田口 卓臣
講談社
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この初期の断想を読むと、ディドロは、自分の哲学のシステム、知的な秩序を構築する思想家ではなく、むしろ、全然システムから離れた思想家だったことがわかる、と著者は言う。システマティックにものごとを記述をする部分はあるけれど、そこで採用されているシステムはひとつではなく、Aシステムに準拠したかと思えば、Bシステムに乗り換えて……ということをやっており、異なるシステムを越境したり、接続したりすることによって、ひとつのシステムから世界を見る限界を乗り越えようとしていたのであーる、と。
著者はこうしたディドロの思考法を、怪物的思考と名付ける(たぶん、キメラ的なイメージでこういう言葉を使っているのであろう)。本書を読むまでは、わたしもディドロのことをザ・近代の人(つまり、単一のシステムによって世界を記述しようとする)の典型だと思っていたから、へぇ、そうなの、ディドロ、ってホントはそういう人なの、と勉強になった。
が、そういう怪物的思考の持ち主だから、なんなの、と思わなくもないのだった。読みやすい本だと思うし、言おうとしていることがすごくよく分かる。けれども、ディドロをダツコーチク的に読み直した本、みたいに読めてしまったりして、イマイチ楽しめなかったっす。
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