中島ノブユキ / clair-obscur

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clair-obscur
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中島ノブユキ
BounDEE by SSNW (2014-02-19)
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わたしが中島ノブユキの名前を知るキッカケは、菊地成孔のアルバムに編曲者・作曲者として参加していたことで、とにかくしっかりとしたクラシカルな書法を学んだ人なんだな、という風に思っていた。最近は、大河ドラマの音楽をやったり、ジェーン・バーキンのツアーに参加したりと露出も増えていて、中島ノブユキは近年最も注目されている(ゴーストライターがいない)職業作曲家と言えるだろう。『clair-obscur』は彼の2枚目のピアノ・ソロ・アルバムとなる。

もっぱら中島ノブユキの仕事はストリングスのアレンジなどに触れているだけだったので、ピアノ曲はどういうものがあるのだろうか、と気になった。今回のアルバムには(陳腐な物言いになるけれど)「ECM的な深遠さ」を感じさせる楽曲が収録されている(なんかジャケットもそんな感じだ……)。「ソニア・ブラガ事件」(菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールに提供した楽曲)のような高度な対位法を用いた、偽バルトーク的な作品を書く人のイメージからは遠く離れている。

ピアノも作曲者自身が演奏しているが、高度な超絶技巧が要求されるものではない。これは音そのものよりも、放たれた音が消えゆくまでのレゾナンスに耳をとぎすませたくなる音楽である、と思う。ちょうどそれがアルヴォ・ペルトや、パウル・ギーガーの音楽を想起させ「ECM的な深遠さ」という表現を思いついてしまうわけだが、楽曲そのものが彼らに似ている、というわけではない。逆に「○○風」とつけられるようなぴったりのラベルが見当たらない気がする。唯一「aria」という楽曲は、晩年のショスタコーヴィチが書きそうな言葉の少ない美しさがある、と思ったけれど。

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