荻野 美穂
岩波書店
売り上げランキング: 29,495
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本書の帯には「わたしのからだは、誰のもの?」とある。この疑問文は、本書で取り扱われている問題の根底にある命題になっているのだろう。女性の身体は、その身体を持つ女性のもの、であるにも関わらず「人口問題」や「労働力の問題」といった観点から、言わば、社会的な所有物のように扱われ、そして経済的にも・政治的にも搾取されてきた。日々インターネットを使っているとフェミニストによる声は自然と目に入ってきて、その声は多くの場合、「怒りの声」として受け取られているように思う。本書を読むと、なぜ、彼女たちは怒らなくてはいけなかったのか、が腑に落ちるような気がした。
ただ、こうした感想を書き「興味深く読みました」とまるで他人事のように綴ってしまうことが、実際に闘争に関わってこられた人たちの目にどう映るのか、は悩んでしまうポイントでもある。ものすごく身近にある問題の深刻さを明示してくれる意味では良書だし、ウーマン・リブの活動家と障がい者団体とのあいだの緊張(障がいを持った胎児を中絶することを女性の権利だと訴える主張と、その主張が障がい者差別であるという主張の対立)などとても考えさせられるのだが「考えて、それで?」と問われると言葉に窮してしまう。
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