F.M.コーンフォード
岩波書店
売り上げランキング: 150,392
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ざっくりと流れをまとめるならば、1)イオニア自然学は「自然」という「私」の外にあるものを発見し「私」の外側の世界がどうなっているのかを説明しようとした。これに対してソクラテスはそうした思考法を役に立たないものとして捉えた。ソクラテスによって役に立つ知とは徹底して2)「私」はどのように生きるのが良いのか、という内側の問題であったからだ。ソクラテスの弟子であったプラトンは3)内へ向かう理論を精緻化し、テクストとして残した。プラトンの弟子であったアリストテレスもその内なる思考を引き継ぐ。しかし彼は、自然の体系的な観察もおこなった。つまり、4)外側へのまなざしが復活する。
外 → 内 → 内 → 外というこの知の運動の様子は極端にシンプルだけれども大変にわかりやすく、テクストの背景にあるコンテクストを得るためには有用だと思った。先日参加したアリストテレス読書会でも、哲学者のテクストだけにいきなり突っ込んでいくと轟沈する可能性が高まる、というような話が出た(気がする)。プラトンやアリストテレスを読む前に、未然に轟沈を防ぐ地図として本書はオススメできるかも。
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