梅原 猛
集英社
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『地獄の思想』では、仏教の思想を勝手に3つに分類し、そのうちの「地獄の思想」が日本文学の根底をなしている! という観点から、源氏物語や平家物語などなどを読み解いていく試みがなされている。この地獄の思想ってどんなものか、っていうと、人間が生きてるなかで出会う苦しいことを誇張した形で表現したものなんだ、という。地獄にはこんな苦しみがある。でも、それって日常の延長線上にある苦しみだよね、と。で、源氏物語や平家物語とかには、そういう苦しみが描かれているんだ、と。近代以降は、宮沢賢治とか太宰のなかに、この地獄の思想が見事に表現されているとかさ。
でも、そんなこと言ったらさ、文学なんかだいたい日常の延長線上にあるじゃんね、とわたしは思ったんである。そしたら、別に日本文学だけじゃなくて全文学が地獄の思想じゃんねー。
「もともと自分は西洋哲学をやっていて、日本文学は専門じゃない。けど好きなんで、専門家にはできない自由な読解でちょっと書いてみたよ」的なことを書いていて、なんか「昔は洋食やってた人がラーメン作ってます」みたいなテイストであると思った。能や短歌、俳句など自分がよく知らない日本の芸能や文学に関して、少し興味をもつきっかけにはなったけれども、この人の読解で、なるほど、みたいなものはあんまりなく、なんでこんな人がたくさん本を書いて出せるの? という不思議ばかりが高まる。
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