諸星大二郎『汝、神になれ鬼になれ――諸星大二郎自選短編集 』

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 会社帰りにふと漫画が読みたくなったので久しぶりに諸星大二郎の本を買う(ホントは『まんが道』の続きが欲しかったのだけれど、最近、どこにいっても2巻だけない、という事態に遭遇する。トライステロ的な秘密結社による陰謀としか思えない……)。いくつか既に読んだことのある短編が含まれていたが、とても面白く読んだ。



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 巻頭に収録された「生命の木」からしてこんな具合である。最高に胡散臭くて良い。高校時代に国語の先生が古典の時間に「諸星大二郎という漫画家がいてな……。あれぐらいすごい古典の教養がある人はいないと思うんだよな」とブツブツ言っていたのを思い出す。諸星大二郎作品に漂う胡散臭さは、深い教養によってネジれたリアリティとしての裏づけがおこなわれている。だからこそ、読んでいて「気味の悪さ」を感じるのだと思う。


 この気味の悪さは、サスペンスや「Jホラー」とは怖さの本質を異にしているように思われる。独特である。「この後どうなっちゃうんだろうか……」とドキドキさせられる(サスペンス)のとも、「うわー、絶対次なんか怖いの来るよ……」とビクビクさせられる(Jホラー)のとも異なった感覚である。なんか背中にヌルヌルした不快なものがくっついてくる感じ。これはちょっとボルヘスの小説を読んでるときの不吉な感じとも似ているのかもしれない。かなり淡々と進む漫画なのに、面白く読めてしまうのはこの不思議な感覚に魅了されているからなのだろう。





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