シューマンのピアノ協奏曲について

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Collection 2: The Concerto Recordings (Box)
Martha Argerich
Deutsche Grammophon (2009-08-18)
売り上げランキング: 323


 先日紹介したマルタ・アルゲリッチのボックス・セット*1をまだ聴いています。ここのところはずっとシューマンのピアノ協奏曲を繰り返し、繰り返し。このボックス・セットを買うまでこの作品に触れる機会がなかったのですが、随所にシューマンらしい筆跡が認められ、ハマると何度でも聴きたくなる作品だと思います。



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 ちょうどYoutubeにもアルゲリッチが演奏している映像の一部がアップされています。録音ではムスティラフ・ロストロポーヴィチ指揮ワシントン・ナショナル管ですが、こちらはリッカルド・シャイー指揮のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管で、録音よりも繊細な印象。上の映像では、第一楽章の冒頭3分弱しか聴くことができませんが、強奏から始まる印象の強さにこれだけで心を掴まれてしまう人もいるはず。


 ただし、このカッコ良い始まり方はほんの一瞬で過ぎ去ってしまい、おセンチ感全開のオーボエのソロに入る……というよく分からない展開に私などは「ああ、シューマンらしい……よく分からない構成だ……」と思ってしまいます。だが、そこが良い! 実際この作品のあとに、前期ベートーヴェンのピアノ協奏曲などを聞くと「ああ、古典派の音楽はなんと形式の美学に優れたことよ!」と感嘆してしまうのですが、シューマンの音楽は混迷のなかでギリギリに成立してしまっているところが素晴らしいのです。この屈折した論理性のなかで醸し出されているシューマンらしさが「良いもの」と思えてくれば、あなたももはやシューマンの虜だ、と言えましょう。



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 Youtubeにはほかにも面白い映像がありました。こちらはベルリン・フィルの公式Youtubeアカウントで公開されている内田光子のインタヴュー映像(HDモードで観ると画質・音質が異常)。「ショパンも、ベートーヴェンも、モーツァルトも、ヨハン・セバスチャンも偉大なピアニストだった。しかし、シューマンはそうではなかった」などの発言が印象に残るのですが、内田光子もまたシューマンにおける作曲のプロセスが「普通ではない」と言っています。私の貧しい英語力では不確かな部分も多いですが「シューマンは論理性ではなく、発想力の人だ」ぐらいのことは言っている気がしました。



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 それでは、内田光子の独奏によるサイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィルの演奏をどうぞ(第3楽章)。





 個人的にはこの作品を聴いているときに頭に浮かぶのは、一度演奏したことがあるシューマンの交響曲第2番についてです。これも大変に不思議な曲で、しかも演奏にものすごく体力がいる(割にはあまり自分の音は聞こえない)という思い出があるのですが、ピアノ協奏曲にも「報われない感じのオーケストレーション」を感じる瞬間がいくつもあります。






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