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非日経読者のための金融経済3級対策




銀行業務検定試験問題解説集金融経済3級 (2008年6月受験用)
銀行業務検定協会
経済法令研究会
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 本日銀行業務検定協会主催の「金融経済3級」という資格試験を受けてきた。せっかくなので、ここでちょっと今回の試験と勉強法などについて総括をおこなってみたい。この試験、日経新聞を日ごろから熟読された方であれば、ほとんど勉強しなくてもたぶん受かる。でも、当然私はそういったマジメなビジネスメーンではない――この総括エントリは、そういう方々のために、それから今回ダメだったら来年また受けなくちゃいけないハメになる自分のために書く。




 まず、試験を受けるにあたって私は協会が出している試験対策用のテキストを一通り解いてみた。この試験は、最近の金融市場や経済の状況がもろに試験問題へと反映されているため、過去問を解いていくことはあまり効果的な勉強法とは言えない……のだが、経済理論の用語説明や経済についての基本的な考え方・仕組みを補強するためには良いと思う(『日銀って何やってるところなの?』レベルの人は必須)。大体、どういう問題が出るか、という傾向もつかめてくる。


 以下に、どんな問題が出るのか(出たのか)を箇条書きにしてみる。



・マーシャルのK、貨幣の流通速度、信用乗数の計算


・前年の資金循環について


・デリバティヴについて


・各種市場(公社債・株式・短期金融)について


・前年の国際収支の動向について


・今年の税制改正について



 これらの問題は2003年からほぼ毎年必ず出題される(今回も出題された)。「マーシャルのK……」、「デリバティヴ」についてはテキストを解いておけば問題ない。ただし、統計結果や税制改正の内容などは調べないとわからない。このあたりの知識を調べるのには、以下のリンク先が今回役立った。



決定!2008年度「税制改正」はこうなる [ビジネススキル・仕事術] All About


日本銀行:ページを表示することができませんでした Bank of Japan:Page cannot be displayed.


日本銀行:ページを表示することができませんでした Bank of Japan:Page cannot be displayed.



 ちなみに「税制改正」「国際収支」はリンク先に掲載された内容がそのまま出題されていた。試験の3日ぐらい前に調べても遅くはないと思うので、忘れっぽい人は試験前一週間にたくさんこのあたりのキーワードをググればよろしい。


 これらの必須問題のほかは、やはり最近の経済状況・動向が反映された出題内容となっていたように思う。投資への意識の高まりやグローバル化などの影響を受けているように感じられた(この傾向は2006年ぐらいからある)。


 投資がらみの分野は、「集団投資スキーム(いわゆるファンド)」、「投資信託」、「金融証券取引法の詳細」などについてがテキストでも押さえられるようになっている。しかし「日本/世界の証券取引所の動向」は調べないと分からない(けど、面倒だったら捨てても良いと思う)。金融証券取引法については来年も出そうな感じ。


 グローバル化がらみの分野は、アメリカについてだけではなく、EUやアジアなどの幅広い視野が必要になってくる。この辺もすぐには分からないと思うので、なんとなく勘で。今年はサブプライム問題から出題があったので、ちょっと助かったかもしれない。来年は、中国経済についてとか出るんじゃなかろうか。


 こまごまとしたところではコンプライアンスやリスク管理、地方財政についても出題される。不良債権問題とかはもうたぶん出題されない。格差社会関連ではジニ係数についての問題が、昨年に引き続き出題されている。郵政民営化もまだまだ出題されると思う。


 大体、これだけ押さえておけば日経を読んでいなくても一ヶ月でバッチリな感じに仕上がるはず(まだ、解答が来ていないため確証が持てないけど……)。取れない試験ではない。勉強すれば、石原慎太郎でも橋下徹でも合格できる試験だと思う。


 無難に言ってしまうと、日経を読んでおいたほうが良い。私もこれを期に日経を購読しようかと思った(受からなかったときのためにも……)。


追記:自己採点結果は合格点でした。





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