Ademilde Fonseca / Série Super Divas
アデミルヂ・フォンセカ(1921 - 2012)は「ショーロの女王」と呼ばれた伝説的な歌手。器楽音楽だったショーロに歌を持ち込んだパイオニア的な存在であったらしい。こちらは「スーパー・ディーヴァ・シリーズ」というコンピレーションのひとつみたい。彼女が歌った名曲が堪能できる(一部、聴けない曲もある)。名コンピレーション『Cafe Brasil』に収録されている音源も入っていて「お、この人が、アデミルヂ・フォンセカだったのか」と思った。こういうところからサンバも発生してきているのだなあ。Chiquinha Gonzaga / Pronde Tu Vai, Luiz?
シキーニャ・ゴンザーガというと「ブラジル大衆音楽の母」と呼ばれる作曲家がいるのだが、こちらは同姓同名のミュージシャン「ファホーの王」ルイス・ゴンザーガの妹である。ファホーは、ブラジル北東部から始まった「サンバではないブラジル音楽」。なぜかナポレオンを真似て作った牛皮の帽子をかぶり、アコーディオンをもった歌手、トライアングル、ザブンバ(スネアドラムみたいなパーカッション)の伴奏で歌うスタイルが特徴的。このアルバムは兄のルイス・ゴンザーガへのトリビュート・アルバムだったみたい。ジルベルト・ジルも参加していて、底抜けに楽しい。
Alberto Continentino / Ao Som dos Planetas
こちらは2015年新作。アルベルト・コンチネンチーノはアドリアーノ・カルカニョットなどの作品に参加してきたベーシストでこれがソロ第1作目らしい。人脈的にはモレーノ・ヴェローゾやドメニコ、カシンらとも近く本作にもドメニコ、カシンが参加している。それゆえに音の質感は、彼らのソロ・アルバムに近いポスト・ロックやニューウェーヴを上手く消化した新世代MPBという感じなのだが、まず楽曲がとんでもなく素晴らしい。凝りまくったコード進行は「これは、ブラジルのキリンジか!?」と思わせる瞬間があり、最高である。
Leonardo Marques / Curvas, Lados, Linhas Tortas, Sujas e Discretas
こちらも2015年新作。ミナス・ジェライス出身のSSW、レオナルド・マルケスの2作目。ディスクユニオンのサイトでは「エリオット・スミスとクルビ・ダ・エスキーナの邂逅」とまったく想像できないキーワードで語られているが、たしかにこのメロウな歌声はエリオット・スミスを彷彿とさせる。ミナスというとアントニオ・ロウレイロに代表される「ミナス新世代」を思い浮かべてしまうが「こういうのもあるのか!」と驚いた。マジでどうなってんだ、ブラジル音楽界、驚異の充実度である。
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