細見 和之
中央公論新社
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著者の研究対象のメインどころがアドルノ、そしてベンヤミンだからその部分の分量が多いし、そもそもベンヤミンはフランクフルト学派なのか?(それはエーリッヒ・フロムなどにも言える)という疑問も浮かぶだろう。が、ベンヤミンがアドルノに与えた影響を考えると、本書で扱われてはいけない理由はなく、むしろ適切な感じもする。『アドルノ: 非同一性の哲学』も絶版だし、いま、アドルノにもっともコンパクトに接近できる本だろう。あと、裕福な同化ユダヤ人という彼らの生活的な背景や、思想家たちが生きた時代についても丁寧に説明しているのも良かった。
個人的に「はぁ〜、勉強になるなぁ」と思ったのは、ホルクハイマーとアドルノの次の世代であるハーバーマスについての記述で。「アドルノやホルクハイマーの仕事を、もう一度アカデミックな研究領域に引きもどす、という大きな作業を行った」と書いてある。そういえば、わたしはアドルノとハーバーマスを、アドルノはアドルノ、ハーバーマスはハーバーマスという感じで読んできたから、そうか、そういう風に繋がってたのかあ、と思った。アドルノが戦後ドイツでラジオやテレビに頻繁にでてた、という記述も「へぇ〜」と思いました。まぁ「いま、なんでフランクフルト学派?」とも思うんだが……(本書は2014年に出てる)。
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