毎度おなじみ流浪の散歩グループ《Tokyo Walkers》第5回が2012年6月30日に開催されました。今回は、JR川崎から羽田空港まで練り歩く約10キロの道のり。急逝した地井武男さんに思いをはせながら歩きました。
天気は驚くほどの快晴。じんわりとした蒸し暑さがつらかったものの、時折強い風がそのつらさを拭ってくれるのが心地よかったです。
川崎市役所の前には工業都市らしい電光掲示板が。
駅から少し離れただけで、川崎のハードコアな部分が嫌でも目に入ってくる。整備された並木通りを歩いていたはずが、どうして僕はこんなところに……。迂闊にカメラのレンズを向けることすら叶わない深淵がさらにこの先には広がっていました。
そう、そこは吉原に次ぐ関東第二のソープランド街、堀之内。国道沿いを歩いているだけでも目に入ってくる看板の怪しさは通常とは違う重力を帯びているようで、勇気のない人たちはカメラを遠慮がちに向けることしかできない。ソープランドの前に立つ、蝶ネクタイをつけた男性、そして、その前に止められたメルセデスの迫力たるや、深淵を覗き込むような心地にさせられるのです。信号待ちのあいだにふと隣に立ったおじさんの腕に目をやるとそこにはご立派な彫り物が。もちろんそれを撮影することなどままなりませんが、特異な重力は記憶に深い傷のような印象を残します。
欲望のうごめきは、川崎競馬場という聖地のなかで煮えたぎり、幸運によって欲望を延命することができたものたちが吸い込まれる場所として、堀之内があるのでしょう。それにしても南武線沿いは府中の競馬場・競艇場、川崎の競馬場・競輪場、となにか人間の情念のようなものが活発になりそうな路線であって、いつ硫黄と火によって滅ぼされてしまうのかわからない。
しかし、川崎は人間の生活、というものをまざまざと見せてくれる都市でもあり、それはまさにカルマを堂々と見せつけられる空間であるとも言えるのです。勇気を出して国道沿いから一本内側の道路に入ってみると、すぐにインダストリアルなものが目に入り、文明のにおいがしてきました。
これが川崎なんだ。
そしてこれが味の素なんだ。鈴木町駅は、昭和4年に「味の素前駅」として開かれた歴史があるそう。会社のために駅が存在しているというのが超一流企業っぽい。
歩いたらすぐに川崎大師駅につきました。それにしても、この表参道の入り口看板はアド街感があふれてきそうだ! おまっとさんでした、お前も、アナタの街の宣伝部長にしてやろうかっ!
宣伝部長になる前に暑かったのでビールを飲みながら、うどんを食べたり、名物の久寿餅を食べたりしました。住吉屋総本店さん。さて、ここからが本番です。
いろんなサイズ、揃えています。第6位、だるま屋。(山田五郎)「そもそも川崎大師は、真言宗のお寺さんなのに、どうして達磨が有名なのか……謎ですねえ」
(トントントン、カッ)リズミカルな商店街です。第5位、仲見世商店街。(峰竜太)「あとで出てくると思うんですけど、飴作りの実演販売をしてるんですね。かなりお年を召した職人さんが手早く飴を切っていくのを見ると歴史を感じますよ」(山田五郎深くうなづく)
地井さんもいらっしゃってました。
疲れたので普通に紹介していきますが、川崎大師の本堂にお参りしたところ、ちょうど護摩行がはじまり、ド迫力のお経パフォーマンスを見ることができました。真言宗は密教の直系ですから儀式がかなり派手。和太鼓が激しく打ち鳴らされ、鳴りモノが響きまくる様子から音の曼荼羅をイメージしてしまう。
お参り後、川崎大師表参道の商店街を再び進みます。
途中でまた川崎のハードコアを垣間見せられるスポットに寄り道。ネオジオ筐体がたくさん置いてあったゲームセンターは『1973年のピンボール』を彷彿とさせます。メンバー一同、無言で通り過ぎました。
商店街の終端。看板が歪んできている建物が多々見受けられ、怖い。
大師ジャンクション。料金所の下などはなかなか見れないモノであります。「歩かなければ見えない風景がある」(新しいキャッチコピー)。
多摩川を渡ると羽田空港までのバス通りを進みます。ここも一歩通りを外れるとすごい濃い生活空間が広がっているところだった。
海だ、と思ったらまだ多摩川だった。
D滑走路が丸見えです。
ゴールはもうすぐそこ。
なぜか魚のしっぽが落ちていてホラー。
着きました。
キッチュ感覚にあふれるお土産コーナー。
着きました。
おつかれさまでした。
(おなかが減りました)
蒲田に移動して餃子の有名店「你好」でビールを飲みました。美味かった。
そしてまた歓楽街を通って帰ります。以上、活動報告でした。
さて、いつもの新規メンバー募集です。流浪の散歩サークル《Tokyo Walkers》では随時新メンバーの募集をおこなっております。職業・経歴・年齢などを問いません、普段は歩かないところを歩きながら和やかに会話したりすることに興味がある方、各イベントの参加はその都度任意ですのでお気軽にFacebookのグループに参加申請を出してみてください。システム・エンジニア、医学生、デザイナーなど、多様なメンバーでお待ちしております。次回は、暑さが和らいできた頃に川越あたりを歩く予定です。なんか今回も東京始まりじゃなかったので、名実がともなってない感じがしますが、行ったことないところ、見たことないものを今後もさぐっていきますよ。
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