空中キャンプ『下北沢の獣たち』

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 先日の文学フリマで入手した本は2冊*1。そのうちの1冊が空中キャンプさん(id:zoot32)の『下北沢の獣たち』で、これを今日読み終えた。イベント当日は、行列ができるほど空中キャンプさんのブースは賑わっていて、UMA-SHIKAの2倍ほどの部数が出たそうである。たった1人でこの集客力……!と目を丸くするほど驚いて、イベント終了後に「次回は一緒にやりましょう!是非!」と営業させていただいたのは言うまでもない。





 内容の方も素晴らしく、いや、これはお世辞でなく素晴らしかった。収録された3本の短編に出会えただけでもイベントに参加した意義を感じるぐらい、とても感銘を受けた。あっという間に読み終えてしまうぐらいの短さ、にも関わらず、登場人物がとてもよく動いていて「ああ、こういう風に物語を動かせば良いのかぁ」と勉強になった。こういった優れた短編が、文芸誌以外の雑誌に掲載されていたら良いのになぁ、と思う。ちょうど『エスクァイア』誌にフィッツジェラルドが作品を寄せていたようにして。ファッション誌であっても良い。『mini』とか『PS』とかに載っていても、おかしくはないと思う(それはチャーミングな表紙の印象との相乗効果があるかもしれない)。





 私は空中キャンプさんの文章によく「社会学的なものの考え方」を強く感じることがある(直接お訊ねしたことはないけれど、かなり専門的に勉強された方なんじゃないか、と想像している)。それは普段書かれているブログのエントリについても言えることだし、もちろん、今回の作品集にも反映されているように思った。例えば、表題作「下北沢の獣たち」では暴力の正統性の問題が、「アイコ六歳」では自由の問題が、「ひとすじのひかり」では現実のあやふやさと言った問題が、それぞれ問われているように感じる。とくに「下北沢の獣たち」のラストで、猫の視線から批判的に描かれた「まっとうのように見える人間の気持ち悪さ」のようなものは胸に刺さる。個人的にはこの作品を最も興味深く読む(『下北沢のアイヒマン』という言葉にもやられた!)。




*1:どちらも交換していただいたもの





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