升田幸三 『名人に香車を引いた男: 升田幸三 自伝』

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名人に香車を引いた男―升田幸三自伝 (中公文庫)
升田 幸三
中央公論新社
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もはや旧聞に属する話であるが、世は将棋ブームみたいになっている、らしい。今年も将棋関連の映画が複数公開され、将棋漫画も人気だ。わたしも例に漏れず、去年の暮れぐらいからオンライン将棋をやっていて(途中、忙しくてまったくできない期間を挟み)今も1日3局以上は指している(やりはじめの頃は、こんな本や、こんな本を読んだ)。すっかり休日の朝なんか、NHKの将棋番組をつい見ちゃいます、ぐらいのライトな将棋ファンのわたしだが、まぁ、自分で(勝つ将棋)将棋を指すのが一番楽しい、として、将棋の勉強をちゃんとするほど情熱や時間があるわけでもない、となると、棋士のキャラクターだとか人生だとかに含まれた物語を楽しむ、というのが2番目ぐらいの楽しみになってくる。

日本の将棋会において、もっとも破天荒なキャラクターを持っているのが、この升田幸三であろう。広島のど田舎で生まれて「この幸三、名人に香車を引いて勝ったら大阪に行く」と書き残して、家を飛び出し、その後、実際に香車を引いて名人に勝ってしまう、大酒を飲み、他の棋士に対して言いたい放題良い、問題児扱いされながらも、新たな将棋を創造していった……升田が引退を決めたあとに振り返った自分の人生は、非常にコクがあって読み応えがある。カラヴァッジオ的な人物、とでも言えるだろうか。こういう人物が世に出られた時代は、おおらかな時代だと思う。

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