PRINCE/『Planet Earth』

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Planet Earth

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 殿下の1年ぶりの新作。この天才アーティストに関して言えば「最新作がいつも最高傑作」だと思うことにしているのだが、今回も最高だ。昔の機材を引っ張り出して録られた前作『3121』は、その妙な懐古感のおかげで「最高……でも、昔を振り返るなんて……引退宣言とかしちゃうのでは」と心配になったけれど、まったくの杞憂であった。


 しかも、今回のアルバムは宅録の世界から飛び出して「現代的なスタジオの音」になっている。鼓膜を深く振動させるソリッドなドラムや厚みのあるベースのサウンドがカッコ良い。こんなストレートで骨太なカッコ良さは、これまでのプリンスにあったか、とも思う。ジャケット写真に写った、絶妙にトリミングされた殿下の胸毛が、その骨太加減を象徴するかのようである。


 言うまでも無く、胸毛は男性性を力強く強調する。このことはプリンスについて真剣に考えてたとき、驚くべきことなんじゃなかろうか。昔はハイヒールに女性用の下着を装備して激しくダンスしていたプリンスが、今は胸毛を露わにして骨太な音楽をやっている。以前のような倒錯やネジれた要素の色が薄まっていることは明らかだ。この転回はなんなのだろうか……と深く考えざるを得ない。プリンスがこんなにマトモになるだなんて……。


 殿下も今年で49歳(49歳でこの音かよ!すげぇな!!)。この変化は単なる「落ち着き」なのかもしれない。また、「抑圧と倒錯」というアメリカの裏側を描きだしていたプリンスが、今度は「表側」を描き出そうとしているのでは……とインチキな精神分析を試みてもしっくり来てしまいそう(これと対照的なのはマイケル・ジャクソンである。彼は一貫して『正しさ』を体現しようとする表側の人間だったけれど、その『正しさ』への志向が過剰なあまりに結果として倒錯してしまった感がある。これもまたアメリカ的なのだが)。



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