バルトロメ・デ・ラス・カサス 『インディアスの破壊についての簡潔な報告』

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インディアスの破壊についての簡潔な報告 (岩波文庫)
ラス・カサス
岩波書店
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新大陸の征服戦争に従事するために海を渡ったラス・カサスだったが、スペイン人征服者たちのあまりの残虐非道っぷりに回心し、ドメニコ会の修道士になって書き上げたという報告書である。なかなかこれが凄まじく残虐行為のカタログ・ブックみたいな様相になっている。奴隷にしたインディオに首輪をつけて数珠繋ぎにして行進させ、歩けないものがいると首輪を外すのが面倒なのでそのまま首を切り落とした……だとか、奴隷にしたインディオにマトモな食事を与えず、食べるのを許したのは仲間のインディオの人肉のみ、インディオの人肉解体工場が用意された……だとか、すごいことが書いてある。まさに地獄を描写している本であるのだが、こういう地獄描写の文体に、ダンテの『神曲』の影響があったりするんだろうか、と夢想した。あとちょっと旧約聖書っぽさがあるように思った。

16世紀のスペイン人が現代の人間よりも暴力的で、野蛮で、不道徳で、人権意識が備わっていなかったから、こういう凄まじいことができた……と切り離して考えて良いもんなんだろうか、とも思う。遠い時代の話だから、切り離して考えるのは容易だ。けれども、ラス・カサスが記録しているスペイン人は「インディオには、なにをしてもオッケー」と考えているに違いないけれども、こうした思考は、今なお生き残っているし、一部では活発になりつつあるように思われる。「Xには、なにをしてもオッケー」のXには、反日韓国人とか、反日中国人とか、生活保護もらっている人とか、バカッターとか様々に入り得るし、こういう思考が残虐リミッターを解除する装置になっている気もして、地続きじゃん、と言えなくもない。

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