実在のブランド(ジミー・チュウの靴がやたらとでてくる気がする)や洋服の記述はさすがにファッション・モデルだな、と思わせるところがあるし、小説の主人公が人気モデルとして成功するまでの道のりには、ダイエットやスキンケアの情報も含まれている。例えば「基礎化粧品は、包み込んで閉じ込める感じで入れていくこと」とか……。小説のなかにファッション雑誌が組み込まれている、といっても良いこの構造は、田中康夫かよ、とも思わされ、またもや、もしかしたら天才かもしれない、と思う。これは凡百のケータイ小説にはない特徴だろう。正直、割とどうでも良い情報ではあるので、軽く読み流してしまうのだが。果たして押切もえファンの女性が、これを読んで、なるほど、お役立ち! となるのだろうか。いや、押切もえファンであれば、この手の情報はすでに常識なのでは……では、誰のための情報なのか……と疑問に思うところがあるけれど。
ベタな展開もだんだん、気持ちよくなってくるんですよね。以下、ネタバレですが、枕営業未遂のシーンでビデオを回されてるとか、最高だな、と思ったし、主人公は最終的に東京ガールズ・コレクション的なイベントにでれるぐらいまで成功するんだけれども、そこでライバル・モデルに怪我させられたりするんだよ……。そのライバルがまた努力で成功をモノにしてきた主人公と違って、天才タイプで成功していくタイプ、なんだけれども「自分がなにやりたいか」とかよくわかってなくて、もう夢に向かって必死感だしまくってる主人公がうらやましい、という動機で怪我させられたりするんだけどさ……これが最終的に主人公の説教によって回心し、「自分も夢に向かって頑張るね」的な和解に至るんだよ!!! すごい、なんかジャンプ漫画みたい!!!!! 天才かもしれない!!!!!
というわけで、押切もえさんの次回作がでたらまた読むんじゃないかな、と思うに至っています。
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