井口昇監督作品『片腕マシンガール』

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片腕マシンガール [DVD]
NIKKATSU CORPORATION(NK)(D) (2009-01-23)
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 会社の上司が「これを観ろ!」と言ってDVDをくれたので観た(一緒にいただいたのは野村芳太郎の『鬼畜』)。上司が私をどうしたいのか、果たしてこの会社に入ってよかったのか、さまざまな不安が脳裏を過ぎったが、そこは日本のサラリーマン。上司の命令は絶対である。正座で鑑賞した。胃のあたりに軽い不快感を感じながら……(スプラッターとかホラーとか基本的に苦手なので)。でも、尺の短さもあって退屈しないで観れたので良かった。しばしば「くだらねー!」と声を出して笑ったが、単にそれだけのために1時間半を費やすことの虚しさみたいなものが木枯らしのようにやってきてしまう。それでも『20世紀少年』よりはマシだったから多少救われた感じもするけれど、虚しくなるか、満足感があるか、で映画ファンとしての純度が判別できるのかもしれない……。後者であれば(嫌味でなく)尊敬に値すると思った。





 女子高生、人体破壊、血、忍者、引用……さまざまな記号が散りばめられた、というか記号の集積によって成立したコラージュ的な物語の流れは、あからさまに、不自然な流れ方をする。このご都合主義と揶揄できそうな不自然な流れは、ギャグとして取り扱うべきものなのだろう。観客はそこで製作者側の外部からの介入を強く感じる。そして「なんでそうなるのだ!」というツッコミは物語ではなく、物語の裏側(外側)にいる製作者に向けられる。私の貧しい映画体験のなかでここまで介入を感じたものはなかったので、そこが新鮮だったりもした。





 ここまで強烈な不自然さを目のあたりにすると、自然に流れていく物語も相対化できてしまいそうだ――しかし、相対化というよりも、不自然な物語も、自然な物語も根本的には同質なものであるような思いのほうが大きい。不自然であっても、自然であっても、物語は製作者の都合によって常に流れるものなのだから。こう考えると「ご都合主義だからダメだ」とか「自然だから良い」とか「論理的で素晴らしい」とか「非論理的で馬鹿らしい」といった価値判断がなんだか不当なもののように思えてくる。





 「くだらねー」とか言いつつも、映画を観るという行為そのものについて考えさせられた一本だった。





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