マイケル・ファラデー 『ロウソクの科学』

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ロウソクの科学 (岩波文庫)
ファラデー
岩波書店
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冒頭にファラデーの略歴があり、貧しい出自から体当たり精神とでも言うべき生き様で学者として認められ、科学史に大きな業績を残したことを知る。私にとってファラデーとはとても懐かしい名前で、完全に個人的な思い出話なのだけれども、中学時代の担任の先生が理科の先生で、学級だよりの誌名が『ファラデー』だったのだ。たぶん、先生はその由来を書いてくれていたのだと思うけれど、苦労した立身出世の人だとはまったく覚えていなかった。イギリスの王立研究所で教鞭を取るだけではなく、少年・少女に向けた公開講義にも熱心だったのは、自分がかつて教育で苦労したからなのだろうか。

本のもとになった講義は1860年のもの。驚いてしまうのはここで登場する実験の数々が、自分が中学のときに実際にやったものばかり、ということで。例えば、亜鉛に酸をかけると酸素が発生する、とか、水に電気を流すと水素と酸素に分解される、とか、懐かしすぎて、通っていた中学校の理科室のにおいまで思い出してしまいそうになる。

でも、この本の魅力は序盤の「ロウソクってなんで燃えるの?」というところに尽きた。正直、後半は中学の勉強で知っていたこと、もうすでに学校の勉強の枠組みで覚えてしまっていたことだったから、まるで復習みたいに感じてしまうのだよね。水は水素と酸素でできている、そしてそれは電気を流すと分解できる。そういう世界の仕組みを教え込まれてしまっている。「水はなにでできているの?」だとか疑問を持つ前に。

ここでファラデーは、ランプとロウソクを比較してみせる。ランプもロウソクも基本的には、燃料が芯となるものを伝わって火を灯す道具だ。でも、ランプと違って、ロウソクは個体なのに、どうやって燃料が炎のあがっている場所まで運ばれるの? といきなり問われたら、え!? たしかに、なんでだろう、と思ってしまう。この「日常にあったものが、急に不思議なものへと転倒するマジカルな問いかけ」がとても良い。ファラデーの解説を読んでしまえば、あ、そういうことだよね、知ってた、知ってたわ〜、と言いたくもなるのだが、一瞬、なんかロウソクってすごいんじゃないか、と思わせられてしまうところにヤラれた。

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