モリエール『スカパンの悪だくみ』

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スカパンの悪だくみ (岩波文庫 赤 512-8)
モリエール
岩波書店
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 「モリエール一気読みプロジェクト」第6弾は『スカパンの悪だくみ』を。解説によればこれは1671年に発表された作品で、この時期のモリエールは高尚で文学的に価値高い作品を書くことを諦め(書いても当時のパリではあまりウケなかったそうである)、面白おかしい喜劇を書くことに専念していたそうである。言われてみれば『スカパンの悪だくみ』にも文学性を取捨し、徹底して笑えるものを書こうという気概みたいなものが感じられるかもしれない。





 ケチな親父が旅行中に息子が父親に相談なく結婚してしまうのだが、父親は縁談をもって急遽旅行から帰ってくる……というところから話は始まる。縁談をめぐるトラブルがストーリーの核となっているところや、また、最後に明かされる秘密が劇を大団円へと向わせるところなどは、『守銭奴』にもよく似ている。だが『スカパンの悪だくみ』がおもしろいのは、スカパンという下男がトラブルを解決するために奔走し、ケチな父親たちを出し抜いてしまうところである。身分が低いものが高いものをとっちめるところには、なにか身分の高いものを批判するようなまなざしがあるのだろうか(おそらく劇を見に来ていたのは身分が高い人だったにも関わらず)。下男のたくらみは、最後に明かされる秘密によって無為へと帰するのだが、彼のアンチヒーロー的な立ち振る舞いがいちいち面白くて良かった。





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