ジョン・カサヴェテス / アメリカの影

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現在、吉祥寺のバウスシアターで『ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ』が開催されています。この監督については以前に『グロリア』だけ観ていて「おお、なんとかっこいい映画なのだろうか〜」と腰が抜ける思いだったので、この企画を知ってから「行かねば」と思っていました。まずはデビュー作の『アメリカの影』を。俳優にその場で即興的に(インプロヴィゼーションで)演技をさせた、え、だから音楽がチャールズ・ミンガスなの! という出オチ感はあるんですが、とても面白かったです。え、こんな童貞くさい1959年に撮られてたの!? と思いましたし、童貞感の普遍性のようなものさえ感じさせてくれる。主人公の一人が黒人差別を目のあたりにしてナイーヴになったり、ナンパした女性に先約があってケンカになってフルボッコになったり、という負け方が気持ち良いほどであって「童貞こじらせている人みんなに観てもらって、グッときたり、みじめな気持ちになってもらいたい」と思いました。

あと、女主人公がパーティーで出会った男と一晩を供にする、という流れがあって、そこで「初めてだったとは、知らなかった……」というアレな展開があるんですけど(処女なのに恋愛小説書いてたり、コケティッシュなふるまいをするんだよ!)、そこでまた「結ばれるって、身も心も結ばれることなんじゃないの?」と処女のロマンティック・ラヴ・イデオロギーが爆発するところも最高で。うわ、ウザッてなるじゃないですか。そこが良かったです。で、相手の男は「責任とってよ」と言わんばかりに「私と同棲できる?」と問いかけられんですが、そこで一瞬「ウッ」ってなって、その「ウッ」を女の側は見逃さないんですよね。それがさらに良かった。この「ウッ」ってなる男がまた、80年代だったらザ・スミスを間違いなく聴いてそうな男なんだ……(そして、ちょっとモリッシーに似てる)。

一本の太い筋が通ったストーリーがあるわけではないビート文学的な青春群像、ってこういうのなんでしょうか。ビートニクには強烈な苦手意識があるんですけど、これはハマった。すっごい、異様なリアリティを放っていたなあ、と。公開時のカサヴェテスは29歳だったそうで、出演者も20代前半だったみたい。なんかそういう若さがフィクションのなかに包まれてるような気もする。日本よ、これが映画だ、ですよ、まったく……。

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