Carlos Aguirre Grupo(Crema)
posted with amazlet at 12.06.10
カルロス・アギーレ・グルーポ
Apres-midi Records (2010-07-22)
売り上げランキング: 22253
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今年発表された新譜がさまざまなオサレ雑誌に掲載され注目をさらに高めつつあるカルロス・アギーレ、先月の来日公演にはうかがえませんでしたが、旧譜を買って気持ちを高めました。『Crema』は2000年にカルロス・アギーレ・グルーポ名義でのファースト・アルバム。手書き水彩の一枚一枚違うジャケットと、CDケースに謎の植物片が封入された手の混んだアート・ワークは、商業的なもの、大量生産されるモノから離れるようですが、この音楽はまさにそうした経済的な環境から離れて聴くべきものなのでしょう。アギーレが住むアルゼンチンといえば、タンゴをすぐに思い浮かべてしまいます、けれども、タンゴばかりがアルゼンチンの音楽ではない。アフリカ系、ラテン系、そして原住民たちの文化が混交して生まれた音楽文化の形式のなかにフォルクローレがあり、カルロス・アギーレらの音楽はその系譜においてもっとも現代的な世代と言えるでしょう。そこにラテンアメリカの音楽がつねに外部から影響を受けて変容をしつづけているその模様が垣間見えるのと同時に、グローバルなもの、ローカルなもの、相反する要素の境目がとても曖昧に解け合って響くのがいつも興味深く思われます。畸形的な感じがしない。ブラジルではトリピカリズモという畸形が生まれ、またピアソラの音楽は畸形的と言うことができるかもしれません。ただ、我が国の「生まれてくる音楽がみんな畸形的」という状況と照らし合わせてみれば、どうしてカルロス・アギーレはこんな自然な音楽を奏でられるのか、が不思議に思われるのです。
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