モリエール『ドン・ジュアン』

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ドン・ジュアン (岩波文庫)
モリエール 鈴木 力衛
岩波書店
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 昨年末、岩波文庫からモリエールの翻訳9作品が一括で重版されたのを受け、この機会に一気に読んでみようと思った。題して「モリエール一気読みプロジェクト」である(そのままだ……)。これまでに『孤客(ミザントロオプ、人間嫌い)』と『いやいやながら医者にされ(このタイトル最高)』は読んでいるので、残り7冊購入してまずどれから読もうか迷ったが、手始めに『ドン・ジュアン』を。こちらはスペインに伝わる伝説の性豪ドン・ファンを題材にした喜劇なのだが、やはりモリエールはどれもとことんくだらなく笑えた。





 無神論者で女たらし(かつ、一度ヤッたらヤリにげ、ヤリ捨て)のドン・ファンのもとへと、決闘で殺した騎士が石像の姿でやってきて、懺悔と回心を求めるが、ドン・ファンはそれを拒否、そして地獄へ落とされる……話の大筋はこのようなものなのだが、私はこの話が大変に好きである。最後まで悪を貫き通し、そして地獄へ落ちる、という痛快さが素晴らしい。



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 もちろん、モーツァルトの歌劇《ドン・ジョヴァンニ》も最高に好きだ(動画は映画『アマデウス』より。劇中では《ドン・ジョヴァンニ》の最終場面が挿入される。この壁をブチ破って石像が登場する演出も最高だ……)。なので《ドン・ジョヴァンニ》と『ドン・ジュアン』を比較しながら読んでしまった。


 


 2つは、筋書きや登場人物に違いがあり、人物の性格設定も微妙に異なっている。例えば、ドン・ファンの従者はモーツァルトのレポレッロにが徹底した腰ぎんちゃくで道化的ですらあるのに対して、モリエールなスガナレルではやや良心的で時に主人に対して物申すときもある。どちらも主人公が極悪人であることに大差ないのだが、他の登場人物の人間味の面ではモリエールのほうが豊かであるように思われた。



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 しかし、胸が空くのは断然モーツァルトのドン・ジョヴァンニだ(この最終場面が好きすぎるので、もうひとつ別な演奏を。これも石像感が素晴らしい……あと亡霊たちの姿がマイケル・ジャクソンの「スリラー」みたい)。音楽が付随していて、よりドラマティックに話に接せられることもあるけれど、挿入される場面にしても《ドン・ジョヴァンニ》のほうが起伏に富んでいる気がする。この台本はロレンツォ・ダ・ポンテという人の筆によるものだそうだ。私はこの人物についてよく知らないが、この人が「レポレッロがドン・ジョヴァンニの女性遍歴(どこそこの国で何人の女と寝た……云々のメモ)を歌う」という、妙に嫌な場面を台本に書き入れたのは慧眼であると思う。



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 話がモリエールから大幅にそれたので、この際、いろんな石像のバリエーションを集めて無理矢理締めくくることにした(あなたはどの石像が好き?)。





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