オリーヴ少女は小沢健二の淫夢を見たか?

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こういうアーティストへのラブって人形愛的ないつくしみ方なんじゃねーのかな、と。/拘束された美、生々しさの排除された美。老いない、不変の。一種のフェティッシュなのだと思います*1



 「可愛らしい存在」であるためにこういった戦略をとったのは何もPerfumeばかりではない。というよりも、アイドルをアイドルたらしめている要素の根本的なところには、このような「生々しさ」の排除が存在する。例えば、アイドルにとってスキャンダルが厳禁なのは、よく言われる「擬似恋愛の対象として存在不可能になってしまう」というよりも、スキャンダル(=ヤッていること)が発覚しまったことによって、崇拝されるステージから現実的な客席へと転落してしまうからではなかろうか。「擬似恋愛の対象として存在不可」、「現実的な存在への転落」。結局、どのように考えてもその商品価値にはキズがついてしまうわけだが。もっとも、「可愛いモノ」がもてはやされているのを見ていると、《崇拝の対象》というよりも、手の平で転がすように愛でられる《玩具》に近いような気もしてくる。


 「生々しさ」が脱臭された「可愛いモノ」、それを生(性)的なものが去勢された存在として認めることができるかもしれない。子どもを可愛いと思うのも、彼らの性的能力が極めて不完全であるが故に、我々は生(性)の臭いを感じない。(下半身まる出しの)くまのプーさんが可愛いのは、彼がぬいぐるみであるからだ。そういえば、黒人が登場する少女漫画を読んだことはない――彼らの巨大な男根や力強い肌の色は、「可愛い世界観」に真っ黒なシミをつけてしまう。これらの価値観は欧米的な「セクシーさ」からは全く正反対のものである(エロカッコイイ/カワイイなどという《譲歩》は、白人の身体的な優越性に追いつくことが不可能である黄色人種のみっともない劣等感に過ぎない!)。


 しかし、可愛い存在を社会に蔓延させたのは文化産業によるものばかりではない。社会とその構成員との間にある共犯関係によって、ここまで進歩したものだと言えるだろう。我々がそれを要求したからこそ、文化産業はそれを提供したのである。ある種の男性が「(女子は)バタイユ読むな!」と叫ぶのも「要求」の一例だと言えよう。しかし、それは明確な差別であり、抑圧である。



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 「日本の音楽史上で最も可愛かったミュージシャンは誰か」と自問したとき、私は小沢健二のことを考える。童顔で、ひねくれた歌詞を、ギリギリな歌唱力で歌う彼の姿はまさに少年そのものだった(菊地成孔も同じ指摘を行っている)。ゆえに彼は可愛い。しかし、そのような存在であり続けることを要求された、ということは少なからず抑圧になっていたのではないか。だからこそ、「大人になれば」分かること、大人になってから分かったことは歌わなかった。(そもそも不可能だったのかもしれないが)セックスのことなんて歌わなかった。

 当時のオリーヴ少女のことなどよく知らないが「小沢健二は擬似恋愛(擬似セックス)の対象として見られていたのだろうか」と考えてしまう。それよりも常に自分の手の内にあって欲しい人、大事にされてきたヌイグルミのような存在として扱われていたのでは?――小沢健二が打ち出したアンビエント・ミュージック的な音楽とは、そのような抑圧からの脱却だったのかもしれない。依然としてそこには「生々しい感覚」が除去されている。それは少なくとも、要求への裏切りにはなっていないギリギリの選択だったように思える*2



Ecology Of Everyday Life 毎日の環境学

Ecology Of Everyday Life 毎日の環境学









*18/30の記事のコメント欄より


*2:以上のエントリは、全てインチキです





11 件のコメント :

  1. どうも、昨日の通りすがりです。まったく通りすがってませんね
    はてなのPerfumeとはページの はてなブックマーク-「Perfume」を含む注目エントリーのトップ、しかも 25usersもついてるので
    つい来てしまいました

    今日はラジオの音声を貼っときます
    アイドル本人によるアイドルとは?論議なんかほかじゃ聴けません

    http://www.nicovideo.jp/watch/sm967994

    でここでひとつ質問ですが、昨日貼った動画ほんとに見てくれました?レス見返してみたらなんかオレが文字に起こした再生回数、賞賛コメントについてしか触れられてないので動画見てないんじゃないか?との疑念が頭もたげてきまして・・・
    もしかしてあなたの中で Perfume=見る価値なしっ!! ってなってるんじゃないかと思うんですが、
    まあそれもアリなんですけど自分の価値観から外れる物は完全シャットアウトじゃ視野が広がりませんよ

    >『Perfumeが好きになれないなんて哀れだなぁ』って思われるなら、どうぞ思ってください

    そんなこと思ってないですよ、気持ち悪い
    みんながみんな「Perfume好きだ-!」なんて言い出したらコワイですよ、逆に
    あとビジュアルは確かに弱いです。
    「今回のPVアップ多すぎ、もっと引きで攻めないと・・・」
    って声がPerfumeファンの間からも聞かれます。
    でも女の子のカワイさってルックスだけから来るものですか?違いますよね?

    ま、とにかくラジオ聞いてみてくださいよ。
    普通に女子大生3人とオッサンの会話としても聞いてもオモシロイですよ

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  2. 観てないです(ホントは観てない、とかじゃなくて『観た』って言ってないです)。ファミコンジャンプ2のプレイ動画見てました。価値観に外れたものまで拾ってたら、複雑になりすぎて生きづらいです。Perfumeを聴かない、という私なりのライフハックです(同様に私は政治についても考えません)。Perfumeに「価値が無い」とは言いません。しかし、少なくとも私にとっては「意味が無い」のです(というか、私にとってはもっと「意味がある」ことが他にある)。
    ここまで何度もコメントを寄せていただける、と「よっぽど気に障ったのだろうなぁ」とお察しいたします。しかし、それに対して謝る気などは毛頭ございません。こんないい加減に書いている記事にそこまで執着される、その「おかしさ」が良いですよね。
    何故、ここまで頑なに私がPerfumeを拒むのか(でも貶めてはいないんですよ、すごく誤読されてると思うんだけど)、そのことについて付記させていただくと「オタク的な感じがヤ」ということに尽きます。「PVはこうしたほうがいい」とかスタッフでもないのに、さも「裏側に回ろうとするような」態度が私は嫌です。また、そのように「裏側に回るような意思」を安易に呼び込むような《軽さ》も「あ、これは私は聴かなくて良いや」と投げてしまう要因です。
    ……とまた「嫌オタク流」に流れてしまいましたが、わかっていただけたでしょうか。

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  3. まともなレスがついて安心しました。
    Perfumeが貶められた!とか、謝れ!とか言う気は全然ありません
    あなたの意見も私なりに理解したつもりです。
    ただ一点だけ腑に落ちません

    >こんないい加減に書いている記事に

    これ自分の口から言っちゃっていいの?
    こんなこと書いたら毎日書いてる書き込みが意味無いものになっちゃうよ
    プロフィールのとこのブログの説明、哲学がうんちゃらかんちゃら書いてるけどそれもどーでもいいってことになるよね?
    web上の話とはいえこのような態度で臨んでいるということは根本的にこういう人なんだろうな、としか思えないよ。それでいいの?

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  4. はじめまして。火曜日, 18 9月, 2007

    ゆとり乙
    あなたの小沢健二論すてきです。
    その通りと頷いてしまいました。私の高校時代(といっても3年前ですが)は確かに小沢健二への擬似恋愛で過ぎていきました。
    でも、今でもそれは良い思い出です。
    あぁ駄文を書いてしまいそうなので、やめます。
    私はネオ渋谷系というもの全般に興味が持てません。
    あの方法論で音楽をする時代はもう終わりましたもの。

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  5. 3年前って全然リアルタイムじゃないじゃん!!すごい!小沢健二イズノットデッド!90年代イズノットデッド!!まー、私もリアルタイムでは「カローラIIに乗って」ぐらいしか知らなかったけれども……。

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  6. たまたま見つけたあなたのブログはおもしろいからパソコンのお気に入りに登録しておいたのですが、一度データがロストしてしまって、なんとか思い出したこの記事のタイトル「オリーブ少女は小沢健二の淫夢は見たか」でみつけることがやっとできました。

    00年代の佳境のいま、小沢健二とフレッド・フリスがインなものとして聴いている人のブログなんてあんまりないから、これからも読んでいきたいなと思います。
    そのうち、意見みたいなものがもたげたらまた、コメントしてみたいとおもいます。

    なんか上のほうに非常に今らしい(00年代の佳境の今らしい)
    楽しいやりとりがあったので、僕はもっとがんばった形で投稿してみたいなぁ
    (アドルノについて何も知らない時点の僕なんかすでに「お話にならない」の一言で一蹴されかねないなぁとビビっておるところだけど)

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  7. 今の今更ですみませんがコメントさせてください。
    アイドルに対する「恋愛御法度」って、松田聖子や中森明菜が人気だった頃はそうでもなかったんですけどね。
    松田聖子はデビューまもない頃から郷ひろみとお付き合いしていることが知られていたし、中森明菜もマッチとだったし。
    それでファンは歓迎ムードだったんです。なぜなら山口百恵の神話があったから。
    いずれ二人は結婚してさよならなんだ」という共通認識みたいなのがあってのことだったと思うんですけど、
    知っての通りどっちもとんでもない形で破局して、自らのアイドルとしての神話をぶち壊しにしてしまってから、
    アイドルが恋愛することに対して敏感になってしまう空気が形作られていったように思います。
    まあその後の朋ちゃんとかハロプロなんかは言うまでもありませんね。
    あと、

    >「PVはこうしたほうがいい」とかスタッフでもないのに、さも「裏側に回ろうとするような」態度が私は嫌

    私はPerfumeファンですがこれにはすっごく共感します。
    業界事情やら音楽理論やらを交えて「彼女らの為に言ってるんだ」的な文句を垂れる人、はてなにもほんと多いです。
    そんなにお詳しいなら企画書でもなんでも作って徳間やアミューズに行けばいいのに、って思います。

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  8. 当ブログのもはや若気の至りとも言えるエントリへとコメントいただきありがとうございます。「知っての通り」とおっしゃられましたが、私そのころ、おそらく自我が芽生えるか芽生えないかの時期でしたので、大変興味深いコメントとして受け取りました。「知っての通りどっちもとんでもない形で破局して、自らのアイドルとしての神話をぶち壊しにしてしまってから、アイドルが恋愛することに対して敏感になってしまう空気が形作られていったように思います」これは目から鱗のリアルタイムな証言で、私などは「タブー」になってからの空気感から知りませんので興味深く思われました。そうしたタブーが週刊誌的な売り物として扱われはじめたことも大きいと思われますが、ゴシップはどのように今のような形になったのか、というところは社会学的にも興味深いように思われます。『写真週刊誌の社会学』ってありそうですね。

    上から目線であれこれ言う、このブログも含めて批評的なことにはそうした性格がつきまとってしまいます。そのあたりはバランスですね。このブログも所詮アフィリエイト目的ではじめられていますから、根本的に卑しい態度だと思います。自分で何も作りもせずにアレコレ言う、というのは。

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  9. 通りすがりさんが私の「いい加減さ」を読んでくれないから書いたんですよ(とここまで言わないとわかってくれないことに若干歯がゆさを感じています。もっとわかり易くわけない自分が悪いのですが)。
    これはまた誤解されそうなので書きたくなかったのですが、オザケンのエントリもPerfumeのエントリも「こういうバカみたいな、短絡的な、穴だらけのエントリのほうがウケんじゃねーの?」って思ったんでやってみただけです(友達との長電話でしてるバカ話をマジメな感じにしてみただけです)。やってみたら思惑通りになっちゃって、そうなったら全然面白くなかったのでもうやりませんが。

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  10. ��普通に言ったらおもしろくもなんともないし、「オタクっぽいからヤ!」と一言で終ったらコミュニケーション能力を欠いたオタクと一緒だと思います
    「オタクっぽいからヤ!」といったほうがよっぽどまともなコミュニケーションだと思いますよ。
    だってそれがあなたの一番素直な感情なんでしょ?素直な感情ぶつけ合うのが一番いいです。
    あと政治についても考えないのもいいですが(いや、ダメか?)投票にはちゃんと行って下さい。大人としての責務です

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  11. コメントありがとうございます。00年代が佳境であることについて、とくに意識はありませんが、さまざまなものをパラレルに聴いていく、という行為は00年代的、とは言えるかもしれません。それを「横断的」と言ってしまえば、90年代的なものとして受け止められるのでしょうけれど。

    私は方法としてアドルノの言葉を借りているだけなので「お話にならない」での一蹴などはしません。

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