スキップしてメイン コンテンツに移動

この夏買ったCD(2013年)

以下に、この夏買ってよく聴いてたCDや最近買って良かったものを並べます。

Super Ape
Super Ape
posted with amazlet at 13.09.01
Lee Perry & The Upsetters
Universal I.S. (2009-03-24)
売り上げランキング: 9,009
ダブのレジェンド的存在、リー・ペリー先生の代表作(1976年)。レゲエ〜ダブにはまったく明るくなく、ウチにあるCDでもこれが唯一のその手の録音物(The Policeを含めていいなら枚数増えるけども……)なのだが、すっげえ音するなあ……とニコニコしながら聴いてしまう。年代的にはもっとハイファイのパリッとした音が録れたハズだけれども、15年ぐらい遅れた音質。それを錬金術的な音響操作で、マジカルに響かせてしまう。まさに中南米の魔術。良い音とはなんなのか、とも問いかけられるよう。

サマー・サンバ
サマー・サンバ
posted with amazlet at 13.09.01
ワルター・ワンダレイ
ユニバーサル ミュージック クラシック (2013-06-19)
売り上げランキング: 82,708
ブラジルを代表するオルガニスト、ワルター・ワンダレイ(ジャケットにも"Brazil's No.1 Organist"と書いてある!)が渡米後に製作した大ヒット作(1966年)。手元にある名著『ボサノヴァの真実: その知られざるエピソード』によれば、この頃すでにブラジル本国でボサノヴァ・ムーヴメントはフェイドアウトしている頃だが、米国に渡った著名ミュージシャン(トム・ジョビンとかジョアン・ジルベルトとか)が60年代末ぐらいまでブイブイ言わせていたそう。「ラウンジ・ミュージックとしてのボサノヴァの極地」とも言える大変ソフィスティケートされた演奏が聴けて、思わず気持ちがユルくなる。こういうのも大好き。

The Complete Recordings
The Complete Recordings
posted with amazlet at 13.09.01
Robert Johnson
Camden (2008-04-14)
売り上げランキング: 63,828
言わずと知れた初期ブルースの伝説的音楽家(a.k.a "悪魔と契約した男")。悪魔と契約しているからもっと禍々しい感じを想像していたのだが、もっと気持ちの良い音楽だった。菊地成孔がブルースについて言う「悲しい音楽なのか、楽しい音楽なのかよくわからない」というフィーリングがとてもよく表されているアルバム。どんな風にギターを弾いているかもよくわからないし、突然声がファルセットになってビックリしたり、謎めいていて楽しい。すげえ良い。

Radio Ethiopia
Radio Ethiopia
posted with amazlet at 13.09.01
Patti Smith
Sbme Special Mkts. (2009-08-04)
売り上げランキング: 162,361
パンクと呼ばれる音楽にはあんまり惹かれない自覚があるのだが「あ、俺もしかしてニューヨーク・パンクならすごく好きなんじゃないか!?」と思った一枚(Television大好きだし)。シャキッ、ジャリッとしたギターの音が好きである。

As One
As One
posted with amazlet at 13.09.01
久保田利伸
ソニーレコード (2000-09-27)
売り上げランキング: 105,803

LA・LA・LA LOVE THANG
LA・LA・LA LOVE THANG
posted with amazlet at 13.09.01
久保田利伸 ナオミ・キャンベル
ソニーレコード (1996-12-02)
売り上げランキング: 41,185

Neptune
Neptune
posted with amazlet at 13.09.01
久保田利伸
ソニーレコード (1992-07-01)
売り上げランキング: 117,198

SUNSHINE MOONLIGHT
SUNSHINE MOONLIGHT
posted with amazlet at 13.09.01
TOSHI KUBOTA
ソニーレコード (1995-09-10)
売り上げランキング: 93,495

BUMPIN’ VOYAGE
BUMPIN’ VOYAGE
posted with amazlet at 13.09.01
久保田利伸
ソニーレコード (1995-01-28)
売り上げランキング: 74,830
久保田利伸が過去に製作したデモテープ「すごいぞテープ」(下記動画はテープに収録された洋楽メドレー集)をYoutubeで聴いてしまい、久保田利伸ってすげえ、ハンパねえな、と思い、手当たり次第中古で見つけて聴きまくった。そして、最高だと思いながら、シャウエッセンを食べたくなっていた。音楽にもはや「パリッ」とソーセージを食べる音を脳内でミックスしてしまうぐらいに、久保田利伸がシャウエッセンと紐づいている。


SUNNY SIDE OF ORIGINAL LOVE
SUNNY SIDE OF ORIGINAL LOVE
posted with amazlet at 13.09.01
オリジナル・ラヴ
EMIミュージック・ジャパン (1998-09-23)
売り上げランキング: 365,040

Desire
Desire
posted with amazlet at 13.09.01
オリジナル・ラブ
ポニーキャニオン (1996-07-19)
売り上げランキング: 100,624

RAINBOW RACE
RAINBOW RACE
posted with amazlet at 13.09.01
オリジナル・ラブ ORIGINAL LOVE
ポニーキャニオン (1995-05-19)
売り上げランキング: 102,797
邦楽ではオリジナル・ラブの旧譜も聴きまくっていた(久保田利伸も田島貴男も聴いていると顔が濃くなっていきそうな感じだが、実際には外回りの営業によって、東南アジアからの留学生みたいな顔になっていっている)。この人も天才肌の音楽家だが『Desire』に収録された「少年とスプーン」で本格的にズッパマりそうな感じであった。フォーク・ロックとギター・ポップがプログレ的な展開で構成されている……というか。この前出会ったピチカート・ファイヴが好きなスペイン人(エラスムス研究者)にもグイグイ聴かせたい。

Chocolate City
Chocolate City
posted with amazlet at 13.09.01
Parliament
Island / Mercury (2003-04-15)
売り上げランキング: 27,862

P-Funk Earth Tour
P-Funk Earth Tour
posted with amazlet at 13.09.01
Parliament
Island / Mercury (1990-06-30)
売り上げランキング: 48,716
あとParliamentも初めて買って聴いた。ファンクという音楽もよく知らないわたしだが、70年代のいわゆる「アガ・パン」期マイルスのなかに含まれているファンク的な要素と機器比べると、ずっとParliamentのほうが音楽的に洗練されて聴こえる。マイルスはあくまで「ファンクっぽいなにか」だったんだろうなあ……。純なファンクを聴いてしまうと『アガルタ』に収録されている演奏も、ギンギンにワウ・ギターが鳴っている速いテンポのところよりも、チル・アウトしている(ただし、いつ盛り上がるんだろう……みたいな異様な緊張感があって落ちつかない)静かな部分のほうが面白く聴けてしまう……など、Parliamentを聴いてもマイルスについて考えてしまう、自分のなかのマイルス史観を認識した。

コメント

このブログの人気の投稿

石野卓球・野田努 『テクノボン』

テクノボン posted with amazlet at 11.05.05 石野 卓球 野田 努 JICC出版局 売り上げランキング: 100028 Amazon.co.jp で詳細を見る 石野卓球と野田努による対談形式で編まれたテクノ史。石野卓球の名前を見た瞬間、「あ、ふざけた本ですか」と勘ぐったのだが意外や意外、これが大名著であって驚いた。部分的にはまるでギリシャ哲学の対話篇のごとき深さ。出版年は1993年とかなり古い本ではあるが未だに読む価値を感じる本だった。といっても私はクラブ・ミュージックに対してほとんど門外漢と言っても良い。それだけにテクノについて語られた時に、ゴッド・ファーザー的な存在としてカールハインツ・シュトックハウゼンや、クラフトワークが置かれるのに違和感を感じていた。シュトックハウゼンもクラフトワークも「テクノ」として紹介されて聴いた音楽とまるで違ったものだったから。 本書はこうした疑問にも応えてくれるものだし、また、テクノとテクノ・ポップの距離についても教えてくれる。そもそも、テクノという言葉が広く流通する以前からリアルタイムでこの音楽を聴いてきた2人の語りに魅力がある。テクノ史もやや複雑で、電子音楽の流れを組むものや、パンクやニューウェーヴといったムーヴメントのなかから生まれたもの、あるいはデトロイトのように特殊な社会状況から生まれたものもある。こうした複数の流れの見通しが立つのはリスナーとしてありがたい。 それに今日ではYoutubeという《サブテクスト》がある。『テクノボン』を片手に検索をかけていくと、どんどん世界が広がっていくのが楽しかった。なかでも衝撃的だったのはDAF。リエゾン・ダンジュルースが大好きな私であるから、これがハマるのは当然な気もするけれど、今すぐ中古盤屋とかに駆け込みたくなる衝動に駆られる音。私の耳は、最近の音楽にはまったくハマれない可哀想な耳になってしまったようなので、こうした方面に新たなステップを踏み出して行きたくなる。 あと、カール・クレイグって名前だけは聞いたことあったけど、超カッコ良い~、と思った。学生時代、ニューウェーヴ大好きなヤツは周りにいたけれど、こういうのを聴いている人はいなかった。そういう友人と出会ってたら、今とは随分聴いている音楽が違っただろうなぁ、というほどに、カール・クレイグの音は自分のツ

2011年7月17日に開催されるクラブイベント「現代音楽講習会 今夜はまるごとシュトックハウゼン」のフライヤーができました

フライヤーは ナナタさん に依頼しました。来月、都内の現代音楽関連のイベントで配ったりすると思います。もらってあげてください。 イベント詳細「夜の現代音楽講習会 今夜はまるごとシュトックハウゼン」

桑木野幸司 『叡智の建築家: 記憶のロクスとしての16‐17世紀の庭園、劇場、都市』

叡智の建築家―記憶のロクスとしての16‐17世紀の庭園、劇場、都市 posted with amazlet at 14.07.30 桑木野 幸司 中央公論美術出版 売り上げランキング: 1,115,473 Amazon.co.jpで詳細を見る 本書が取り扱っているのは、古代ギリシアの時代から知識人のあいだで体系化されてきた古典的記憶術と、その記憶術に活用された建築の歴史分析だ。古典的記憶術において、記憶の受け皿である精神は建築の形でモデル化されていた。たとえば、あるルールに従って、精神のなかに区画を作り、秩序立ててイメージを配置する。術者はそのイメージを取り出す際には、あたかも精神のなかの建築物をめぐることによって、想起がおこなわれた。古典的記憶術が活躍した時代のある種の建築物は、この建築的精神の理想的モデルを現実化したものとして設計され、知識人に活用されていた。 こうした記憶術と建築との関連をあつかった類書は少なくない(わたしが読んだものを文末にリスト化した)。しかし、わたしが読んだかぎり、記憶術の精神モデルに関する日本語による記述は、本書のものが最良だと思う。コンピューター用語が適切に用いられ、術者の精神の働きがとてもわかりやすく書かれている。この「動きを捉える描写」は「キネティック・アーキテクチャー」という耳慣れない概念の説明でも一役買っている。 直訳すれば「動的な建築」となるこの概念は、記憶術的建築を単なる記憶の容れ物のモデルとしてだけではなく、新しい知識を生み出す装置として描くために用いられている。建築や庭園といった舞台を動きまわることで、イメージを記憶したり、さらに配置されたイメージとの関連からまったく新しいイメージを生み出すことが可能となる設計思想からは、精神から建築へのイメージの投射のみならず、建築から精神へという逆方向の投射を読み取れる。人間の動作によって、建築から作用がおこなわれ、また建築に与えられたイメージも変容していくダイナミズムが読み手にも伝わってくるようだ。 本書は、2011年にイタリア語で出版された著書を書き改めたもの。手にとった人の多くがまず、その浩瀚さに驚いてしまうだろうけれど、それだけでなくとても美しい本だと思う。マニエリスム的とさえ感じられる文体によって豊かなイメージを抱か