ブーレーズのブーレーズを聴いた

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Boulez: Pierre Boulez Edition
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Pierre Boulez
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 引き続き*1、ピエール・ブーレーズ85歳&京都賞受賞記念CDセットのお話。本日はブーレーズ御大の作品を御大自ら指揮したモノを集めたセットについてです。ここには《ル・マルトー・サン・メートル》はもちろんのこと、ブーレーズの代表曲ばかりが集められているのですが、個人的には《弦楽のための本》が収録されているのが嬉しかったですね。この作品、私が初めて聴いたブーレーズの作品でして(当時高校3年生)、2002年にマウリツィオ・ポリーニが「ポリーニ・プロジェクト」という企画で来日した際のコンサートで演奏されていて、そのライヴの模様がBSで放送されていたんですが、これは……! なんなのだ……! という衝撃を受けた気がします。


D*2

 今聴いてもこの作品は良い曲だなぁ、って思う。今でこそ「西洋前衛音楽の絶対王者」みたいにブーレーズは考えられているような気がしますけれど*3、シュトックハウゼンやノーノ、クセナキスといった同世代に比べれば、その作風はかなりまろやかなものと言え、ロマンティックなものに聞こえます。《弦楽のための本》はその「まろやかブーレーズ」の象徴的作品のような気がし、そのまろやかさのなかに、20世紀音楽の始まりである新ヴィーン楽派との連続性を強さを感じてしまうのでした。「オペラ座を爆破せよ!」などという発言が有名なブーレーズは一見、ロマン主義に対する嫌悪感が強そうな風に思えるのですが、その内実は20世紀に活躍した作曲家のなかでもっともロマンティックな作曲家だったのではないか、と思えます。




 あと《儀式――ブルーノ・マデルナの追憶に》という作品を聴いて「へー、こんな曲も書いていたんだなぁ」と思いました。これはなんだかお経みたいな作品で、ギロやゴングやサンダーシートや太鼓といったリズム楽器がそれぞれズレつつも、同じリズムを刻む上に、長い声明のような旋律が重なっていくのが面白い。ブルーノ・マデルナ*4の追悼にふさわしい曲かどうかは分かりませんけれど、ブーレーズの作品にしてはかなり音数が少ない作品で、ちょっとした異色作なのかな、と思いました。ほかの作品はセリエル全開な音の密度の作品ばかりで結構聴く体力がいるのですが、ダンサブルな瞬間があって超カッコ良い。




*1ヴェーベルン、カーター、ヴァレーズ、ベリオを聴いた - 「石版!」シェーンベルクの声楽作品をモリモリと聴いた - 「石版!」


*2:《弦楽のための本》の自作自演映像。オーケストラはヴィーン・フィル


*3:長生きしてるから、偉そうだから、という理由で。たぶん


*4:マデルナの名前を聞くといつも「マデルナ危険」というダジャレを言いたくなるのは私だけではないでしょう





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