Demolished Thoughtsposted with amazlet at 11.05.28Thurston Moore
Matador Records (2011-05-24)
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ナイジェル・ゴッドリッチのプロデュース作品以降、ベックに対するイメージはドリーミーな音作りのなかで歌うポップなアーティスト、といったものとなり、オルタナティヴ・ロックとの距離は遠く感じられるのですが、その活動の初期には攻撃的な音楽にも取り組んでいて、かなり古いテレビ映像だったと思いますけれどYoutubeではベックとサーストン・ムーアがひたすら奇怪なノイズ・インプロヴィゼーションを展開する映像が観れたハズです。サーストン・ムーアの3枚目のソロ・アルバムをベックがプロデュースしている、というのは意外なように思われて、実はそうではない、のですね。
それで出来上がったモノは、今のベックがサーストン・ムーアをプロデュースしてできた音楽以外の何モノでもない。ベックのプロデュース・ワークには昨年のシャルロット・ゲンズブールのアルバム*1のときに「これは何ジェル・ゴッドリッチだ?」という印象がありましたが、本作ではそこまでベタベタのフワフワに音を作り込んでいません。ただやはり、ああ、これはベックっぽいな、という柔らかい音の作り方であって、大変リラックスできる音です。自然体サウンド、とでも言えましょうか。そこに時折ストリングスが織り込まれたりして、音の色合いはユラユラと変化していく。ギターはずっとアコースティック・ギターが使われていて、ソニック・ユースでのソリッドな攻撃性とは印象が全く違っています。しかし、エレキからアコギに持ち替えてもサーストン・ムーアはサーストン・ムーアであって、そこに偉大なギタリスト感があります。リズムを刻むような細かいストローク一小節だけを抜き出したって「どう考えてもサーストン」と分かる。ギターの音に彼の名前が刻印されちゃっているわけです。
最高に決まっているだろう、こんなモノ!
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