マルセル・プルースト『失われた時を求めて』(13)

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失われた時を求めて 13 第七篇 完訳版 (13)
マルセル・プルースト 鈴木 道彦
集英社 (2007/03)
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 アドルノはバッハの仕事場を「時間が失われた場所」と表現したが、プルーストもそのような場所で物を書いていた人ではなかったか、と思う。19世紀末的な空気を残した社交界の空気やドレフュス事件、それから第一次世界大戦……物語中にはプルーストの生きた時代の情景が含まれている。そういった意味では、この作家は「時代と共に生きたコンテンポラリーな作家」であったろう。しかし、この最終巻で円環的に物語が閉じられていくのを読んでしまうと、それらの時代性はベタに《時代》と接続されたものではなく、そこから離れて空中に浮いたような存在感を持っているように思えてくる(それこそが、この小説が普遍的に素晴らしいと思わせてくれる要素なのかもしれない)。





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