聖書というテクストについての知識について増えているわけではなく、イエスの言行録である福音書がなぜ4つもあるのかもよくわからないのだが、イエスの生涯は繰り返し読んでも面白い。ジョルジュ・ミノワの『悪魔の文化史』でも指摘されているが、旧約よりも新約聖書では、神(そしてイエス)と悪魔のという善悪のコントラストがはっきりしていて、一層わかりやすさに拍車をかける。またパウロ書簡と呼ばれる手紙シリーズでは、あれをするなこれをするな、と道徳的なことに対する指示がある。
そうそう、こういうのですよ、宗教的なテクストって、戒律とか書いてある感じの、と思って、読むのが楽しかった。面白いのに読み始めるとすぐ眠くなってしまうのだが。そうした大変に「わかりやすいテクスト」群の最後が「ヨハネの黙示録」という謎めいたテクストである、という構成も良いじゃないですか。阿呆のような物言いだけれども、この本、ベストセラーになるのもわかるな、って思う。
福音書のなかでは個人的に「ゲッセマネの祈り」が気に入っている。イエスが十字架刑をさけようと神に祈りを捧げ、ふたりの弟子に「寝ないで一緒に祈ってください」と指示をする。イエスが祈りを終えると、寝ないように、と言ったはずの弟子たちは眠りこけている。「寝てるし〜〜!」と椅子からズッコケたくなるようなシーンだ。
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