読売日本交響楽団第523回定期演奏会 @サントリーホール 大ホール

4 件のコメント
指揮:
下野竜也

曲目:
ブルックナー:交響曲 第5番 変ロ長調 WAB.105
読響によるブルックナーの交響曲第5番を聴くのはスクロヴァチェフスキが数年前に定期で振って以来か。そのときの演奏がもとでブルックナーが好きになり、こうして3年も読響の定期会員になったりしてるので、個人的に思い出深い曲でもある。あまり好みではない下野竜也が読響の正指揮者としての最後の定期で振るとは……と思うとますます勝手な思い入れも深くなると言うもの。この指揮者のブルックナーは第4番を振ったときもやはり全然良い演奏とは思えず正直期待しておりませんでしたが、いやいや、ようやく私もこの指揮者の面白さがわかってきたかも〜、という快演でした。

御大スクロヴァチェフスキとはもちろん違う、いや、どこまでもまとまりがよく締まったブルックナー。言うなれば、スクロヴァチェフスキのブルックナーには理性を超えた神々しさがあるわけですが、言い方を変えると、それは理性を忘れた老人性痴呆みたいなものでもあるわけです。どうなったらあれだけスケールの大きな音楽が描けてしまえるのか、聴衆もまた理性を忘却した境地へと連行されてしまうので打ちのめされるしかない。

一方で下野の今夜のブルックナーは理性の領域で目一杯音楽を操作し、乗りこなしたものだったように思います。そこにはひとつひとつ丁寧に物語を紡ぐプロセスさえ見える。ゆえにフィナーレにおける大きな解放さえも、最後だから何かをすべてブチまけて終えてしまおう、というものではなく、文末にピリオドをスッと置いてペンを置くように聞こえました。あと人がここは流すだろう、みたいな箇所にチャーミングな色付けをしているのも面白かったな。基本的には選曲以外はアクが強くないところにアクがある、ぐらいの人だと思うんだけれども、ハマり方でスゴく面白く聴ける。

オーケストラも素晴らしかったですね。前回のマーラーに引き続き、ホルンとラッパはお見事。ホルンはエキストラなのか契約団員かわかりませんが若い人がトップを吹いてて音色のブリリアントな感じが良かったです。このまま、ホルン首席の座が埋まったりするんだろうか?

4 件のコメント :

  1. 最近、バレンボイムのものばかり何故か聴いていて、その流れで彼のブルックナーの二度目の全集を良く聞いているのですが、「理性を超えた神々しさ」を絶妙な塩梅で現出させて聴衆を「老人性痴呆」に追い込むタイプの演奏と違って(?)、メリハリが利いていて、流石にスキップするまではいかないけれど、それでも軽快なもので、自分の趣味に合うのは、むしろこちらの方だな、と思っていたところでした。

    返信削除
  2. バレンボイムは、フルトヴェングラーをかなり意識しているそうですね。それよりなにより、アダムさんがいつのまにかブルックナーに目覚めているようでおどろきました笑

    返信削除
  3. バレンボイムは、あまりマーラーを指揮してこなかったようですが、7番のCDを聴いてから、もう少しちゃんと聴かないとなと思ったのが始まりで、巡ってブルックナーの全集にいたっている感じです。

    以前、紺野さんが、ブルックナーを聞いていると、この人オルガニストなのだなと思う瞬間があるとか書いていたことがあったのだけれど、宇宙がとか、神々しさがとか大仰な方ではなく、そういう観点がよく分かれば、もう少し入れ込んで聴くようになると思うのだけれど、そこが上手く分かっていない感じのまま、今に至っています。

    返信削除
  4. わたしもバレンボイムってそんなに聴いてこなかったのですが(シューマンの全集ぐらい)ちょっとチェックしてみようかな。

    ブルックナーはあの音の持続性というか、音楽が線でつながってる感じがオルガンっぽい気がします。弦がずっと刻んでても、それはブルックナーのなかでは持続する音なのでは、とか。すごく作曲にクセがある人なので、そのへんに気づくと面白いですね。毎回、ベートーヴェンの第9を書き直そうとしているところもだんだんわかってきますし。如実なのは5番で、あの構成は完全に第9です。4楽章でこれまでの楽章を全部振り返っていくところとか、わかりやすい。

    返信削除