読売日本交響楽団 特別演奏会 @東京オペラシティコンサートホール

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指揮


スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ


曲目


ブルックナー:交響曲第8番



 美しいとかカッコ良いとかそういう価値によって計られるのではなく、とにかく偉大な音楽という姿をもって聴衆の前に現れる音楽が存在する。ブルックナーの音楽とはそのような種類の音楽に属し、そしてそのことを最初に教えてくれたのはスタニスラフ・スクロヴァチェフスキという指揮者だった。この出会いは、本当に幸せな体験だったと思う。今日はそのスクロヴァチェフスキが読響の振った特別演奏会。彼はこのオーケストラの常任指揮者を3年務め、今期でめでたく任期満了なのである。曲目はブルックナーの交響曲第8番というのだから聴きに行かないわけにはいかない。





 ブル8は1時間半近い長大で冗長な作品だ。これを存分に楽しむには聴取のための体力と集中力が必要だ。ひとつひとつレンガを積み重ねるようにして作り上げられていく大きな物語を、聴衆は追っていかなければならない。そのように集中して聴いていれば当然、終わった後には軽い疲労感に襲われる。にも関わらず、終わった後には「もう1度、最初から聴きたい」と思わせられるのだから不思議なものだ。スクロヴァチェフスキの手腕はそこに発揮されているのだろう。すべての「伏線」を一本の線に回収する解釈はとことん自然であり、明快だ。スクロヴァチェフスキの音楽には、心地よい疲労感を与えてくれる力強い流れがあるように思われてならない。ゲネラルパウゼではゆったりと余韻を取り、豊かな響きを味わわせ、細やかなルバートをかけながら小さな区切りを作っていく。そこには巨匠然とした大仰さは皆無だ。キビキビとし、清潔感のある、まるで落ち着いた若者のようなブルックナーを聴かせてくれる。





 この日の読響の演奏は全体的にいつも以上のまとまりがある良い演奏だったと思う。特に2楽章が良かった。何度も繰り返される低弦による主題は、これでもか! というぐらいに歌いまくっており、演奏者の楽しげな表情からスクロヴァチェフスキとオーケストラの蜜月がどことなく感じられたのも見ていて楽しいものだ。





 正直聴く前から「きっと今日は泣いてしまうだろう」という予測を持って臨んだのだが、その通り、1楽章の後半でいきなり涙が溢れてしまい、胸がいっぱいになってしまった。しかし、スクロヴァチェフスキと読響の関係は今期が終わりではない。来期からは桂冠名誉指揮者の役職が送られ、10月にはまたブルックナーを振りに帰って来てくれる。ファンとしては、いつまでもこの良い関係が続いて欲しいと思う。できるだけ長生きしてくれ!



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3 件のコメント :

  1. 冗長性がある、ぐらいの意味で。集中して聴くと「ああ、ここでまた繰り返しになるのか」とやっぱり思いますよ。

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  2. それは形式的な問題。
    ヘタな作曲家の冗長な音楽のレベルじゃないのね。

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