真夜中にドビュッシーを

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 ふだんほとんどフランスの作曲家によって書かれた音楽を聴くことはないのだけれど、ふとした瞬間に「ドビュッシーでも聴くか」となったとき(その瞬間は大抵、真夜中の、そして程よい具合にアルコールによって思考回路が鈍ってきたときに訪れる)のハマり具合と言ったら、ちょっと他のものとは比べようのない快感だ。音に酔う、という表現がまさに真っ当に思えるのだが、しかしながら、どうしてこの不協和音の連続のなかから快楽が生まれ出てくるのだろうか。アルトゥーロ・ベネディッティ・ミケランジェリの感動的なまでに精確な演奏は、緊張から解決へと向う和声の原則から逸脱した不健康な美を律することによって、より一層、美を鋭いものにしているようにも思われる。



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 一方でミケランジェリとは正反対に、自らの才能の赴くままに演奏をおこなっているとしか思えないサンソン・フランソワの演奏も捨てがたい。フランソワのドビュッシーを聴いていると「天才とはこの人のためにある言葉に違いない」という風に思う。解釈に揺らぎがないのではない。むしろ、解釈に揺らぎしか見出せない、自由な音楽がそこにあったからこそ、彼を天才と呼ぶのである。



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