モリエール『町人貴族』

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町人貴族 (岩波文庫 赤 512-6)
モリエール
岩波書店
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 「モリエール一気読みプロジェクト」第5弾は『町人貴族』を。これは貴族に憧れる金持ちの商人が、貴族に振る舞いを近づけようとすればするほど滑稽な姿になっていまい、最終的には周囲の誰もが主人公を騙すような形で(誰からも馬鹿にされている形で)終幕を迎える、という話である。主人公は価値観のすべてを外部へと委ねる。主人公にとっては、あるものが貴族的なものであれば、それは良いもの、高尚なもの、ということになる。あるものが貴族的なものかどうかは、自分が判断する事柄ではない(なぜなら自分は貴族ではないからだ)。誰かが「○○は貴族的ですよ」「貴族は皆そうしています」などと言えば、すぐさまにそれを受け入れてしまう。ここに滑稽さが生まれる。端から見れば、主人公がかわいそうなぐらいに彼は馬鹿にされ、そして騙される。しかし、彼は一向にそのことに気がつく様子がない。だから逆に、もっとも幸せを掴んでいるのは騙される側だとも言えるかもしれない。「騙される」ということは事後的にしか確認できない。騙されていることに気がつかないということは、つまり騙されていないということだから。





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