『ソフトウェアアーキテクトが知るべき97のこと』はかなり良い本だと思ったけれど『プログラマが知るべき97のこと』はもっと良かった。いま自分が加わっているような開発の世界により近かったからかな。『ソフトウェアアーキテクト……』と同様に驚くような解決策が得られたり、素晴らしい技術が得られたりするわけではない。けれども、いま自分がしている仕事を少し良くするためのアイデアや気づきを、かなり具体的なレベルで教えてくれる。読者がどんな環境にいても良い。ここに書かれたことは、枯れた技術を運用してるメインフレーマーにだって、アジャイルでブァリブァリと開発してる人にだって通ずるハズ、と読んでいて思った。
例外があるとするならば、「ひとりで趣味でプログラムを書いています」という人向けではないこと。チームで、あるいはOSSのコミュニティで、誰かと一緒に、何らかのプロダクトを開発する人に向けたモノだろう。他人との働き方であったり、ユーザーとのやり取りの仕方であったり、読みやすいソースを書くことであったり、本書に掲載されたこれらのテーマはどれも「誰かと一緒に開発すること」が念頭に置かれる。プログラマーって人とコミュニケーションを取らなくても働けなくもない仕事だし、世間一般のイメージだと引きこもりっぽい仕事だけれども、実はそうじゃない。むしろ人と関係しあって仕事しないとできない。ひとりでやる仕事じゃないのだね。
4、5年開発の現場で働いてみて「今の環境ってこれで良いんだろうか?」とか「俺はこんな働き方で良いんだろうか?」というプログラマーの人にオススメ。開発者ってとてもカッコ良くて楽しい仕事だな(ただし、カッコ良くて、楽しい開発ができれば!)、と改めて思ったし、そのカッコ良さって「自分の働き方だとか作ったもので、自分のいる環境がドラスティックに変わる可能性がある」ということに由来するんだけれども、これも本書で言われていることのひとつ。プログラマーにとってこんなに優れた自己啓発本ないんじゃないのかな。後輩にも読ませてみよう。
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