菊地 成孔
アスペクト
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本書でも白眉と言えるのは「ヤオ(八百長)なのかガチ(セメント・マッチ)なのか外部からは判断できない半ヤオ状態が、リング上のファンタジーを支える魔術である」と語られるUWF論でしょうか。日本相撲協会がヤオ/ガチをめぐって激震したことは記憶に新しかろうと思いますが、角界がUWF的な魔術的作法を行使でき、その視点を共有できる場があったならば、あのような惨劇はおこらなかったのではとも思います。なぜ、大相撲だけが潔癖さを要求されなければならなかったのか、そして、星の売買があったことがなぜあのとき問題とされなければならなかったのか。不祥事が連続していた時期だったことが不幸、としか言いようがないのかもしれませんが、建前上「今度からはホントにすべてガチです」となって以降の大相撲は、なにか歯切れの悪い苦しさがあるように思われるのです。もっとダーティな相撲界が、ポップで良かったのに……。
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