Villa-Lobos: L’oeuvre pour violoncelle et pianoposted with amazlet at 11.01.12Intrada (2010-05-10)
ブラジルを代表する作曲家、エイトル・ヴィラ=ロボスの音楽に関しては、学生時代に仲の良かった物好きなチェロ弾きの先輩がブリリアント・クラシックの廉価盤で出ていた弦楽四重奏曲全集(彼が残した弦楽四重奏曲は17曲もある)の話を聞いたぐらいで、他にはいくつかのギター曲を聴いた記憶があるだけで、どんな曲を書いていたのか、あまり印象になかった。はじめて彼の魅力に開眼したのは、このチェロとピアノのための作品集を聴いてからだ。
一曲目に収録されたこの《黒鳥の歌》からして、もう反則級の名曲だ。印象派風の伴奏を背景にして、物憂い感じのする旋律が穏やかに流れていく。フランスに留学したという彼の経歴は、他の曲の雰囲気からも伝わってくるようなのだが、次々に登場する素晴らしいメロディを聞かせられると、彼を「20世紀を代表する作曲家」の一人として数えたくなる気持ちも分かる。彼はモダンの大きな流れには乗っていないかもしれないが、19世紀末に訪れたロマン派のクライマックスの最中、偶然生まれた支流のなかで生き生きと活動していたのではないか、などとも想像する。本流とは違う別な20世紀の音楽史が、彼の音楽のなかで呼吸するかのような感覚。
そして、こんなに洒脱な「クラシック」もなかなかない。
(あんまり良い演奏ではないが《小組曲》より「Romancette」、「Legendaria」)
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