いま宮台真司を読むとどう思うんだろう、と思って手に取った一冊。宮台真司がいろんな人の小説だの写真集だのに寄せた解説文をまとめて、さらに「被解説者」に「解説されてどうだったか」を訊ねた談話をセットにした本。2000年に刊行されているのだが、当時の宮台真司がまぁまぁイケてる文化人だったことが窺い知れる。というのも、この「被解説者」が軒並み「宮台はどうして自分が書こうとした意図がこうもわかるのか!」とか言っちゃってるのである。その例に漏れているのは、唯一、写真家の吉永マサユキのみ。「理屈っぽく述べることによって、自分の言っていることが正しいんだとしているような感じを受けます」だとか「実際に生きるか死ぬか、いつどうなるかわからない、刹那的な時間の中で生きたことのない人のような気がします」だとかブッタ切っていて、痛快。
あと、この頃の日本ってまだ豊かだったんだな、余裕あったのだな、って思ったんだよね。だから風俗とかブルセラとか援交とかを、宮台みたいに語ることが許されたんじゃないか、と。たとえば「女性ならば風俗で数ヶ月は働いて性的コミュニケーションの現実を学んで欲しい」とかさ。こんなのもうアウト、っていうか退場でしょ。語りのモードが全然変わっちゃってる。風俗を語るにしても、いまや、貧困とセットみたいになってて、社会学的な分析してる余裕なんてないよ、って感じで。
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