あんた、マティーニを作れる?――チャーチルが旨いって言ってくれたよ

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マイク・ハマーへ伝言
矢作俊彦
角川書店 (2001/07)
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 これはもう文句無しに面白い小説でした。元マンガ家で、元「ニューハードボイルドの旗手」で、大友克洋漫画の原作者で、いまや日本の現代文学の旗手のひとりである矢作俊彦の処女長編。この作家さん、色々人のつながりでよく話を聞かされていたので勝手に親近感を持っていたのだけど読んでみたら見事にハマってしまった。文章の質、文体、表現のどれを切っても「カッコ良い!」という嘆息が漏れてしまいそうで痺れる。





 「カッコ良い!」と痺れてしまうことは、決して意味があることではなく、それ自体は一瞬で過ぎ去ってしまう動物的な感覚に過ぎず、無内容なものだな、と私は思う。けれども、だからこそ一層惹かれてしまうところがある。「カッコ良いものは、徹底して無内容であるからこそ、カッコ良いのである」という無茶苦茶な論理が(男が読む)ハードボイルド小説というものの中には成立している気がした。というか、もっと言ってしまえば「カッコ良いからカッコ良いんだよ!」みたいな同語反復でしか言えない。すごく閉じた価値観のなかにこういう小説はあるようにも思う。私には、そういうのは結構心地良い。





 とにかくもう矢作俊彦を好きになってしまって、グイグイ読みたい気分になっている。「もっと読んでみよう!」と思える作家が自分のなかで増えてきているのはとても嬉しいことだ。





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