オペラ『オレステイア』3部作(ギリシャ語上演 字幕付き)(1992)サントリー芸術財団主催の夏の現代音楽フェスティバル「サマーフェスティバル」、ここ数年は毎年複数公演を観にいっていましたが今年は祝祭の最後を飾るビッグイベント、クセナキスのオペラ公演だけ聴きにいけました。すでにTwitterなどでほとんど絶賛の嵐が吹き荒れきった感はありますが、とにかくすごかったですね。「伝説を立ち会ってしまったなあ、これは……」という公演でした。
「アガメムノーン」「供養する女たち」「慈しみの女神たち」
原作:アイスキュロス(紀元前525-456)
作曲:ヤニス・クセナキス(1922-2001)
【出演】
バリトン=松平 敬、打楽器=池上英樹、合唱=東京混声合唱団(合唱指揮=山田 茂)、児童合唱=東京少年少女合唱隊(合唱指揮=長谷川久恵)、 演出=ラ・フラ・デルス・バウス、舞台監督=小栗哲家
音響=有馬純寿、演奏=東京シンフォニエッタ、指揮=山田和樹
そもそも音楽とはなにか、と終演後に考えさせられる衝撃的な祝祭性は、論理性によってなにかを伝える芸術ではなく、古代的なミメーシスの芸術の姿を想起させ、こうした意味で、古代ギリシャ演劇を「全体演劇」として現代にリプロダクトするようなクセナキスのコンセプトが見事に再現されていた、と思います。一言で言ってしまえば、最後にアレをやられてしまうと、否が応でも感動してしまうよね、ということなのですが……(他のものに喩えると『崖の上のポニョ』の序盤とか、ブルックナーの交響曲の最終楽章だとか……もう何かが溢れてしまう感じでヤラれるだろ、と)。
ラ・フラ・デルス・バウスによる演出は「日本っぽい諸々の要素を取り入れつつ、基本的には劇団四季とヒーローショー」という感じでしたけれども、自然に目が潤みました……。「クール・ジャパン(笑)」みたいな痛さはありましたけれども。ただ、頭にスカイツリーのっけてみたり、Twitterの投稿を投影してニコニコ動画のようなコメントの弾幕を出してみたり、なんかもう無茶苦茶だよ! という感じでありながら、終演後にアイスキュロスの原作について教わると「なるほど、意外にギリシャ演劇のルールが参照されてたりするのか」と感心させられる面もあって、単にヤンチャな外人野郎ではないのか、と思いました。
出演者も制作者も企画者も一丸となって、高いテンションで今回の公演を作ったのであろう、という感が伝わってくるのも良かったです。たった一晩の公演だったのが勿体ない。
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