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 このあたりの3枚は買っておいて損はないアルバム。元々はカンタベリー・ミュージックの周辺で活躍していた技巧派ミュージシャンなので、ソロ・アルバム以外にも彼の名前がクレジットされているものは多い。とてもじゃないけれど追いきれないけれど、偶然買ったアルバムのなかに「このフレーズは……」というのがあって確かめるとやっぱりマイク・オールドフィールドだった、っていうのがあると結構嬉しかったりする。



Children of the Sun
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The Sallyangie
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 そういうサイドワーク的なものとしては彼の姉であるサリー・オールドフィールドと一緒にやっていた「The Sallyangie」名義でのアルバムが一番好きです。まぁ、なんか普通のフォーク・ソングっぽいアルバムなんだけれども、バックで鳴っているギターが延々「どこをどう聴いてもマイク・オールドフィールド。個性出しすぎ」というところが面白い。





コメント

  1. こんにちは。
    以前カルロス・クライバーのベートーヴェン「交響曲第7番」のエントリーの時にコメントさせて頂いた者です。
    いつも楽しみにブログを拝読させて頂いております。

    今回このエントリーでMike OldfieldのYou Tubeの映像を見まして、とても良かったのでずっと気になっていたんですが、
    幸運なことに最近中古で「Tubular Bells」を見つけまして買ってみました。
    You Tubeで聴いた感じではジャズ・フュージョン系の人なのかなという印象を受けたのですが、CDだとプログレなのかなと思いました。
    CDを聴いて印象は少し変わったものの、とても良かったです!

    返信削除
  2. プログレ、というか「ニューエージ」の先駆けみたいなところですね(人脈的にはプログレなのですが)。上手いのでなんでもできるのでしょう……。チューブラーベルズだけでなく他のアルバムも良いのでとても良いですよ。

    返信削除

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