アリストテレス『ニコマコス倫理学』(下)

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ニコマコス倫理学 下    岩波文庫 青 604-2
アリストテレス
岩波書店
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 アリストテレスの『ニコマコス倫理学』の下巻を読み終える。上巻についてのエントリはこちら。上下巻あわせて軽くまとめておくと「人間生きるにあたって、どういう生活が幸福かって、観照的な活動を続けることなんっすよぉぉ!!」という結論部にいたるまでに、アリストテレスがいろいろ考察する、そういう本です。





 下巻は「抑制ってどういうことなんすかね。悪い抑制だってあるわけじゃん。好ましい行為を抑制してたら、それよくないじゃん?」とかいう話からはじまり、快楽だの愛だのについても話をすすめていく。難しいことは一切言っていなくて、普通の人っぽいことをたくさん言ってるのが面白い。「友達はいたほうがいいぞ。でもいっぱいいすぎてもダメな。ちょうどいいぐらいの人数ってあるだろ?」とか「やっぱ、見た目って重要だよな。人って大体見た目から入っていくわけじゃんか。見た目がダメだと恋愛もはじまんねーって」とか、そういうホントに普通のことを言っている。こういう記述に触れると「常識って昔から変わらないんだなー」と感心してしまう。アリストテレスなんか紀元前三百年代の人だ。今から二三〇〇年ぐらい前。そういう人の話が、今なお普通の話として通用することがある意味で奇蹟的なように思われて、ちょっと感動的ですよ。





 ただ、アリストテレスの幸福観っつーのも、なかなか世知辛いものである。また超乱暴にまとめると「幸福っつーのは、状態じゃないんだよ。もし状態だったとしたら、その人が寝ててなんもしなくても幸福が続くってことだろ? そうじゃないじゃん。人が『俺今幸せだなー』って実感することって、なんか行為をやったときじゃんか。たとえば、美味しいもの食べたりとかさぁ。でも、そういう幸福な感じってすぐ消えちゃうだろ? それはさ、幸福が『活動』に伴うものだからなんだよ。永続的な『状態』として幸福が訪れるわけじゃないんだよ。だからさ、頑張れ。中庸で、死ぬまで頑張れ」とかそんな感じになる。死ぬまで頑張るって超しんどいよねー。人生にアガりはない。そういうことじゃんか。





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