先日からサービスが開始されたApple Music。使用する前は「いや〜、レコード屋に通って掘り出し物がないか探したりするのも含めて音楽を聴くことでしょ〜、第一聴ききれないほど音源が家にあるのに無限にライブラリーを増やして聴くか〜? 聴かないだろ〜」とか思っていたのだが、実際使ってみたら「うわ、こんなのもある! あんなのもある!!」と大興奮。以前の反発はどこへいったのか、「もうCDは買わなくて良いや……だいたいココにあるもん……」という気持ちになっている。それで、せっせとミニマルテクノを聴き、
この最高のガイドを開きながらブラジル音楽を聴きまくっている(今後こういうガイド本が注目されるようになるであろう。無限のライブラリーはあるけど、なにを聴いたら分からない、という人向けに)。本日はApple Musicで聴いた魔境的ブラジル音楽の一片をご紹介していきたい。Apple Musicを使った夏休みの自由研究的なものとして読んでいただければ。
こちらが有効だし、音質も良い。Apple Musicの音源で気づきを得たのは「あ、これもピシンギーニャの楽曲なのか!」ということ。良いですよ、ショーロ。ブラジル音楽 = サンバ、ブラジル音楽 = ボサノヴァ、という固定観念からとても遠いところにある。クラシックとポップスの中二階という表現が似合う世界がショーロにはある。
Willie Whopper
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Pixinguinha & Benedito Lacerda / The Complete Works
ピシンギーニャ(1897 - 1973)はブラジルのサロン音楽「ショーロ」の代表的作曲家である。「全集」というタイトルがついているが、フルート奏者のベネヂート・ラセルダと録音したものの全集ということであろう。1940・50年代の録音なので音質は良くないが、古典的なショーロ楽曲に触れることができる。ショーロを手っ取り早く知るのであれば、名コンピレーションアルバムの
Marisa Monte/Paulinho Da Viola/Joel Da Nascimento/
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Nelson Cavaquinho / Depoimento do Poeta
初期サンバの大大大重要人物、ネルソン・カヴァキーニョのアルバムは今の所これだけ。日本で最もブラジル音楽の中古盤が集まっているであろう新宿のディスクユニオンでもネルソン・カヴァキーニョの音源はほとんど見つけられなかったのでこうしてまとまって聴けるのは僥倖。デジタル音源化のプロセスがよくわからず、再生スピードがめちゃくちゃに不安定な箇所もあるのだが、珠玉の音源集でしょう。曲間にいちいちネルソン・カヴァキーニョの人物紹介的なナレーションが入るのがよくわからないが(ネルソン・カヴァキーニョは超重要な作曲家のひとりで、スラム街に生まれて……みたいな女性の声の紹介が入る)、聴いてもらいたいのはまずリズム。ネルソン・カヴァキーニョによる最高な歌唱も良いのだが、リズムを中心に聴いていくとボサノヴァ = 小さい声で歌っているサンバ、というコンセプトがしっくりくると思う。
V. A. / Os Bambas da Viola
こちらはヴィオラ・カイピーラ(10弦ギター)とギターによる二重奏を基本としたブラジルの田舎音楽、ムジカ・カイピーラのコンピレーション。サンバがブラジル南東部の都市部の音楽だったのに対して、ムジカ・カイピーラは要するにもう少し奥まった中西部で流行ったという。サンバが東京の音楽だとすると、ムジカ・カイピーラは名古屋あたりの音楽なのか? ブラジリアン・カントリー・ミュージックってこれなのかな、と思うのだが、大変に素晴らしかった。1990年代に「発掘」され、70歳のときに初録音をおこなったという伝説的女性ギタリスト、エレーナ・メイレレス(Helena Meirelles)の音源も収録。これまた、サンバとはすごく距離があって、ヨーロッパ経由のブラジル音楽という感じがする。なお、このアルバムでは、伝統楽曲以外にも、ミルトン・ナシメントのカヴァも収録。ミルトン・ナシメントはブラジル中西部、ミナス・ジェライス出身の国民的ミュージシャンだ。
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