『日本霊異記』は、8世紀末から9世紀前半に成立した日本発の仏教説話集。正式タイトルは『日本現善悪霊異記』で、解題するならば「現代日本のスピリチュアルで奇妙な深イイ、深ワルイ話集」的な感じか。これを書いたのは景戒という僧侶で、彼が記した序文には、仏教が日本に伝わって200年以上経っているが、中国では説法に役立つようなお話集があるのに我が国にはない、ないなら俺が書くしかあるめえ、的な決意表明がある。書いてある内容は、仏像を一生懸命拝んだら言い事があった、とか、お坊さんに悪口を言ったらたちまち死んだ、とか、そういう話が116話収録されていて読んでいて楽しい。
なにせ、上巻の序文が終わってはじめに書かれているのが「天皇がセックスしているあいだにうっかりその場に入ってきちゃった家来がいて、天皇が恥ずかしい気持ちとこの野郎、という気持ちで『お前、ちょっと外にでて雷を捕まえてこい』と命じる」というよくわからない話だから、読み始めた瞬間にガッツポーズをしてしまった。ほかにも、キレイな天女の像に恋してしまったお坊さんが夢の中で天女とセックスしたり、蛇とセックスした女が死んだり、お寺でセックスした人が死んだり、ヤリマンが早死にしたり、セックス絡みのアレコレが載っている。こうした話を聞いた当時の民衆は、分別のあるセックスをしたんだろうか。
ほかに面白いのが「動物を助けたらピンチのときに助けに来てくれた!」というシリーズ。悪者に襲われて海に投げ込まれたお坊さんが「もはやこれまでか!」と思っていたら「アレ? なんか海なのに足が着くぞ……!? あ、お前はあのとき助けたウミガメか!!」という感じで、足元にウミガメがいて岸まで送ってくれた、というほんわかストーリーなどがある。イチイチ最高だ。
(なお、不真面目なので読んでいたのは現代語訳の部分のみ。気になる表現がある場合のみ、原文を参照した)
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