立川談志 『人生、成り行き 談志一代記』

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人生、成り行き―談志一代記 (新潮文庫)
立川 談志 吉川 潮
新潮社
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立川談春の『赤めだか』*1が話題書となったのもかなり以前のこと、という気もしますが、弟子の本があれだけ面白いのだから立川流の家元の本はさらに面白いのだろう……、と思いきや、これはちょっと拍子抜け。それもこれも聞き手の「演芸評論家」、吉川潮という人物が悪い。談志の語り口は猛スピードで駆け抜けていく、荒馬のようなあの調子が文面からも伝わってくるのですが、合間にはいる聞き手のヨイショや相づちにまったくリズム感がなく、これは本当に残念な本だと思います。とくに落語協会分裂騒動のあたり。聞き手は、あの事件の真相はどうだったのか、などとゴシップ的なところを突っ込もうとするのですが、そんなこと果たして誰のためになるのでしょうか? 演芸評論家を名乗るのであれば、もう少し、落語によった話を聞いたら良いのでは? と端的に思いました。元は『小説新潮』に掲載された連載から本になったものだそうですが、連載当時だって談志は70歳を超えて「人生の整理にかかっている」時期だったわけです。それが、半分近く、議員時代や騒動のネタばらしに時間が裂かれていて良かったのでしょうか。また、この評論家の先生の嫌なところといえば「自分は《分かっている》が、ほかの客は単にきどっているだけでなにも《分かっていない》」という高慢な態度が各所に見えるところです。これは本当にヒドい本だと思う。談志のブランドだけで文庫化までされている、という感じで、本の内容は弟子の『赤めだか』のほうがずっと面白い。





読んでいて面白いのは、談志が志ん朝に真打昇進を抜かされる直前までぐらいの話まででしょう。ここは戦時中に生まれて、芸の道へと進み、才能を開花させていくまでのビルドゥングロマンス的な語りが聞き手の邪魔無しで記録されている。ホントにそれ以外は読み捨て上等、な内容だと思います。






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