デヴィッド・フィンチャー監督作品『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

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The Curious Case of Benjamin Button [Original Motion Picture Soundtrack]

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 とても良い映画。収束したと思われたシークエンスが意外なところで再度物語に復帰してくるところなどがとても小気味良く、途中自己啓発みたいな金言が挿入されるにも関わらず、違和感なく、気持ち良く鑑賞することができた。スコット・フィッツジェラルドの原作は読んでいないが(どこまでが原作に寄っているのかまったくわからない)、ブラット・ピット演じる主人公の幼年(老人)時代にニューオリンズ・ジャズらしき音楽が流れているところなどにグッとくる。最初の舞台はニューオリンズなのだ。とくに舞台がニューオリンズでなくてはならない理由などないのだが、ジャズが流れていることによって原作者のことが意識にあがってくるのだ。ジャズ・エイジ、ジャズの時代。それはフィッツジェラルドが最も輝いたと言われる時代である。それからブラット・ピットとケイト・ブランシェットの蜜月のあいだに流れるビートルズも良かった。




 観ている途中で思ったことなのだが、この物語は多くの部分を『フォレスト・ガンプ』と共有しているところがある*1。主人公が他者の人生を観察し、さらにその他者が主人公の人生を通過して死んでいく、そして主人公はその死を観察するという部分において。だが、『フォレスト・ガンプ』の主人公が常に無垢なる存在、永遠に子供のような感性のまま、観察をし続けるのに対して、ベンジャミン・バトンは観察によって、死によって成長を続ける。さらには自分が若返ることに対しても重みを背負うようになる。積み重なっていくしんどさは、ガンプにはないもので、私はこのどんどんしんどくなっていく感じが良いと思った。「私はあなたがたに精神の三段の変化を語ろう。いかに精神が駱駝となり、獅子となり、最後に子供となるか、を」(ニーチェ)。主人公のしんどさは最後、忘却によって救済されることになる。この収束の仕方もせつなくて好ましい。





 それから、ベンジャミン・バトンの人生の黄金期ともいえる部分でスクリーンに映し出されるブラット・ピットのカッコ良さも素晴らしい。本当にとにかくカッコ良い。ここはブラット・ピットという俳優が起用されなくてはならない必然性を強烈に感じてしまった。白いTシャツに、ブルー・ジーンズ(ジェームス・ディーンのイメージと重ねざるを得ない)だけをまとい、バイクで疾走するブラット・ピットの絵の素晴らしさは輝かしいぐらいである。このシーンを観るためだけにこの映画を観ても充分おつりがきそうなぐらいカッコ良い。






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