曽我部恵一『昨日・今日・明日』

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昨日・今日・明日 (ちくま文庫)
曽我部 恵一
筑摩書房
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 私は、曽我部恵一の良いリスナーであるとは言えない。その証拠に、サニーデイ・サービスのCDも曽我部恵一バンドのCDも一枚として持っていないし、だれかに借りて聴いたこともなかった。彼の音楽に触れたのは、たまたま行ったロック・フェスですごく遠くから、ぼんやりと眺めているときだけだった。「おんなのこーー!!」「おとこのこーー!!」とか叫んでるのを見て、この人はなんだかロック・スターっぽいオーラを持った人だなぁ……それもとびきりアポロン性の……と思ったものだ。それだけ。繰り返すが、私は、曽我部恵一の良いリスナーであるとは言えない。自分のバンドでカバーをやったりしてるのに……。彼のエッセイを読んでみたのもほんの気まぐれで「きっと毒にも薬にもならない文章がたくさん載っているのだろう」とか思ったからだった。仕事が忙しかったりすると、時折そういった文章が読みたくなる。



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 予想通りに、この本は毒にも薬にもならない文章がたくさん溢れていて、とても良かった。サニーデイで活動していた曽我部が九〇年代の後半にこの本に収録された文章群を書いた頃、彼は現在の私とそう歳が変わらない二〇代の青年であった。この年齢といえば、もう立派な大人、である。この本を読んで、ひとつ個人的な教訓を得られるとしたら、おそらく、そういった立派な大人とみなされる年齢の男が、こういうクサいことを書いていても許されるのだ、ということだろう。もちろん、それはある種の人間に対して、特別に許されることかもしれないが、ほとんど三〇歳になっていても「青春!」とか言っても良い人たちがいるのだ。そのことはほとんど希望のようにすら思える。たぶん、身近にそういう“許された人”がいたら、うっとおしいと思うのだろうが。



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 読み終わったら、なんとなくバッドフィンガーが聴きたくなって大きな音で聴いた。





1 件のコメント :

  1. 久しぶりに読みなおそうかと思ったけど、実家に忘れてきていることに気付きました。
    この次にでたやつは読んでないんだよね。

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